最近、VM を扱う機会が多くなりました。何度も色んなパーティショニング要件で Linux をインストールしている中で、これまでちゃんと理解してなかった VG(Volume Group) と LV(Logical Volume) についても理解が深まりました。そのアウトプットの1つとして、ルートディレクトリの容量を無限に増やすことができるような形で Linux VM(VM でなくても OK)を作るための手順等を紹介しようと思い、まずはその前提知識となる VG / LV についてまとめてみます。


【「ルートディレクトリ容量を増やせるようにする」とは?】
Linux に慣れる前に使っていると、最初のうちはあまり深く考えずに VM 等で Linux 環境を用意して使い続けることになり、どこかのタイミングで特定のディレクトリにデータが集まりすぎてディスクが足りなくなってしまう、という経験はないでしょうか?

例えば MySQL データベースとして使っていると、(デフォルト設定だと)そのデータは /var/lib/mysql/ 以下に溜まっていきます。データを多く扱ううちにこのフォルダ以下に大量のファイルが溜まっていくことになります。 また(WordPress のような形も含めて)httpd サーバーとして多くのデータを扱っていると、/var/www/html/ 以下に多くのファイルが溜まっていくことになります。このようにあらかじめ容量に注意すべきディレクトリが分かっている場合は、そのディレクトリに大容量ディスクをマウントして使うとか、その上で LV 化(後述)しておいて後から容量追加できるようにしておく、といった準備が可能です。

問題はそのような大容量が必要なディレクトリ(上述の例だと /var/lib/mysql や /var/www/html )が事前にわからない場合です。最初はそもそも多くのデータを使うつもりもなく作った環境を、後から当初想定していなかった用途でも利用するようになって、あらかじめ容量を拡張できるような準備をせずに使い始めることもあると思っています。しかもこの場合だと利用開始時点では「どのディレクトリに多くのデータが集まるのかもわからない」ので、事前に準備できることがあるとすれば「/(ルートディレクトリ)の容量を後から動的に追加」できるようにしておく必要があります。

特定のサブディレクトリ以下ではなく、ルートディレクトリ自体が拡張可能になっていれば「後からディスクが足りなくなる」ことへの不安はかなり解消されると思っています。


【PV と VG と LV の関係】
以下、"PV", "VG", "LV" という用語を使います。まずはこれらの意味を簡単に紹介します:

PV(Physical Volume): 物理ボリューム
後述する「論理的なボリューム」に対比する意味での「物理的なボリューム」です。論理的なボリュームでは複数のディスクをまとめて1つのディスクであるかのように扱うのに対し、物理的なボリュームでは複数のディスクを(パーティショニングすることはあっても)1つにまとめて扱うのではなく、あくまで1つのディスクは1つとして取り扱う考え方です。厳密には1つの物理ディスクをパーティショニングして1つまたは複数の空間(=ボリューム)として扱います。「論理ボリューム」という考え方をしないのであれば「1つの物理ディスク内の1パーティション=1つの物理ボリューム」です。

VG(Volume Group): ボリュームグループ
PV とは逆に、複数のディスクであっても論理的に1つのディスクとしてみなす、という考え方です。この論理的なディスクをボリュームグループ (Volume Group) と呼びます。

複数の物理的なディスクをまとめて1つの VG を定義します。VG には後からディスクを動的に追加することもでき、そのサイズは追加したぶんだけ増えます。

LV(Logical Volume): 論理ボリューム
Linux のファイルシステムはマウントと呼ばれる仕組みで複数のディスクを1つの空間にマッピングすることができます。この考え方は物理ディスクだけでなく、論理ディスクにも適用できます。

物理ディスク同様に、複数のディスクからなる論理的な1台のディスクをパーティショニングしてマウントすることになります。この論理的なパーティションが論理ボリューム(LV) となり、LV を管理する方法を LVM (Logical Volume Manager) と呼びます。


【2つの物理ディスクを使った場合の比較】
2つの物理ディスク(/dev/sda 容量は 100GB と /dev/sdb 容量は 200GB)を使って Linux マシンを構築するケースを想定し、PV で作る場合と LV で作る場合を比較します。

PV で(というか、LV を使わずに)ルートディスクを作る場合、/dev/sda に1つのパーティション /dev/sda1 を作ってルート(/)にマウントすると仮定すると、100GB のディスク容量を持つファイルシステムが作れます:
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一方、LV(論理ボリューム)では物理的なサイズやとは関係なく、論理的に定義した空間の容量として考えます。例えば /dev/sda1 を1つの VG とみなし、この VG 全体を1つの LV とみなしてパーティションを作り、このパーティションをルート(/)にマウントすることで 100GB の容量を持つファイルシステムとなります:
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ここまでだと結局どちらも 100GB の空間を持つファイルシステムが作られることになり、同じことのように見えてしまって、PV と LV の違いが分かりにくいと思います。違いを分かりやすくするためにもう1つ、別に「容量 200GB のディスク /dev/sdb」が手元にあると仮定します。

PV で考えると、この 200GB のディスク /dev/sdb は先ほどの 100GB のディスク /dev/sda とは完全に別のディスクという扱いになります。「容量が 100GB のディスクA」と「容量が 200GB のディスクB」という2つのディスクです。Linux の機能を使って、ディスクAをルートディスク(/)として、ディスクBを /home にマウントすることはできますし、その場合「両方合わせて 300GB」にはなります。しかしディスクAに余裕があったとしてもディスクBに余裕がなければ /home にデータを追加できなくなってしまいます:
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一方 LV で考えるとこの辺りを柔軟に考えることができるようになります。もともとディスクAをまるごと使って VG を作成していましたが、更にディスクBも同じ VG に追加することができます。この場合、この VG のサイズ(つまり LV のサイズ)は 300GB になります。ディスクBに(物理的な)余裕がなかったとしても、ディスクAに余裕があれば LV にデータを追加可能です。仮にディスクA、B両方の余裕がなくなってしまった場合も、更に別の物理ディスクCを VG に追加することで、動的に VG/LV を拡張することが可能です:
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1点注意が必要なのは、この論理的な LV の空間が linux のどのディレクトリにマウントされているかです。例えばルートディスクは別に存在していて、 この LV が /mnt にマウントされていた場合、/mnt 以下には最大 300GB のデータを格納することができますが、それ以外のディレクトリ(/usr など)はルートディスクの空きを意識する必要がある、という点です。

なお、1つの VG を1つの LV にする必要はありません。物理ディスクをパーティショニングする時のように、1つの VG から複数の LV に分けて使うことも可能です。



Linux では複数ディスクを論理的に扱う VG/LV という概念があることを説明しました。次回はこの考え方を使って、ルートディレクトリを LV で作り、後からルートディレクトリを拡張する具体的な手順を紹介予定です。