まだプログラマーですが何か?

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以前のブログエントリの中で Hyperledger Composer を使うことでブロックチェーンのビジネスネットワークを比較的簡単な定義で動かすことができることを紹介しました:
Hyperledger Composer フレームワークを使ってみる

↑ここで紹介したように Hyperledger Fabric v1.0 と Hyperledger Composer を使うことで、"asset" と呼ばれる取扱データ、"participant" と呼ばれるユーザー、 "transaction" と呼ばれる実行処理、そして "ACL" と呼ばれるアクセス権管理を定義してブロックチェーン環境に簡単にデプロイすることができるようになります。

この方法でデプロイしたブロックチェーンネットワークを外部のプログラムから使う方法も何通りかあるのですが、今回はその中から「Composer の内容を Web API 化」して、外部からは HTTP(S) を使った REST API として使えるように公開する方法を紹介します。以下の手順を実際に試す場合はローカル環境内に Hyperledger Fabric v1.0 および Hyperledger Composer がインストールされている必要があります。その手順は以下を参照して、ローカル環境で Hyperledger Composer が使える状態を作っておいてください:
Hyperledger Composer フレームワークをインストールする


また、実際に REST API として公開する内容のビジネスネットワークを定義した .bna ファイルが必要です。今回は以下のページで紹介されている方法に従って my-network.bna ファイルを作り、それを使うことにします(以下に日本語で解説します):
Developer Tutorial for creating a Hyperledger Composer solution


ではビジネスネットワークの定義ファイルを用意するまでの手順を紹介します。今回は github.com に公開されているサンプルをベースにクローンして用意します。

まず、上記リンク先の手順に従って Hyperledger Fabric v1.0 および Hyperledger Composer が導入された環境を用意して、両方のサービスを有効にします。

次に同環境にログインし、作業ディレクトリ(以下の例では ~/work)を作って、サンプルプロジェクトを git clone します:
$ mkdir ~/work (作業ディレクトリ)
$ cd ~/work
$ git clone https://github.com/hyperledger/composer-sample-networks.git

このサンプルプロジェクト内の basic-sample-network の内容を my-network という名前でコピーします:
$ cp -r ./composer-sample-networks/packages/basic-sample-network/  ./my-network

my-network プロジェクトの package.json ファイルを変更します。変更内容は name と prepublish 内のプロジェクト名を "my-network" にすることと、description の内容を変えることです:
    :
  "name": "my-network",
  "version": "0.1.6",
  "description": "My Commodity Trading network",
  "networkImage": "https://hyperledger.github.io/composer-sample-networks/packages/basic-sample-network/networkimage.svg",
  "networkImageanimated": "https://hyperledger.github.io/composer-sample-networks/packages/basic-sample-network/networkimageanimated.svg",
  "scripts": {
    "prepublish": "mkdirp ./dist && composer archive create --sourceType dir --sourceName . -a ./dist/my-network.bna",
    "pretest": "npm run lint",
    :

そして実際のビジネスネットワークの内容を書き換えます。定義する内容は上記ブログエントリの中で紹介したものと同じ定義をこのプロジェクト内にも作成することにします。というわけでまずは models/sample.cto ファイルを開き、以下の内容に書き換えて保存します:
/**
 * My commodity trading network
 */
namespace org.acme.mynetwork
asset Commodity identified by tradingSymbol {
    o String tradingSymbol
    o String description
    o String mainExchange
    o Double quantity
    --> Trader owner
}
participant Trader identified by tradeId {
    o String tradeId
    o String firstName
    o String lastName
}
transaction Trade {
    --> Commodity commodity
    --> Trader newOwner
}

↑ Commodity という asset と、Trader という participant と、Trade という transaction を定義しています。

同様にして lib/sample.js ファイルを開き、以下の内容に書き換えます:
/*
 * Licensed under the Apache License, Version 2.0 (the "License");
 * you may not use this file except in compliance with the License.
 * You may obtain a copy of the License at
 *
 * http://www.apache.org/licenses/LICENSE-2.0
 *
 * Unless required by applicable law or agreed to in writing, software
 * distributed under the License is distributed on an "AS IS" BASIS,
 * WITHOUT WARRANTIES OR CONDITIONS OF ANY KIND, either express or implied.
 * See the License for the specific language governing permissions and
 * limitations under the License.
 */

/**
 * Track the trade of a commodity from one trader to another
 * @param {org.acme.mynetwork.Trade} trade - the trade to be processed
 * @transaction
 */
function tradeCommodity(trade) {
    trade.commodity.owner = trade.newOwner;
    return getAssetRegistry('org.acme.mynetwork.Commodity')
        .then(function (assetRegistry) {
            return assetRegistry.update(trade.commodity);
        });
}

↑tradeCommodity という処理を定義しています。

そして同様にして permissions.acl ファイルも以下の内容に書き換えます:
/**
 * Access control rules for mynetwork
 */
rule Default {
    description: "Allow all participants access to all resources"
    participant: "ANY"
    operation: ALL
    resource: "org.acme.mynetwork.*"
    action: ALLOW
}

rule SystemACL {
  description:  "System ACL to permit all access"
  participant: "org.hyperledger.composer.system.Participant"
  operation: ALL
  resource: "org.hyperledger.composer.system.**"
  action: ALLOW
}

↑デフォルトで全参加者にリソースへのアクセス権を与えるという内容です。


ではここまでに定義した models/sample.cto, lib/sample.js, permissions.acl の内容でビジネスネットワークをビルドします:
$ cd ~/work/my-network
$ npm install

このコマンドが成功すると、 my-network/dist フォルダ内に my-network.bna ファイルが生成されます。このファイルと Hyperledger Composer を使って Hyperledger Fabric v1.0 に同ビジネスネットワークをデプロイします:
$ cd dist
$ composer network deploy -a my-network.bna -p hlfv1 -i PeerAdmin -s randomString

デプロイが成功しているかどうかは以下の ping コマンドで確認できます:
$ composer network ping -n my-network -p hlfv1 -i admin -s adminpw

ここまでの作業でビジネスネットワークを定義し、Hyperledger Fabric v1.0 上にデプロイすることができました。最後にこのビジネスネットワークを Web API 化して HTTP クライアントから REST でアクセスできるようにします。 そのためには composer-rest-server というツールを使います。composer-rest-server は npm を使ってインストールします:
$ sudo npm install -g composer-rest-server

composer-rest-server の使い方は REST API 化したい Hyperledger Composer プロジェクト上でコマンド実行するだけです:
$ cd ~/work/my-network
$ composer-rest-server

すると Hyperledger-Composer ロゴが現れ、知る人ぞ知る Strongloop loopback のようなインターフェースでのプロパティ指定画面になります:
2017081401


質問内容に以下のように答えます:
 Fabric Connection Profile Name: hlfv1
 Business Network Identifier: my-network
 Fabric username: admin
 secret: adminpw
 namespaces: never use namespaces
 (ここから下はデフォルトのまま)
 REST API to be secured: No
 event publication over WebSockets: Yes
 TLS security: No
2017081402


すると上記画面のように http://(IPアドレス):3000/explorer と表示されます。ウェブブラウザでこの URL にアクセスすると、(これも知る人ぞ知る StrongLoop Loopback のような)定義したビジネスネットワークに REST API でアクセスするための Open API ドキュメントが表示されます:
2017081403


この画面からは定義した Commodity や Trader, Trade といった asset, perticipant, transaction を読み書き実行するための各 API を展開したり、
2017081404


実際にパラメータを指定して実行したりすることもできます:
2017081405


この方法であればブロックチェーンにあまり詳しくないデベロッパーでも REST API で利用できるので非常に便利といえます。

 

このブログでも何度か Node.js のネタを扱ってますが、非同期処理に悩まされることが多いので、自分の理解の意味でもまとめておくことにしました。

まず理解の大前提として、Node.js はシングルスレッドで動作するため、いわゆる並列処理はできない仕様になっています。そして非同期に処理を実行することができます。これによって並列処理ができなくても、何かの時間のかかる処理があった場合にその終了を待たずに次の処理に進むことができることを意味しています。 ただ、この辺りがややこしく難解になっていることも事実です。

例えば REST API などの HTTP リクエストを行って、その結果が得られたら、その得られた結果の JSON オブジェクトの値を使って処理をする、などというよくあるケースでもこの問題に直面します。

まずは何が難解なのかを紹介します。REST API だとローカル環境で気軽に試せないので、わざと実行に時間のかかる関数を用意して説明します。

例えばこのような処理を考えてみます:
// test.js

// わざと1秒かけてから、パラメータの2倍の数値を出力する関数
function func1( x ){
  setTimeout( function(){
    console.log( 2 * x );
  }, 1000 );
}

// 初期値を設定して出力
var n0 = 10;
console.log( 'n0 = ' + n0 );

// 初期値を上記関数のパラメータに入れて実行
func1( n0 );

この中では func1 という関数を定義しています。setTimeout を使ってわざと1秒(1000ミリ秒)待ってから、パラメータの値の2倍を画面に出力する、という関数です。 この関数を n0 (=10 に設定)という変数をパラメータにして実行する、というものです。なので "20" という結果が出力されることを期待しています。

この内容を test.js というファイルに保存して、実行してみます(青字部分が出力結果):
$ node test
n0 = 10
20

期待通りに "20" と出力されました。とりあえずここまでは成功です。


さて問題はここからです。上記例では関数 func1 の中で console.log が実行されて出力までを行いました。これを func1 からは与えた数値を2倍した結果を受け取るようにして、func1 の外側で出力するように変更してみます。深く考えずにやるとこんな感じでしょか?
// test.js(注 正しく動きません)

// わざと1秒かけてから、パラメータの2倍の数値を出力する関数
function func1( x ){
  setTimeout( function(){
    console.log( 2 * x );
  }, 1000 );
}

// わざと1秒かけてから、パラメータの2倍の数値を戻す関数
function func2( x ){
  setTimeout( function(){
    return ( 2 * x );
  }, 1000 );
}

// 初期値を設定して出力
var n0 = 10;
console.log( 'n0 = ' + n0 );

// 初期値を上記関数のパラメータに入れて実行し、戻り値を出力
var n1 = func2( n0 );
console.log( 'n1 = ' + n1 );

func1 をほぼコピペして func2 という関数を作りました。console.log の代わりに return にして、値を返すようにしています。呼び出し元からはこの func2 を実行して、得られた結果を出力するようにしています。

これを先程と同様に実行するとこうなります:
$ node test
n0 = 10
n1 = undefined

n0(10)の値の2倍の "20" という結果を期待していたのですが、"undefined" と表示されてしまいます(正確に書くと、上記の2行はすぐに表示されますが、更に1秒くらい経過してから終了します)。この理由は最初に書いたように func2 は非同期に実行されているので、return の行が実行されるまでには1秒かかります。しかしその前に(return の行が実行される前に)関数そのものの処理は終了してしまいます。つまり値が戻る前に(戻っていない値を受け取ることになっている)n1 という変数を出力しているので "undefined" になっているのでした。

このように、期待通りに動かなかった理由は明白なのですが、ではどうすればこの関数が期待通りに動く(1秒後に与えられた結果を戻り値として戻し、受け取った側がその値を出力する)ようにできるでしょうか?これが今日紹介する大きなテーマです。


結論を先に紹介すると、ここで Promise オブジェクトを使って関数を修正し、受け取った側もその変更に合わせて一部書き直す必要があります。具体的には以下のように修正します:
// test.js

// わざと1秒かけてから、パラメータの2倍の数値を出力する関数
function func1( x ){
  setTimeout( function(){
    console.log( 2 * x );
  }, 1000 );
}

// わざと1秒かけてから、パラメータの2倍の数値を戻す関数
function func2( x ){
  return new Promise( function( resolve ){
    setTimeout( function(){
      resolve( 2 * x );
    }, 1000 );
  });
}

// 初期値を設定して出力
var n0 = 10;
console.log( 'n0 = ' + n0 );

// 初期値を上記関数のパラメータに入れて実行し、戻り値を出力
func2( n0 ).then( function( n1 ){
  console.log( 'n1 = ' + n1 );
});

まず関数 func2 側は、Promise オブジェクトを新規に作成します。Promise オブジェクトは処理が成功した場合の関数をパラメータに指定します。上図だと
function( resolve ){
  setTimeout( function(){
    resolve( 2 * x );
  }, 1000 );
}

という関数がパラメータに指定されているので、成功するとこの関数が実行されます(今回は使っていませんが、第二パラメータを指定した場合は失敗時に実行する処理を指定したことになります)。この処理の中で1秒待って、指定したパラメータを2倍して resolve とする、ということになります。

そしてこの関数 func2 を呼び出す側も少し変更が必要になります。 func2() 関数の実行結果をそのまま変数として受け取るのではなく、成功した場合(今回の例だと1秒待って2倍になった値が返された場合)の処理を .then() 内に渡して処理することになります。この then 内の処理で計算結果(resolve で処理された内容)を n1 という変数で受け取って console.log で表示する、という内容にしています。

こうして修正した test.js を実行すると、以下のような結果になります(実際には n0 = 10 がすぐに表示され、1秒くらい待ってから n1 = 20 の行が表示されて終了します):
$ node test
n0 = 10
n1 = 20

Node.js の関数内で非同期処理を実行して、その非同期処理の終了を待って値を受け取るような関数を作る場合は、Promise オブジェクトを使って上記のように記述します、という紹介でした。非同期実行に慣れていないと、この辺りで戸惑うことが多いと感じたので、まとめておきました。


とある REST API を使っていて気付いたこと/考えさせられたことをまとめてみました。明快な結論や提案があるわけではなく、グダグダに感じられる内容かもしれないので、あらかじめご了承ください。


そのとある REST API を使ったウェブアプリケーションを作って運用している中で、おかしな挙動に気付くことがありました。以前は問題なく動いていたのに、あるタイミングで実行すると期待通りに動かない、という「まあまあよくある」ケースです。自分のケースでは動かないというよりも、タイムアウトを起こすような挙動になっていました。ただ REST API そのものが止まっている様子はない、というケースでした。

自分のソースコードでは一応エラーハンドリングはしていたつもりでしたが、REST API がエラーを起こしている様子もなく、原因究明に時間を要するものでした。結論としては自分のアプリケーションコードを見ていてもよく分からず、REST API のユニットテストのようなツールを動かした結果気付くことがありました。

それがこちら:
20170207


・・・わかるでしょうか? REST API を実行したレスポンス本文が Response Body に、ステータスコードが Response Code に記述されています。これによるとレスポンス本文は
{
  "status": "ERROR",
  "statusInfo": "daily-transaction-limit-exceeded"
}

となっていて、"daily-transaction-limit-exceeded" が原因のエラーが発生している、という内容でした。この API には Daily Transaction Limit(1日で使える回数の上限)が決められていて、その上限に達したのでもう実行できない、という内容です。これに関してはそういう条件で使っている API なので、なるほど、エラーの原因はわかりました。

問題はこの REST API を実行したステータスコードが 200 になっている点です。HTTP ステータスコードの分類とその意味についてはウィキペディアなどを参照していただきたいのですが、簡単にいうとこんな感じで分類されています:
コード意味考えられる原因など
2xx(200番台)成功 -
4xx(400番台)クライアントエラー認証が必要、アクセス権がない、URLが間違っている、タイムアウト、、、
5xx(500番台)サーバーエラーアプリケーションエラー、不正なゲートウェイが利用されている、、、


200 番台は成功。400 番台と 500 番台がエラーで、それぞれクライアント側のエラーなのか、サーバー側のエラーなのかを分類しています。

で、今回のケースですが、実行結果はエラーなのに 200 番のステータスコードが返されているのでした。自分のプログラムコードの中では「200 が返ってきたら成功」と決めつけて実装していたため、このようなケースに対処できていなかったのでした。


ここまでが実際に目の当たりにしたエラーとその原因でした。以下はこの件に関して自分が考えたことです。


自分を弁護する意味で「えー、でもそれっておかしくない? エラーなんだからスタータスコードは 400 番台なり 500 番台で返ってくるべきでは?」という考えもないわけではありません。ただ今回のケースではこれも難しいような、つまり 200 番のステータスコードがあながち間違ってはいないような気もしています。

その理由として、まず「これはクライアントエラーなのか?それともサーバーエラーなのか?どちらかに分類できるのか?」という問題です。これに関してはどちらとも言えるし、どちらとも言えないと思っています。

実は 402 番のステータスコードは "Payment Required" 、つまり(お金を払わないといけないんだけど)払ってないエラー、と定義されています。が、実際には定義だけで実装されていない、つまり将来のための定義とされているのでした。また厳密には支払い契約を結んで使っているわけではなく、「この条件で1日○○回使える」というルールの下で利用しているだけなので、402 番に(クライアントエラーに)該当するエラーであるとは考えにくいのです。

※本来の意味とは違いますが、「権限がない」に該当するのではないかと言われると、まあ・・・ という考え方もあるとは思います。ただそれをクライアントエラーとして返してもクライアント側はどうにもできないので、やはり 400 番台エラーには該当しないと思います。

ではサーバーエラーなのか?というと、これも該当しないと思います。プログラミングにミスがあったわけではなく、「実行したら、『実行できない』という結果が返ってきた」のは、正しく実行された(結果が期待通りではなかった)とも言えます。そう考えると、そもそも今回の件は REST API レベルではエラーですらないとも言えます。


そう考えると、今のように API を組み合わせてアプリケーションを作ることが珍しくない環境においては、200 番のステータスコードが返ってきてもエラーの可能性を疑ってコーディングする必要があるのかも、と思うようになりました。このケースであれば実装側が工夫すれば(というか、そもそもちゃんと色んなケースを想定してエラーハンドリングしていれば)防げるものです。

そういう意味でもいい反省の機会でした。 でも今後は同様のケースを想定した「成功でもエラーでもないステータス」が出て来る可能性もありますよね。。


メール送信(送信だけじゃないけど)サービスの最大手と思われる SendGrid を使う機会がありました。SDK や API を使って、メールを送信できるサービスです。
2016090601


メール送信そのものは(sendmail などを使えば)単純に実現できますが、一度に大量のメールを送る場合や迷惑メール対策など、本格的に使おうとすると色々な面倒が待っています。そういう面倒な所を一手に引き受けて、心配なくメール送信が実現できる、というサービスです。

この SendGrid によるメール送信ですが、ダッシュボード画面から目的の相手にインタラクティブに送信するだけではなく、プログラミングのためのインターフェースが公開されているので、自分の作るアプリケーションから利用することもできます。ただ実際に送信するサンプルを Java でググると、多くの場合 SDK を使ったものが見つかります。自分は SDK ではなく Web API(REST API) での実現を考えていたので挑戦してみました。ウェブ上にあまり資料がなかったこともあって、その手順を以下に紹介します。


まず最初に大事なこと。SendGrid Web API の最新バージョンは V3 ですが、V2 を使います。SendGrid の推奨でもあります:
https://support.sendgrid.kke.co.jp/hc/ja/articles/206231901-Web API v2とv3どちらを利用すべきでしょうか?-


というわけで、Web API V2 の Mail API を使って実装することにします。リファレンスはこちらです:
https://sendgrid.kke.co.jp/docs/API_Reference/Web_API/mail.html


これを読むと、「メールを送信して結果を JSON で受け取る」場合は以下の様な REST API を実行することになります(これは curl コマンドで実行する場合の例):
$ curl -X POST https://api.sendgrid.com/api/mail.send.json -H 'Authorization:Bearer SG.*****' -d 'to=user1@recipient.com&subject=abcd&from=info@from.com&html=<b>ハロー</b>、ワールド'

上記コマンドは info@from.com ユーザーから user1@recipient.com ユーザーへ、メールサブジェクトは "abcd" 、本文は HTML で "<b>ハロー</b>、ワールド"(HTML として送信しているので、ハローだけが太字になります)を送信する場合のコマンドになります。 user1@recipient.com は送信先なので実在している必要がありますが、送信アドレスである info@from.com は実在している必要はありません。またヘッダの認証情報として使っている SG. で始まる文字列は SendGrid から取得した api key です。SendGrid のアカウントをお持ちで、まだ api key を取得していない場合、取得方法についてはこちらを参照してください。

上記 curl コマンドは(入力ミスなどがなければ)正しく実行されて、メールも送信されるはずです。つまり正しいコマンドです。これを REST API と見なして、同じ処理を Java で実装しなおせばいいわけですが、これが意外と手間取りました。

まず最初に、普段使っている Jakarta Commons HTTP Client 3.1 (メンテナンスモード)を使って、こんなコードを書いてみました(あらかじめ書いておきますが、以下のコードでは期待通りに動きません):
  :
public int sendMail( String to, String subject, String html ){
  int r = 0;

  try{
    String data = "to=" + to + "&from=info@from.com&subject=" + subject + "&html=" + html;
    PostMethod method = new PostMethod( "https://api.sendgrid.com/api/mail.send.json" );
    method.setRequestHeader( "Authorization", "Bearer SG.*****" );
    method.setRequestBody( data );
    HttpClient client = new HttpClient();
    int sc = client.executeMethod( method );
    String json = method.getResponseBodyAsString();
      :
r = 1; }catch( Exception e ){ mothod.setRequest e.printStackTrace();
r = -1; } return r; } :

オプションで指定している内容は curl コマンドのものと同じです(例えば Content-Type ヘッダを指定していませんが、curl でも指定せずに動いていたので)。ただこの sendMail 関数を to = user1@recipient.com, subject =  abcd, html = <b>ハロー</b>、ワールド というパラメータで実行した場合、ステータスコード(上記コード内の sc 変数)の値は 400 となり、また実行結果である json 変数の値は以下のようなものになりました:
{"errors":["Empty from email address (required)"],"message":"error"}

「必須項目である from 値が空である」というエラーメッセージのように見えます。しかしその値は上記のようにハードコーディングで入力しているつもりでした。

これまでも HTTP Client を Java で実装する場合はこの HTTPClient 3.x を使うことが多かったし、今回のようなポスト時のエラーに遭遇したことはなかったのですが・・・ まずここで躓きました。


次に試したのはポスト方法の変更です。sendMail 関数を以下の様な形に変え、ポストデータをプレーンテキストで送信するのではなく NameValuePair 配列で送信するように変更してみました(これもまだ期待通りには動きません):
  :
public int sendMail( String to, String subject, String html ){
  int r = 0;

  try{
    PostMethod method = new PostMethod( "https://api.sendgrid.com/api/mail.send.json" );
    method.setRequestHeader( "Authorization", "Bearer SG.*****" );
    List<namevaluepair> params = new ArrayList<namevaluepair>();
    params.add( new NameValuePair( "to", to ) );
    params.add( new NameValuePair( "from", "info@from.com" ) );
    params.add( new NameValuePair( "subject", subject ) );
    params.add( new NameValuePair( "html", html ) );
    method.setRequestBody( ( NameValuePair[] )params.toArray( new NameValuePair[0] ) );
    HttpClient client = new HttpClient();
    int sc = client.executeMethod( method );
    String json = method.getResponseBodyAsString();
      :
    r = 1;
  }catch( Exception e ){
    mothod.setRequest
    e.printStackTrace();
    r = -1;
  }

  return r;
}
  :

自分としては先程のコードと同じことを記載しているつもりでした。が、このコードは一応動いて、ステータスコードは 200 (成功)を返してくれます。

しかし、実際に送られてくるメールを受け取ると、残念ながら日本語部分が全て ? という文字に化けてしまっていました。。
2016090601
 (↑ ハロー、ワールド という結果を期待していたが文字化け)


文字化けということは文字コードの指定と実際の文字コードが違っていると読み、であれば強制的に UTF-8 で指定すれば・・・ と考えたのですが、この HTTPClient 3.1 には Content-Type で指定する以外の文字コード指定方法はありません( NameValuePair 配列で指定した本文がどのような内部処理をされているのかはわかりません。。) というわけで、この方法も詰み・・・

結論として、HTTPClient のバージョンをより新しいものに上げて対処しました。現在の最新バージョンは 4.5.2 のようです(僕は 4.5.1 を使いました):
https://hc.apache.org/httpcomponents-client-ga/

このライブラリに置き換えた上で、コードも以下のように 4.5.x 仕様に書き換えました(完成版です):
  :
public int sendMail( String to, String subject, String html ){
  int r = 0;

  try{
    PostMethod method = new PostMethod( "https://api.sendgrid.com/api/mail.send.json" );
    method.setRequestHeader( "Authorization", "Bearer SG.*****" );
    List<namevaluepair> params = new ArrayList<namevaluepair>();
    params.add( new BasicNameValuePair( "to", to ) );
    params.add( new BasicNameValuePair( "from", "info@from.com" ) );
    params.add( new BasicNameValuePair( "subject", subject ) );
    params.add( new BasicNameValuePair( "html", html ) );
    method.setEntity( new UrlEncodedFormEntity( params, "UTF-8" ) );
    CloseableHttpClient client = HttpClients.createDefault();
    CloseableHttpResponse response = client.execute( method );
    int sc = response.getStatusLine().getStatusCode();
    HttpEntity entity = response.getEntity();
    String json = EntityUtils.toString( entity, StandardCharsets.UTF_8 );
      :
    r = 1;
  }catch( Exception e ){
    mothod.setRequest
    e.printStackTrace();
    r = -1;
  }

  return r;
}
  :

この関数は期待通りに動き、実行後にメールを受け取ると、期待通りの HTML コンテンツが文字化けなしに表示されました:
2016090602


と、偉そうに書きましたが、実の所、なぜ前の2つのコードで動かないのかわかりません。最新コードでは NameValuePair 配列を UTF-8 指定で追加していて、これは旧バージョンにはない関数なので、その差で文字化けの有無になっているのかもしれません。ただ繰り返しますが、curl では最小限の指定だけで動いていたことと同じ指定をしているのに、Java でうまく動かない理由が説明できないのでした(少なくともエラーメッセージの内容をそのまま信用して対処しようとするとハマりそうな予感・・・)。

まあとりあえずは結果オーライ、ということで。あと SendGrid のメール送信を Java から、それも SDK ではなく Web API 経由で送る例はあまり見かけることがなかったので、後からやる人の助けになれば嬉しいです。


StrongLoopLoopBack を使うと、データベースのモデルを定義するだけで CRUD の REST API を生成し、OpenAPI(Swagger) スタイルのドキュメントと併せて簡単に公開できます。この辺りについては以前のブログエントリを参照してください:
CentOS に StrongLoop をインストールする


ところで、LoopBack を使って公開された API にはパラメータで挙動を指定できるものもあります。例えばモデルの一覧を取得する GET リクエストでは一覧を絞り込むためのクエリーを指定したり、取得結果の数やオフセットを指定することも可能です:
2016020601


そのための方法を紹介します。例えば items というテーブルに対して LoopBack で CRUD の API を作成したと仮定します。items の一覧を取得するには以下の様な URL に対する HTTP リクエストを GET で実行することになります(XX.XX.XX.XX は LoopBack が動いているサーバー):
http://XX.XX.XX.XX/api/items/

さて、一覧の検索条件(例えば id < 100)を指定する場合、SQL ではこのように指定することになります:
> select * from items where id < 100;

この条件を指定して上記の HTTP GET リクエストを実行するには、つまり id < 100 のものだけの一覧を API で取得するには、以下の様なパラメータを指定して実行します:
http://XX.XX.XX.XX/api/items?filter[where][id][lt]=100

filter という名前に [where] 句が指定され、更に条件である [id] が [lt] (Less Than) で 100 である、という条件が指定されていることになります。


一方、一覧の検索結果の取得数(例えば10件)を指定する場合、SQL(MySQL) ではこのように指定します:
> select * from items limit 10;

この条件を指定して HTTP GET リクエストを実行するには、以下の様なパラメータを指定して実行します:
http://XX.XX.XX.XX/api/items?filter[limit]=10

filter という名前に [limit] 句が指定され、その値が 10 である、という条件が指定されていることになります。なんとなくコツが分かってきましたか?

ちなみに一覧の検索結果の取得数を 50 件目からの 10 件、とするには SQL(MySQL) ではこのように指定します:
> select * from items limit 50, 10;

limit 句を指定し、オフセットが 0 以外の場合は limit 数の前にオフセット数を指定します。これを API のパラメータで指定するには以下のようにします:
http://XX.XX.XX.XX/api/items?filter[limit]=10&filter[offset]=50

クエリーや結果取得の条件は同時に指定することができます。例えば「 id < 100 のものをオフセット 50 で10 件取得」するのであれば、API ではこのように指定します:
http://XX.XX.XX.XX/api/items?filter[where][id][lt]=100&filter[limit]=10&filter[offset]=50

filter の使い方、なんとなくコツがわかってきましたか? 使っているデータベースの種類は何で、そのデータベースでは SQL ではどういった指定になるか、をイメージできるとわかりやすいです。


このパラメータに関する API ドキュメントはこちら:
https://docs.strongloop.com/display/public/LB/Where+filter
 

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