Linux を使っているとディスクのパーティショニングに頭を悩ませることがあります。最近の Linux ディストリビューションは賢くできていて、特に何も指定しなくてもデフォルト設定のまま導入をしていく中で全容量などから自動的に最適(と思われる)パーティショニングを特定して、分割した上で導入してくれます。
その自動判断されたパーティションの割り振り方が本当に最適な内容であれば理想なのですが、現実はそうでないことが多いです。ディスク全体ではまだ余裕があるのに、特定のパーティションだけが残り少なくなってしまうケースは珍しいとは思えません。かといって全部をルートパーティションにするというのも万が一の際に全てを失ってしまうことになって・・・ というトレードオフです。
ところで、CentOS は普通に導入すると、そのディスクパーティショニングには標準で LVM(Logical Volume Manager : 論理ボリューム管理) が適用されます。深く考えずにデフォルト設定のまま Enter キー連打で導入すると LVM のパーティションが出来上がるので、導入後に「あ、LVM だった」と気付く人もいると思います(少なくともここに一人・・ σ(^^;)。
この LVM は柔軟な割り当てができるようになっていて、専用ツールなどを使わなくても、パーティション割り当てを導入後でも比較的容易に(開始ポイントや終了ポイントを意識することなく、サイズの指定だけで)変更することができます。 今回はこの LVM のパーティションニングを動的に変更する手順を紹介します。
まず前提として、現在の LVM によるパーティション内容は以下のようになっているものとします:
これを最終的には以下のようなパーティショニングに変更することを今回の目的とします。もちろんこの変更によって容量の減る /var 以下のディスクが足りなくなることはないものとします:
以下その手順を紹介しますが、大まかにはこのような手順をとります:
(1) /dev/mapper/VolGroup-lv_var を縮小
(2) /dev/mapper/VolGroup-lv_root を拡大
逆の手順は成立しないことを理解してください。最初にいきなりルートファイルを拡大しようとしてもディスクそのものに未使用の領域がない限りは足りなくなります。まずはどこかを減らして余りを作り、その余りを別のパーティションに追加する、という順序が必要になります。
というわけで、まずは (1) を行います。パーティションの縮小は(そのパーティション先にもよりますが)シングルユーザーモードで起動する必要があります。システムを再起動し、Linux の起動画面になったら何かキーを押してd自動ブートのカウントダウンを止めます:
この画面で E キーを押して起動モードの編集画面に移動します。そして "kernel" で始まる行に移動して再度 E キーを押します:
起動オプションの編集画面になるので、シングルユーザーモードを指定するために最後に " single" という文字を加えて Enter キーを押します:
1つ前の画面に戻りました。この画面だとわかりにくいのですが、kernel 行の最後には " single" が追加されています。改めてこの kernel 行が選択されている状態で B キーを押して起動します。
CentOS がシングルユーザーモードで起動しました。パスワードも不要です。
改めて現在のパーティション状況を確認します。 / に 4.0GB、/var に 4.5GB 割り当てられています。ここから /var の 2GB を / に付け替えるのが今回の目的になります。/var はまだ 309MB しか使っていないので、少なくともこの時点では 2GB 減らしても問題はありません。
まずはこのパーティションをアンマウントします:
# umount /var
ファイルシステムのサイズ変更は resize2fs コマンドで行いますが、減らす場合はその前に fsck コマンドでディスクチェックを行う必要があります。今回の /var(/dev/mapper/VolGroup-lv_var) は ext4 フォーマットなので、具体的には以下のコマンドを実行します:
# fsck.ext4 -f /dev/mapper/VolGroup-lv_var
チェック後に resize2fs コマンドでパーティションサイズを変更します(最後の "2G" が変更後のパーティションサイズです):
# resize2fs /dev/mapper/VolGroup-lv_var 2G
続けて論理ボリュームのサイズも 2G に変更します。確認メッセージが表示されたら y キーを入力します:
# lvreduce -L 2G /dev/mapper/VolGroup-lv_var
最後に変更後のパーティションを改めて /var にマウントします:
# mount -t ext4 /dev/mapper/VolGroup-lv_var /var
ここまでの一連のコマンドのスクリーンショットはこんな感じです:
試しにこの段階で一度パーティション状態を確認しておきます。確かに 4.6GB あった /var が 2.0GB に減っていることが確認できます:
では今度は /var で減らした分を /(/dev/mapper/VolGroup-lv_root) に追加割り当てします。増やす場合はアンマウント/マウントの必要がないのでより簡単です。 / は現在の 4.0GB に、追加する 2.5GB を加えるので、パーティションサイズとしては 6.5GB を指定することになります:
# lvextend -L 6.5G /dev/mapper/VolGroup-lv_root
続けてファイルシステムとしてのサイズも変更します:
# resize2fs /dev/mapper/VolGroup-lv_root
これで / パーティションのサイズ変更は完了です。確認してみるとたしかに増えています(画面上では 6.4GB になってますが・・)。一連のコマンドのスクリーンショットはこんな感じです:
LVM を使っていなくても動的なパーティション変更ができないわけではないのですが、専用のツールを使って別システムから起動したり、サイズ調整に必要なパラメータが頻雑だったりと面倒です。その点 LVM だとサイズだけを意識するだけでいいので楽ですね。
その自動判断されたパーティションの割り振り方が本当に最適な内容であれば理想なのですが、現実はそうでないことが多いです。ディスク全体ではまだ余裕があるのに、特定のパーティションだけが残り少なくなってしまうケースは珍しいとは思えません。かといって全部をルートパーティションにするというのも万が一の際に全てを失ってしまうことになって・・・ というトレードオフです。
ところで、CentOS は普通に導入すると、そのディスクパーティショニングには標準で LVM(Logical Volume Manager : 論理ボリューム管理) が適用されます。深く考えずにデフォルト設定のまま Enter キー連打で導入すると LVM のパーティションが出来上がるので、導入後に「あ、LVM だった」と気付く人もいると思います(少なくともここに一人・・ σ(^^;)。
この LVM は柔軟な割り当てができるようになっていて、専用ツールなどを使わなくても、パーティション割り当てを導入後でも比較的容易に(開始ポイントや終了ポイントを意識することなく、サイズの指定だけで)変更することができます。 今回はこの LVM のパーティションニングを動的に変更する手順を紹介します。
まず前提として、現在の LVM によるパーティション内容は以下のようになっているものとします:
ファイルシステム | サイズ | 用途 |
---|---|---|
/dev/mapper/VolGroup-lv_root | 4.0GB | ルートファイルシステム |
tmpfs | 500MB | スワップ領域 |
/dev/mapper/VolGroup-lv_var | 4.5GB | /var にマウント |
これを最終的には以下のようなパーティショニングに変更することを今回の目的とします。もちろんこの変更によって容量の減る /var 以下のディスクが足りなくなることはないものとします:
ファイルシステム | サイズ | 用途 |
---|---|---|
/dev/mapper/VolGroup-lv_root | 6.5GB | ルートファイルシステム |
tmpfs | 500MB | スワップ領域 |
/dev/mapper/VolGroup-lv_var | 2.0GB | /var にマウント |
以下その手順を紹介しますが、大まかにはこのような手順をとります:
(1) /dev/mapper/VolGroup-lv_var を縮小
(2) /dev/mapper/VolGroup-lv_root を拡大
逆の手順は成立しないことを理解してください。最初にいきなりルートファイルを拡大しようとしてもディスクそのものに未使用の領域がない限りは足りなくなります。まずはどこかを減らして余りを作り、その余りを別のパーティションに追加する、という順序が必要になります。
というわけで、まずは (1) を行います。パーティションの縮小は(そのパーティション先にもよりますが)シングルユーザーモードで起動する必要があります。システムを再起動し、Linux の起動画面になったら何かキーを押してd自動ブートのカウントダウンを止めます:
この画面で E キーを押して起動モードの編集画面に移動します。そして "kernel" で始まる行に移動して再度 E キーを押します:
起動オプションの編集画面になるので、シングルユーザーモードを指定するために最後に " single" という文字を加えて Enter キーを押します:
1つ前の画面に戻りました。この画面だとわかりにくいのですが、kernel 行の最後には " single" が追加されています。改めてこの kernel 行が選択されている状態で B キーを押して起動します。
CentOS がシングルユーザーモードで起動しました。パスワードも不要です。
改めて現在のパーティション状況を確認します。 / に 4.0GB、/var に 4.5GB 割り当てられています。ここから /var の 2GB を / に付け替えるのが今回の目的になります。/var はまだ 309MB しか使っていないので、少なくともこの時点では 2GB 減らしても問題はありません。
まずはこのパーティションをアンマウントします:
# umount /var
ファイルシステムのサイズ変更は resize2fs コマンドで行いますが、減らす場合はその前に fsck コマンドでディスクチェックを行う必要があります。今回の /var(/dev/mapper/VolGroup-lv_var) は ext4 フォーマットなので、具体的には以下のコマンドを実行します:
# fsck.ext4 -f /dev/mapper/VolGroup-lv_var
チェック後に resize2fs コマンドでパーティションサイズを変更します(最後の "2G" が変更後のパーティションサイズです):
# resize2fs /dev/mapper/VolGroup-lv_var 2G
続けて論理ボリュームのサイズも 2G に変更します。確認メッセージが表示されたら y キーを入力します:
# lvreduce -L 2G /dev/mapper/VolGroup-lv_var
最後に変更後のパーティションを改めて /var にマウントします:
# mount -t ext4 /dev/mapper/VolGroup-lv_var /var
ここまでの一連のコマンドのスクリーンショットはこんな感じです:
試しにこの段階で一度パーティション状態を確認しておきます。確かに 4.6GB あった /var が 2.0GB に減っていることが確認できます:
では今度は /var で減らした分を /(/dev/mapper/VolGroup-lv_root) に追加割り当てします。増やす場合はアンマウント/マウントの必要がないのでより簡単です。 / は現在の 4.0GB に、追加する 2.5GB を加えるので、パーティションサイズとしては 6.5GB を指定することになります:
# lvextend -L 6.5G /dev/mapper/VolGroup-lv_root
続けてファイルシステムとしてのサイズも変更します:
# resize2fs /dev/mapper/VolGroup-lv_root
これで / パーティションのサイズ変更は完了です。確認してみるとたしかに増えています(画面上では 6.4GB になってますが・・)。一連のコマンドのスクリーンショットはこんな感じです:
LVM を使っていなくても動的なパーティション変更ができないわけではないのですが、専用のツールを使って別システムから起動したり、サイズ調整に必要なパラメータが頻雑だったりと面倒です。その点 LVM だとサイズだけを意識するだけでいいので楽ですね。
コメント