まだプログラマーですが何か?

プログラマーネタ中心。たまに作成したウェブサービス関連の話も https://twitter.com/dotnsf

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IBM Cloud から提供されている 30 日間無料 Kubernetes サービスIBM Kubernetes Service 、以下 "IKS")環境を使って利用することのできるコンテナイメージを1日に1個ずつ 30 日間連続で紹介していきます。

環境のセットアップや制約事項については Day0 のこちらの記事を参照してください。

Day 19 からはプログラミング・開発系コンテナとその GUI ツールを中心に紹介してます。Day 21 は Day 19(Node-RED), 20(Scratch) で紹介したローコード開発とは真逆の、プログラミング用オンラインテキストエディタである Eclipse Orion イメージをデプロイする例を紹介します。
orion


【イメージの概要】
"Eclipse" というと "Java アプリケーションの開発環境" という印象を持っている人もいると思います(自分含めて)。実際、もともと Eclipse エディタは Java の開発環境として開発されていました。非常に強力なコード補完機能などもあり、「Java の開発を行う場合は Eclipse 必須」という人も多いと思います(自分含めて)。後に Java SDK が分離され、Java に限らないアプリケーション統合開発環境となりました。

今回紹介する Eclipse Orion はそのオンライン版です。右クリックメニュー含めて、ブラウザ上で実行しているとは思えないような便利な機能が実装されていて、プログラミングエディタもローカルで持ち歩く必要がなくなりつつあることを感じます(まあ VS Code とかと比較しちゃうとまだまだですけど・・)。

専用アプリ版同様に、Eclipse Foundation が開発しています。


【イメージのデプロイ】
まずはこちらのファイルを自分の PC にダウンロードしてください:
https://raw.githubusercontent.com/dotnsf/yamls_for_iks/main/orion.yaml

今回の Eclipse Orion も特にパラメータ指定不要で、そのままデプロイすることができます。以下のコマンドを実行する前に Day 0 の内容を参照して ibmcloud CLI ツールで IBM Cloud にログインし、クラスタに接続するまでを済ませておいてください。

そして以下のコマンドを実行します:
$ kubectl apply -f orion.yaml

以下のコマンドで Eclipse Orion 関連の Deployment, Service, Pod, Replicaset が1つずつ生成されたことと、サービスが 30080 番ポートで公開されていることを確認します:
$ kubectl get all

NAME                         READY   STATUS    RESTARTS   AGE
pod/orion-7f98f5b448-tzcgc   1/1     Running   0          26s

NAME                 TYPE        CLUSTER-IP     EXTERNAL-IP   PORT(S)          AGE
service/kubernetes   ClusterIP   172.21.0.1     <none>        443/TCP          27d
service/orion        NodePort    172.21.211.0   <none>        8081:30080/TCP   27s

NAME                    READY   UP-TO-DATE   AVAILABLE   AGE
deployment.apps/orion   1/1     1            1           27s

NAME                               DESIRED   CURRENT   READY   AGE
replicaset.apps/orion-7f98f5b448   1         1         1       27s

この後に実際にサービスを利用するため、以下のコマンドでワーカーノードのパブリック IP アドレスを確認します(以下の例であれば 161.51.204.190):
$ ibmcloud ks worker ls --cluster=mycluster-free
OK
ID                                                       パブリック IP    プライベート IP   フレーバー   状態     状況    ゾーン   バージョン
kube-c3biujbf074rs3rl76t0-myclusterfr-default-000000df   169.51.204.190   10.144.185.144    free         normal   Ready   mil01    1.20.7_1543*

つまりこの時点で(上述の結果であれば)アプリケーションは http://169.51.204.190:30080/ で稼働している、ということになります。早速実行してみます。ウェブブラウザを使って、アプリケーションの URL(上述の方法で確認した URL)にアクセスしてみます:
orion1


初回はワークスペースの作成に少し時間がかかりますが、アクセスできるようになるとオンラインでテキストエディタが使えるようになります。フォルダやファイルを新規に追加してプロジェクトを作っていくことも可能です:
orion2




【YAML ファイルの解説】
YAML ファイルはこちらを使っています:
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  name: orion
spec:
  selector:
    app: orion
  ports:
  - port: 8081
    protocol: TCP
    targetPort: 8081
    nodePort: 30080
  type: NodePort
---
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  name: orion
spec:
  replicas: 1
  selector:
    matchLabels:
      app: orion
  template:
    metadata:
      labels:
        app: orion
    spec:
      containers:
      - name: orion
        image: cloudeity/orion
        ports:
        - containerPort: 8081

Deployment 1つと、Service 1つのシンプルな YAML ファイルです。一応解説を加えておきます。アプリケーションそのものは 8081 番ポートで動作するように作られているため、NodePort 30080 番を指定して、外部からは 30080 番ポートでアクセスできるようにしています(NodePort として指定可能な番号の範囲は 30000 ~ 32767 です、指定しない場合は空いている番号がランダムに割り振られます)。また ReplicaSet は1つだけで作りました。


デプロイしたコンテナイメージを削除する場合はデプロイ時に使った YAML ファイルを再度使って、以下のコマンドを実行します。不要であれば削除しておきましょう:
$ kubectl delete -f orion.yaml


【紹介したイメージ】
https://hub.docker.com/r/cloudeity/orion


【紹介記録】
Dayカテゴリーデプロイ内容
0準備準備作業
1ウェブサーバーhostname
2Apache HTTP
3Nginx
4Tomcat
5Websphere Liberty
6データベースMySQL
7phpMyAdmin
8PostgreSQL
9pgAdmin4
10MongoDB
11Mongo-Express
12Redis
13RedisCommander
14ElasticSearch
15Kibana
16CouchDB
17CouchBase
18HATOYA
19プログラミングNode-RED
20Scratch
21Eclipse Orion
22Swagger Editor
23R Studio
24Jenkins
25アプリケーションFX
262048
27DOS Box
28VNC Server(Lubuntu)
29Drupal
30WordPress

IBM Cloud から提供されている 30 日間無料 Kubernetes サービスIBM Kubernetes Service 、以下 "IKS")環境を使って利用することのできるコンテナイメージを1日に1個ずつ 30 日間連続で紹介していきます。

環境のセットアップや制約事項については Day0 のこちらの記事を参照してください。

Day 19 からはプログラミング・開発系コンテナとその GUI ツールを中心に紹介してます。区切りの Day 20 は Day 19 で紹介した Node-RED と並ぶローコード開発双璧のもう1つ Scratch イメージをデプロイする例を紹介します。
scratch



【イメージの概要】
「子供のプログラミング教育向け」に使われることが多く、子供向けの印象を持っている人がいるかもしれません。ただ実際には他のローコード開発環境と比べても珍しい「キャラクタードリブン」な開発が可能で、画面内(はじめから画面があることが想定されていることがすごいんですけど・・)のキャラクターを「動かし」たり、「ぶつかったら○○をする、と指示」したりしてアプリケーションを作っていきます。キャラクターが存在していることでゲームが作りやすいという特徴もあり、これが子供向けとされている要因の1つかもしれません。

開発は Scratch 財団と MIT(マサチューセッツ工科大学)による共同開発が行われています。


【イメージのデプロイ】
まずはこちらのファイルを自分の PC にダウンロードしてください:
https://raw.githubusercontent.com/dotnsf/yamls_for_iks/main/scratch3.yaml

今回の Scratch も特にパラメータ指定不要で、そのままデプロイすることができます。以下のコマンドを実行する前に Day 0 の内容を参照して ibmcloud CLI ツールで IBM Cloud にログインし、クラスタに接続するまでを済ませておいてください。

そして以下のコマンドを実行します:
$ kubectl apply -f scratch3.yaml

以下のコマンドで Scrach 関連の Deployment, Service, Pod, Replicaset が1つずつ生成されたことと、サービスが 30601 番ポートで公開されていることを確認します:
$ kubectl get all

NAME                            READY   STATUS    RESTARTS   AGE
pod/scratch3-579cb8b666-cpsl4   1/1     Running   0          89s

NAME                 TYPE        CLUSTER-IP      EXTERNAL-IP   PORT(S)          AGE
service/kubernetes   ClusterIP   172.21.0.1      <none>        443/TCP          27d
service/scratch3     NodePort    172.21.71.246   <none>        8601:30601/TCP   91s

NAME                       READY   UP-TO-DATE   AVAILABLE   AGE
deployment.apps/scratch3   1/1     1            1           91s

NAME                                  DESIRED   CURRENT   READY   AGE
replicaset.apps/scratch3-579cb8b666   1         1         1       92s

この後に実際にサービスを利用するため、以下のコマンドでワーカーノードのパブリック IP アドレスを確認します(以下の例であれば 161.51.204.190):
$ ibmcloud ks worker ls --cluster=mycluster-free
OK
ID                                                       パブリック IP    プライベート IP   フレーバー   状態     状況    ゾーン   バージョン
kube-c3biujbf074rs3rl76t0-myclusterfr-default-000000df   169.51.204.190   10.144.185.144    free         normal   Ready   mil01    1.20.7_1543*

つまりこの時点で(上述の結果であれば)アプリケーションは http://169.51.204.190:30601/ で稼働している、ということになります。ウェブブラウザを使って、アプリケーションの URL(上述の方法で確認した URL)にアクセスしてみます:
scratch1


Scratch の編集画面が表示できました。各種ブロックを使って GUI プログラミングおよび動作確認ができます(共有機能は無効のようです):
scratch2



【YAML ファイルの解説】
YAML ファイルはこちらを使っています:
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  name: scratch3
spec:
  selector:
    app: scratch3
  ports:
  - port: 8601
    protocol: TCP
    targetPort: 8601
    nodePort: 30601
  type: NodePort
---
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  name: scratch3
spec:
  replicas: 1
  selector:
    matchLabels:
      app: scratch3
  template:
    metadata:
      labels:
        app: scratch3
    spec:
      containers:
      - name: scratch3
        image: kadok0520/mit-scratch3
        ports:
        - containerPort: 8601

Deployment 1つと、Service 1つ、環境変数の指定も不要で本シリーズで紹介する 30 個の中でも指折りにシンプルな YAML ファイルです。一応解説を加えておきます。アプリケーションそのものは 8601 番ポートで動作するように作られているため、NodePort 30601 番を指定して、外部からは 30601 番ポートでアクセスできるようにしています(NodePort として指定可能な番号の範囲は 30000 ~ 32767 です、指定しない場合は空いている番号がランダムに割り振られます)。また ReplicaSet は1つだけで作りました。


デプロイしたコンテナイメージを削除する場合はデプロイ時に使った YAML ファイルを再度使って、以下のコマンドを実行します。不要であれば削除しておきましょう:
$ kubectl delete -f scratch3.yaml


【紹介したイメージ】
https://hub.docker.com/r/kadok0520/mit-scratch3


【紹介記録】
Dayカテゴリーデプロイ内容
0準備準備作業
1ウェブサーバーhostname
2Apache HTTP
3Nginx
4Tomcat
5Websphere Liberty
6データベースMySQL
7phpMyAdmin
8PostgreSQL
9pgAdmin4
10MongoDB
11Mongo-Express
12Redis
13RedisCommander
14ElasticSearch
15Kibana
16CouchDB
17CouchBase
18HATOYA
19プログラミングNode-RED
20Scratch
21Eclipse Orion
22Swagger Editor
23R Studio
24Jenkins
25アプリケーションFX
262048
27DOS Box
28VNC Server(Lubuntu)
29Drupal
30WordPress

IBM Cloud から提供されている 30 日間無料 Kubernetes サービスIBM Kubernetes Service 、以下 "IKS")環境を使って利用することのできるコンテナイメージを1日に1個ずつ 30 日間連続で紹介していきます。

環境のセットアップや制約事項については Day0 のこちらの記事を参照してください。

本日 Day 19 からはプログラミング・開発系コンテナとその GUI ツールを中心に紹介します。シリーズ初回となる Day 19 はローコード開発の雄 Node-RED イメージをデプロイする例を紹介します。
Node-red-icon



【イメージの概要】
多くのノーコード/ローコード開発環境が世に出ていますが、私の理解の中では最も広く使われている環境が Node-RED であると思っています。「ノード」と呼ばれるブロックを組み合わせてデータのフローを定義するだけで、その定義通りに動きだす、という視覚的にも理解しやすい GUI プログラミングを実現しています。 HTTP だけでなく MQTT や WebSocket といった多くのプロトコルにも対応していたり、自分で独自のノートを作って活用できる特徴もあって、ローコードでありながら IoT や AI といった広い分野での応用ができる点も特徴といえます。

開発元は英 IBM の Hursley 研究所で、現在は OpenJS Foundations 管理下でオープンソース化されています。


【イメージのデプロイ】
まずはこちらのファイルを自分の PC にダウンロードしてください:
https://raw.githubusercontent.com/dotnsf/yamls_for_iks/main/nodered.yaml

今回の Node-RED も特にパラメータ指定不要で、そのままデプロイすることができます。以下のコマンドを実行する前に Day 0 の内容を参照して ibmcloud CLI ツールで IBM Cloud にログインし、クラスタに接続するまでを済ませておいてください。

そして以下のコマンドを実行します:
$ kubectl apply -f nodered.yaml

以下のコマンドで Node-RED 関連の Deployment, Service, Pod, Replicaset が1つずつ生成されたことと、サービスが 30880 番ポートで公開されていることを確認します:
$ kubectl get all

NAME                           READY   STATUS    RESTARTS   AGE
pod/nodered-5fb585f656-7bdgm   1/1     Running   0          32s

NAME                 TYPE        CLUSTER-IP     EXTERNAL-IP   PORT(S)          AGE
service/kubernetes   ClusterIP   172.21.0.1     <none>        443/TCP          27d
service/nodered      NodePort    172.21.11.49   <none>        1880:30880/TCP   34s

NAME                      READY   UP-TO-DATE   AVAILABLE   AGE
deployment.apps/nodered   1/1     1            1           35s

NAME                                 DESIRED   CURRENT   READY   AGE
replicaset.apps/nodered-5fb585f656   1         1         1       36s

この後に実際にサービスを利用するため、以下のコマンドでワーカーノードのパブリック IP アドレスを確認します(以下の例であれば 161.51.204.190):
$ ibmcloud ks worker ls --cluster=mycluster-free
OK
ID                                                       パブリック IP    プライベート IP   フレーバー   状態     状況    ゾーン   バージョン
kube-c3biujbf074rs3rl76t0-myclusterfr-default-000000df   169.51.204.190   10.144.185.144    free         normal   Ready   mil01    1.20.7_1543*

つまりこの時点で(上述の結果であれば)アプリケーションは http://169.51.204.190:30880/ で稼働している、ということになります。ウェブブラウザを使って、アプリケーションの URL(上述の方法で確認した URL)にアクセスしてみます:
nodered1


上図のような画面が表示され、Node-RED の作業準備ができていることがわかります。画面左のパレットメニューからノードを配置して、実際にデプロイして動かすことができます:
nodered2



【YAML ファイルの解説】
YAML ファイルはこちらを使っています:
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  name: nodered
spec:
  selector:
    app: nodered
  ports:
  - port: 1880
    protocol: TCP
    targetPort: 1880
    nodePort: 30880
  type: NodePort
---
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  name: nodered
spec:
  replicas: 1
  selector:
    matchLabels:
      app: nodered
  template:
    metadata:
      labels:
        app: nodered
    spec:
      containers:
      - name: nodered
        image: nodered/node-red
        ports:
        - containerPort: 1880

Deployment 1つと、Service 1つ、環境変数の指定も不要で本シリーズで紹介する 30 個の中でも指折りにシンプルな YAML ファイルです。一応解説を加えておきます。アプリケーションそのものは 1880 番ポートで動作するように作られているため、NodePort 30880 番を指定して、外部からは 30880 番ポートでアクセスできるようにしています(NodePort として指定可能な番号の範囲は 30000 ~ 32767 です、指定しない場合は空いている番号がランダムに割り振られます)。また ReplicaSet は1つだけで作りました。


デプロイしたコンテナイメージを削除する場合はデプロイ時に使った YAML ファイルを再度使って、以下のコマンドを実行します。不要であれば削除しておきましょう:
$ kubectl delete -f nodered.yaml


【紹介したイメージ】
https://hub.docker.com/r/nodered/node-red


【紹介記録】
Dayカテゴリーデプロイ内容
0準備準備作業
1ウェブサーバーhostname
2Apache HTTP
3Nginx
4Tomcat
5Websphere Liberty
6データベースMySQL
7phpMyAdmin
8PostgreSQL
9pgAdmin4
10MongoDB
11Mongo-Express
12Redis
13RedisCommander
14ElasticSearch
15Kibana
16CouchDB
17CouchBase
18HATOYA
19プログラミングNode-RED
20Scratch
21Eclipse Orion
22Swagger Editor
23R Studio
24Jenkins
25アプリケーションFX
262048
27DOS Box
28VNC Server(Lubuntu)
29Drupal
30WordPress

IBM Cloud から提供されている 30 日間無料 Kubernetes サービスIBM Kubernetes Service 、以下 "IKS")環境を使って利用することのできるコンテナイメージを1日に1個ずつ 30 日間連続で紹介していきます。

環境のセットアップや制約事項については Day0 のこちらの記事を参照してください。

Day 6 からはデータベース系コンテナとその GUI ツールを中心に紹介してます。Day 18 はこのデータベース系イメージとしては最終回ですが、軽量ブロックチェーン実装である HATOYA イメージをデプロイする例を紹介します。
bird_shiro_hato



【イメージの概要】
厳密には「データベース」ではないのですが、「データを貯めるもの」という意味合いでこのカテゴリーに含めて紹介します。

HATOYA は2つの側面を持ったミドルウェアです:
(1)RESTful な JSON ドキュメントデータベース
(2)ブロックチェーン

開発者視点でみた HATOYA は(1)の JSON データのデータベースです。データベースの CRUD や、データベース内の(JSON)ドキュメントの CRUD といった操作がすべて REST API で提供されています。ここだけ見ると MongoDB や CouchDB に近い側面を持っています。

一方、運用者視点でみた HATOYA には(2)のブロックチェーン機能が内蔵されています。(1)で紹介した REST API の CRUD 操作の中で、R 以外の CUD が実行されると、その内容はすべてブロックチェーンの台帳に記録されます。つまりデータベースへの変更記録はすべてブロックチェーン台帳に自動的に記録されます。ブロックチェーン記録時にはカスタマイズ可能なマイニングルールが適用されるので、用途に応じてデータ改ざんの難易度とパフォーマンスのバランスをとることができます。HATOYA サーバーは1台でも運用可能ですが、サーバーを複数起動して(ブロックチェーンの)同期をとることも可能です。

HATOYA は軽量でいながらマイニングやハッシュポインタ、リオルグといったブロックチェーンの機能を実装し「一度格納したら管理者でも改竄不可」を実現しています。またデータ操作や複数サーバーの紐付け管理などに REST API が用意されていて、環境構築段階からエンジニアフレンドリーな操作性が提供されている、そんなブロックチェーン対応データベースです。

ちなみに Day 1 で紹介した hostname イメージ同様に、私が開発して公開しているコンテナイメージです。σ(^o^; イメージ自体の挙動として、デフォルトでは 4126 番ポートで REST API リクエストを待受けるよう作っていますが、この意味が分かる人は立派なオッサンだと思ってます。



【イメージのデプロイ】
まずはこちらのファイルを自分の PC にダウンロードしてください:
https://raw.githubusercontent.com/dotnsf/yamls_for_iks/main/hatoya.yaml

今回の HATOYA もシングルノード環境で利用する場合は特にパラメータ指定不要で、そのままデプロイすることができます。以下のコマンドを実行する前に Day 0 の内容を参照して ibmcloud CLI ツールで IBM Cloud にログインし、クラスタに接続するまでを済ませておいてください。

そして以下のコマンドを実行します:
$ kubectl apply -f hatoya.yaml

以下のコマンドで HATOYA 関連の Deployment, Service, Pod, Replicaset が1つずつ生成されたことと、サービスが 30126 番ポートで公開されていることを確認します:
$ kubectl get all

NAME                          READY   STATUS    RESTARTS   AGE
pod/hatoya-7886987799-6hkpc   1/1     Running   0          21s

NAME                 TYPE        CLUSTER-IP      EXTERNAL-IP   PORT(S)          AGE
service/hatoya       NodePort    172.21.53.119   <none>        4126:30126/TCP   21s
service/kubernetes   ClusterIP   172.21.0.1      <none>        443/TCP          27d

NAME                     READY   UP-TO-DATE   AVAILABLE   AGE
deployment.apps/hatoya   1/1     1            1           22s

NAME                                DESIRED   CURRENT   READY   AGE
replicaset.apps/hatoya-7886987799   1         1         1       22s

この後に実際にサービスを利用するため、以下のコマンドでワーカーノードのパブリック IP アドレスを確認します(以下の例であれば 161.51.204.190):
$ ibmcloud ks worker ls --cluster=mycluster-free
OK
ID                                                       パブリック IP    プライベート IP   フレーバー   状態     状況    ゾーン   バージョン
kube-c3biujbf074rs3rl76t0-myclusterfr-default-000000df   169.51.204.190   10.144.185.144    free         normal   Ready   mil01    1.20.7_1543*

つまりこの時点で(上述の結果であれば)アプリケーションは http://169.51.204.190:30126/ で稼働している、ということになります。HATOYA はこの URL が管理ダッシュボードの URL になっているので早速実行してみます。ウェブブラウザを使って、アプリケーションの URL(上述の方法で確認した URL)にアクセスしてみます:
hatoya1


管理用ダッシュボードが表示され、この画面からデータベースを作成したり、そのデータベース内へのドキュメント追加・更新・削除といったオペレーションが可能です。変更系のオペレーションはすべて台帳にハッシュポインタチェーンで繋がれた形で記録され、データの改竄ができない形で記録されていることがわかります:
hatoya2



【YAML ファイルの解説】
YAML ファイルはこちらを使っています:
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  name: hatoya
spec:
  selector:
    app: hatoya
  ports:
  - port: 4126
    protocol: TCP
    targetPort: 4126
    nodePort: 30126
  type: NodePort
---
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  name: hatoya
spec:
  replicas: 1
  selector:
    matchLabels:
      app: hatoya
  template:
    metadata:
      labels:
        app: hatoya
    spec:
      containers:
      - name: hatoya
        image: dotnsf/hatoya
        ports:
        - containerPort: 4126

Deployment 1つと、Service 1つ、環境変数の指定も不要で本シリーズで紹介する 30 個の中でも指折りにシンプルな YAML ファイルです。一応解説を加えておきます。アプリケーションそのものは 4126 番ポートで動作するように作られているため、NodePort 30126 番を指定して、外部からは 30126 番ポートでアクセスできるようにしています(NodePort として指定可能な番号の範囲は 30000 ~ 32767 です、指定しない場合は空いている番号がランダムに割り振られます)。また ReplicaSet は1つだけで作りました(データベースなので、別途クラスタ構成の準備をしない限りはこの数値だけを増やしてもあまり意味ないと思います)。


デプロイしたコンテナイメージを削除する場合はデプロイ時に使った YAML ファイルを再度使って、以下のコマンドを実行します。不要であれば削除しておきましょう:
$ kubectl delete -f hatoya.yaml


【紹介したイメージ】
https://hub.docker.com/r/dotnsf/hatoya


【紹介記録】
Dayカテゴリーデプロイ内容
0準備準備作業
1ウェブサーバーhostname
2Apache HTTP
3Nginx
4Tomcat
5Websphere Liberty
6データベースMySQL
7phpMyAdmin
8PostgreSQL
9pgAdmin4
10MongoDB
11Mongo-Express
12Redis
13RedisCommander
14ElasticSearch
15Kibana
16CouchDB
17CouchBase
18HATOYA
19プログラミングNode-RED
20Scratch
21Eclipse Orion
22Swagger Editor
23R Studio
24Jenkins
25アプリケーションFX
262048
27DOS Box
28VNC Server(Lubuntu)
29Drupal
30WordPress

IBM Cloud から提供されている 30 日間無料 Kubernetes サービスIBM Kubernetes Service 、以下 "IKS")環境を使って利用することのできるコンテナイメージを1日に1個ずつ 30 日間連続で紹介していきます。

環境のセットアップや制約事項については Day0 のこちらの記事を参照してください。

Day 6 からはデータベース系コンテナとその GUI ツールを中心に紹介してます。Day 17 では Day 16 に紹介した CouchDB の弟的な製品でもある CouchBase イメージをデプロイする例を紹介します。
couchbase



【イメージの概要】
CouchDB を作った Damien Katz さんが、CouchDB を新たに再設計して開発した NoSQL 型データベースです。非常に高速に動作するというだけでなく、低遅延かつ高持続スループットを実現しています。



【イメージのデプロイ】
まずはこちらのファイルを自分の PC にダウンロードしてください:
https://raw.githubusercontent.com/dotnsf/yamls_for_iks/main/couchbase.yaml

今回の CouchBase もシングルノード環境で利用する場合は特にパラメータ指定不要で、そのままデプロイすることができます。以下のコマンドを実行する前に Day 0 の内容を参照して ibmcloud CLI ツールで IBM Cloud にログインし、クラスタに接続するまでを済ませておいてください。


そして以下のコマンドを実行します:
$ kubectl apply -f couchbase.yaml

以下のコマンドで CouchBase 関連の Deployment, Service, Pod, Replicaset が1つずつ生成されたことと、サービスが 31210, 30091, 30092, 30093, 30094 番の各ポートで公開されていることを確認します:
$ kubectl get all

NAME                            READY   STATUS    RESTARTS   AGE
pod/couchbase-58b4b8c99-m8tmt   1/1     Running   0          105s

NAME                      TYPE        CLUSTER-IP      EXTERNAL-IP   PORT(S)                                                                       AGE
service/couchbaseserver   NodePort    172.21.76.112   <none>        11210:31210/TCP,8091:30091/TCP,8092:30092/TCP,8093:30093/TCP,8094:30094/TCP   105s
service/kubernetes        ClusterIP   172.21.0.1      <none>        443/TCP                                                                       27d

NAME                        READY   UP-TO-DATE   AVAILABLE   AGE
deployment.apps/couchbase   1/1     1            1           106s

NAME                                  DESIRED   CURRENT   READY   AGE
replicaset.apps/couchbase-58b4b8c99   1         1         1       106s

この後に実際にサービスを利用するため、以下のコマンドでワーカーノードのパブリック IP アドレスを確認します(以下の例であれば 161.51.204.190):
$ ibmcloud ks worker ls --cluster=mycluster-free
OK
ID                                                       パブリック IP    プライベート IP   フレーバー   状態     状況    ゾーン   バージョン
kube-c3biujbf074rs3rl76t0-myclusterfr-default-000000df   169.51.204.190   10.144.185.144    free         normal   Ready   mil01    1.20.7_1543*

つまりこの時点で(上述の結果であれば)アプリケーションの UI は http://169.51.204.190:30091/ で稼働している、ということになります。CouchDB はこの URL が管理ダッシュボードの URL になっているので早速実行してみます。ウェブブラウザを使って、アプリケーションの URL(上述の方法で確認した URL)にアクセスしてみます:
couchbase1


初回はサーバーセットアップ画面になるので、管理者ユーザーの作成や接続先サーバーの情報を入力していきます:

couchbase2


最終的にデータまでが入力されると、この UI を使って内容や統計情報を確認することができるようになります:
couchbase3



【YAML ファイルの解説】
YAML ファイルはこちらを使っています:
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  name: couchbaseserver
spec:
  selector:
    app: couchbase
  ports:
  - port: 11210
    name: port0
    protocol: TCP
    targetPort: 11210
    nodePort: 31210
  - port: 8091
    name: port1
    protocol: TCP
    targetPort: 8091
    nodePort: 30091
  - port: 8092
    name: port2
    protocol: TCP
    targetPort: 8092
    nodePort: 30092
  - port: 8093
    name: port3
    protocol: TCP
    targetPort: 8093
    nodePort: 30093
  - port: 8094
    name: port4
    protocol: TCP
    targetPort: 8094
    nodePort: 30094
  type: NodePort
---
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  name: couchbase
spec:
  replicas: 1
  selector:
    matchLabels:
      app: couchbase
  template:
    metadata:
      labels:
        app: couchbase
    spec:
      containers:
      - name: couchbase
        image: couchbase
        ports:
        - containerPort: 11210
        - containerPort: 8091
        - containerPort: 8092
        - containerPort: 8093
        - containerPort: 8094

Deployment 1つと、Service 1つのごくごくシンプルな YAML ファイルですが、一応解説を加えておきます。アプリケーションそのものは 11210, 8091, 8092, 8093, 8094 番ポートで動作するように作られているため、NodePort 30080 番を指定して、外部からは 30080 番ポートでアクセスできるようにしています(NodePort として指定可能な番号の範囲は 30000 ~ 32767 です、指定しない場合は空いている番号がランダムに割り振られます)。また ReplicaSet は1つだけで作りました(データベースなので、別途クラスタ構成の準備をしない限りはこの数値だけを増やしてもあまり意味ないと思います)。


デプロイしたコンテナイメージを削除する場合はデプロイ時に使った YAML ファイルを再度使って、以下のコマンドを実行します。不要であれば削除しておきましょう:
$ kubectl delete -f couchbase.yaml


【紹介したイメージ】
https://hub.docker.com/_/couchbase


【紹介記録】
Dayカテゴリーデプロイ内容
0準備準備作業
1ウェブサーバーhostname
2Apache HTTP
3Nginx
4Tomcat
5Websphere Liberty
6データベースMySQL
7phpMyAdmin
8PostgreSQL
9pgAdmin4
10MongoDB
11Mongo-Express
12Redis
13RedisCommander
14ElasticSearch
15Kibana
16CouchDB
17CouchBase
18HATOYA
19プログラミングNode-RED
20Scratch
21Eclipse Orion
22Swagger Editor
23R Studio
24Jenkins
25アプリケーションFX
262048
27DOS Box
28VNC Server(Lubuntu)
29Drupal
30WordPress

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