これらのブログ記事の続きです:
連鶴・連環鶴に関する考察(1)
連鶴・連環鶴に関する考察(2)
過去2回に渡って私の趣味である折鶴について紹介しました。特に連鶴/連環鶴/連捻環鶴と呼ばれる(私が勝手に名付けているだけですが・・)特殊な立体折り紙について、その概念や折り方、完成形について、折り進めていく際の注意点や用語なども交えて紹介してきました。
最終回の予定でもある第3回目は2回目の記事内でも「現在も取り組んでいる未解決問題」として紹介した、連環捻鶴の捩れ(ねじれ)問題について、今の時点で分かっていることを書き記しておこうと思います。なお、以下の文章内でも「連鶴」、「連環鶴」、「連捻環鶴」、「折鶴の基本形1」、「折鶴の基本形2」といった用語が出てきます。これらの用語定義については上述の考察(1)および(2)を参照してください。
【連捻環鶴の捩れ問題】
以下は考察(2)でも紹介した内容のおさらいです。
連環鶴を折る場合は、連環鶴として成立するような折り紙の初期状態を切り込み含めて準備することができれば(捩れなどを意識することなく)折ることができるが、連捻環鶴の場合は同じ初期状態から折り進めても途中でリングに捩れによる歪みが生じてしまうことがあり、そうなると最後まで折ることができなくなってしまうことがある、というものでした。ただ、この捩れによる歪みは生じるパターンと生じないパターンがあり、歪みが生じないパターンであれば連捻環鶴として完成させることができるが、歪みが生じてしまうと(歪みを正そうと紙が引っ張り合って千切れやすくなってしまって)連捻環鶴として完成させるのが非常に困難になってしまいます。 この「捩れによる歪みが生じるパターンなのか、生じないパターンなのか」を実際に折り進めることなく、折り紙を折り進める前の初期状態(切り込みまでを入れた状態)に判断するのが困難というのが連捻環鶴の捩れ問題でした。2026-05 月末の時点でも明確な判断方法がなかったため、「とりあえず折り始めて、途中で折れなくなったら諦める」しかできないという厄介な問題です。
本テーマのブログ3回目である今回は、この未解決問題について説明します。過去2回とは異なり、数学的というか、位相幾何学的というか、、、少し毛色の異なる内容です。
【突然のひらめき】
この未解決問題、暇さえあればずーーーーっと考えていたのですが、2026年6月のある日、急に「もしかして・・・」と閃きました! まだ数学的な証明ができるわけではなく仮説の段階ではあるのですが、これまで自分が経験してきたパターンでの結果とは一致していて、「もしかするとこの方法で折り始める前に連捻環鶴が折れるか折れないかを判断することができるかもしれない」という有力な仮説の1つと考えています。
その紹介の前に、この仮説を思いついた時にどんなことを考えていたのか、という紹介をします。結果的にはこういう方向性の内容を考えていたので、この仮説にたどり着いたのだと思っています。
改めて「2連鶴」が完成した時の状態を見てください。この2連鶴の両方の「頭」の部分は、折り始める前の長方形の折り紙の状態ではどこにあったのかを考えてみます:

答は下図の位置(空色の〇部分)です。これはなんとなく直感的に理解できる位置関係だと思っています:

2連鶴は左右で対象に折るだけなので、間に鏡を挟んでいるかのような位置関係になっています:

では「2連捻鶴」で同じ質問を考えてみます:

この2つの折り鶴の左側の鶴の「頭」の部分は、「2連鶴」の時と同じでこの位置なのですが、対応する右側の鶴の「頭」の部分は、もとの長方形ではどこになるかわかりますか?:

「2連鶴と同じじゃないの?」と思うかもしれませんが2連捻鶴では違います。答はなんとこの位置が右側の鶴の頭部分になるのでした:

ちょうどこの部分を軸に「(表と裏を入れ替えるために)半分捻って」作るので、ここが頭の位置に来るわけです。一見すると不思議ですが、連捻鶴ではこの辺りが「捻り(ひねり)」を加えて作られているわけですね:

同様にして「4連鶴」の、各4羽の頭の位置は下図のようになりますが、

「4連捻鶴」の各4羽の頭の位置はこのようになります:

同じことを「連環鶴」と「連捻環鶴」でも調べてみます。まず「4連環鶴」の場合、仮に1羽の頭がこの位置にあったとすると、他の3羽の頭の位置はどこになるかというと・・・:

その答はこちら。まあなんとなく直感的に分かる結果ですよね:

では「4連捻環鶴」ではどうでしょう?1羽の頭がこの位置にあったとすると、他の3羽の頭の位置はわかりますか?:

答はこちらです。2連捻鶴や4連捻鶴の時をヒントにすることでなんとなくわかりますかね:

同様に「12連環鶴」と「12連捻環鶴」の場合を比べてみます。「12連環鶴」の各12羽の鶴の頭の位置はこちらで、

「12連捻環鶴」の12羽の鶴の頭の位置はこちらです:

ここまでの結果を総合すると、なんとなくわかってきたことがあります:
・「連環鶴」はそもそも「ひねり」の要素がなく、「捩れて折れなくなる」ということはない(常に完成形まで折り進めることができる)
・「連捻鶴」、「連捻環鶴」はある1羽の鶴と、その隣の鶴との間では「半分ひねりが加えられて」折られる、つまり・・
・「連捻環鶴」の場合、最初の鶴からスタートして隣の鶴に移るたびに「半分ひねり」が加えられ続ける
・ただしひねりの方向(右回転なのか、左回転なのか)はケースバイケース
・そして最後の鶴(=最初の鶴)に戻ってきた時に「半分ひねり」のプラスマイナスがゼロになっていれば捩れのない綺麗なリング状で完成する。プラスマイナスゼロでない場合はリングに捩れが生じる(折れなくなる)
(以下、上の青字部分の仮説を※という記号で参照します)
例えば8連捻環鶴の場合は8回、12連捻環鶴の場合は12回「半分ひねり」が加えられる形になるのですが、8連捻環鶴の場合はその8回のひねりが最終的にプラスマイナスゼロにならないため捩れが生じてしまうため最後まで折ることができなくなってしまう。一方、12連捻環鶴の場合は12回のひねりが加わった結果、ひねりは最終的にプラスマイナスゼロになるためリング状に完成できる ・・・という違いなのではないか、と気が付きました。
この方法で考えると、1羽折る度に加わるひねりの方向が右回転なのか左回転なのかを見極める方法が分かれば、最終的にプラマイゼロになる(=連捻環鶴になる)か、ならない(=連捻環鶴にならない)かも実際に折らずに調べることができるのではないか? という問題に収束します。
【もしかして・・・ の仮説】
仮に上述の仮説※が正しい場合、連捻環鶴は複数回の捻りを加え続けた結果、最終的に右回転のひねりと左回転のひねりの回数が一致してプラスマイナスゼロになったことで成立していることになります。つまり少なくともどこかで1回はひねりの方向が右回転から左回転に、左回転から右回転に変わっていることになります。このひねりの方向はどのような条件で変わるのでしょうか? これが分かればこれから折り始めようとしている連捻環鶴が再度まできれいなリング状で折れるのか、或いは途中で捩れが生じて折れなくなってしまうのかがわかることになります。
これを1羽ずつ折り進めながらひねりの回数がどう変化するかを調べ続けた結果、、、

1つのある仮説に辿り着くことができました(数学的に証明できたわけではないので、「仮説」と記載しています)。未証明ではありますが、過去に私が作った/捩れて作れなかった連捻環鶴のパターンとは一致しています。
以下、12連捻環鶴の場合で説明します。折り始める前はこのような切り込みの入った正方形12個ぶんの折り紙を用意しています:

この時12個の正方形折り紙をよく見ると、両隣の正方形との2か所の連結部分の位置関係が線対称になっている正方形と、点対称になっている正方形の2種類があります:

12連捻環鶴の場合、連結部分の位置関係が線対称になっている正方形が4個、点対称になっている正方形が8個あります:

これらの正方形と、連捻環鶴のひねりの方向については以下のような関係がある、というのが私の仮説です:
・連結部分の位置関係が線対称になっている正方形ではひねりの方向が変化する
・連結部分の位置関係が点対称になっている正方形ではひねりの方向は変化しない
もう少し具体的に説明します。上の仮説の条件が正しいと仮定して、折り進める前のもとの状態の左上の正方形から時計回りにひねりの回数をカウントしてみます:

まず最初の正方形は普通に一羽折るだけなので、この時点ではひねりはありません。ひねりを数値化した回数はゼロ(0.0)です:

次に時計回りに隣の正方形を考えます。ここで※の条件から半分のひねりが加わります。仮に最初のひねりの方向を正の方向とすると、この時点で 0.5 のひねりが加わったことになります。 またこの正方形は連結部分の位置関係が点対称なので、次の正方形でも正方向のひねりが加わることになります:

更に隣の正方形でも半分のひねりが同じ方向に加わるので、この時点では 1.0 のひねりが加わったことになります。またこの正方形も連結部分の位置関係が点対称なので、次の正方形でも正方向のひねりが加わることになります:

更に隣の正方形半分のひねりが同じ方向に加わるので、この時点では 1.5 のひねりが加わったことになります。ただ、この正方形は連結部分の位置関係が線対称なので、次の正方形ではこれまでとは逆の負方向のひねりが加わることになります:

更に隣の正方形では半分のひねりがこれまでとは逆の方向に加わるので、この時点では 1.0 のひねりが加わったことになります。またこの正方形も連結部分の位置関係が点対称なので、次の正方形でも負方向のひねりが加わることになります:

この計算をずっと繰り返します。連結部分の位置関係が線対称になっている正方形を超えるたびにひねりの方向が変わるので、各正方形のひねりを数値化した値は図のようになります:

最後の正方形(=最初の正方形)に戻り、改めてひねりの数値まで計算するとちょうどゼロになります。計算結果の値がもとの値と一致していることになるので※の内容から、12連捻環鶴はきれいなリングとして折ることができる、という結論が得られます(実際に折ることができます):

(実際、12連捻環鶴は折れる)

一方、同じことを8連環鶴でも行ってみます:

8連環鶴のスタートを左上の正方形として、時計回りに各正方形のひねりの値を計算していくとこのようになります:

最後の正方形(=最初の正方形)のひねりの数値まで計算すると 2.0 になります。この値がゼロにはならなかったので※の内容から、8連捻環鶴は捩れが生じてしまい、きれいなリングとして折ることはできない、という結論になります(実際、捩れが生じてしまい、折ることはできません):

【連捻環鶴がリング状に折ることができる条件(の仮説)】
改めて、上記※の仮説を、連捻環鶴として折ることができるかどうかの判断基準だけに絞って文章化するとこのようになります:
・連環鶴として折ることができる、最初の展開図を見る
・1羽ずつの各鶴を構成する正方形の連結部分に注目する。特に連結部分の位置関係が線対称になっている正方形(直線を構成する正方形ではなく、角の位置にある正方形)に着目する
・左上の角の位置にある正方形から、時計回りにひねりの大きさを正方形毎に数値化していく
・最初はゼロ(0.0)
・次の正方形からは 0.5 ずつ加算/減算する
・連結部分の位置関係が線対称になっている正方形を通過するごとに加算と減算が入れ替わる
・最後の鶴(=左上の最初の鶴)に戻ってきた時にひねりの数値がゼロになっていれば捩れのない綺麗なリング状で完成する。ゼロでない場合はリングに捩れが生じる(連捻環鶴としては折れなくなる)。
↑もう少し数学的に洗練された内容にしたいと思っていますが、これを数学的にどう表現するかにも苦戦していて、うまくできません。。
ちなみに4連捻環鶴の場合はこのようになります。4つの正方形は全て連結部分が線対称となり、左上の鶴のひねりの数値を計算するとゼロとなり、捩れのないリング状の4連捻環鶴は作れるという計算結果になります(実際に作れます):


残念ながら数学的な証明ができたわけではない仮説としての段階ではありますが、これまでに私が挑戦した連捻環鶴を折った結果とは例外なく一致しており、あながち間違っていないのでないかと考えています。
次は数学的な証明にも挑戦してみたい・・・と思う一方で、実際に大きな数の連環鶴や連捻環鶴を作ることにも挑戦したいと思っています。
自分が大学時代からこれまで興味を持って取り組んできた連環鶴・連捻環鶴に関する考察を、3回に渡ってブログで紹介させていただきました。一応今回が最終回の予定ですが、もし何らかの進展(「数学的に証明できた」とか「こんな大きな連(捻)環鶴が作れた」といった進展)があれば第4回目以降があるかもしれません。
連鶴・連環鶴に関する考察(1)
連鶴・連環鶴に関する考察(2)
過去2回に渡って私の趣味である折鶴について紹介しました。特に連鶴/連環鶴/連捻環鶴と呼ばれる(私が勝手に名付けているだけですが・・)特殊な立体折り紙について、その概念や折り方、完成形について、折り進めていく際の注意点や用語なども交えて紹介してきました。
最終回の予定でもある第3回目は2回目の記事内でも「現在も取り組んでいる未解決問題」として紹介した、連環捻鶴の捩れ(ねじれ)問題について、今の時点で分かっていることを書き記しておこうと思います。なお、以下の文章内でも「連鶴」、「連環鶴」、「連捻環鶴」、「折鶴の基本形1」、「折鶴の基本形2」といった用語が出てきます。これらの用語定義については上述の考察(1)および(2)を参照してください。
【連捻環鶴の捩れ問題】
以下は考察(2)でも紹介した内容のおさらいです。
連環鶴を折る場合は、連環鶴として成立するような折り紙の初期状態を切り込み含めて準備することができれば(捩れなどを意識することなく)折ることができるが、連捻環鶴の場合は同じ初期状態から折り進めても途中でリングに捩れによる歪みが生じてしまうことがあり、そうなると最後まで折ることができなくなってしまうことがある、というものでした。ただ、この捩れによる歪みは生じるパターンと生じないパターンがあり、歪みが生じないパターンであれば連捻環鶴として完成させることができるが、歪みが生じてしまうと(歪みを正そうと紙が引っ張り合って千切れやすくなってしまって)連捻環鶴として完成させるのが非常に困難になってしまいます。 この「捩れによる歪みが生じるパターンなのか、生じないパターンなのか」を実際に折り進めることなく、折り紙を折り進める前の初期状態(切り込みまでを入れた状態)に判断するのが困難というのが連捻環鶴の捩れ問題でした。2026-05 月末の時点でも明確な判断方法がなかったため、「とりあえず折り始めて、途中で折れなくなったら諦める」しかできないという厄介な問題です。
本テーマのブログ3回目である今回は、この未解決問題について説明します。過去2回とは異なり、数学的というか、位相幾何学的というか、、、少し毛色の異なる内容です。
【突然のひらめき】
この未解決問題、暇さえあればずーーーーっと考えていたのですが、2026年6月のある日、急に「もしかして・・・」と閃きました! まだ数学的な証明ができるわけではなく仮説の段階ではあるのですが、これまで自分が経験してきたパターンでの結果とは一致していて、「もしかするとこの方法で折り始める前に連捻環鶴が折れるか折れないかを判断することができるかもしれない」という有力な仮説の1つと考えています。
その紹介の前に、この仮説を思いついた時にどんなことを考えていたのか、という紹介をします。結果的にはこういう方向性の内容を考えていたので、この仮説にたどり着いたのだと思っています。
改めて「2連鶴」が完成した時の状態を見てください。この2連鶴の両方の「頭」の部分は、折り始める前の長方形の折り紙の状態ではどこにあったのかを考えてみます:

答は下図の位置(空色の〇部分)です。これはなんとなく直感的に理解できる位置関係だと思っています:

2連鶴は左右で対象に折るだけなので、間に鏡を挟んでいるかのような位置関係になっています:

では「2連捻鶴」で同じ質問を考えてみます:

この2つの折り鶴の左側の鶴の「頭」の部分は、「2連鶴」の時と同じでこの位置なのですが、対応する右側の鶴の「頭」の部分は、もとの長方形ではどこになるかわかりますか?:

「2連鶴と同じじゃないの?」と思うかもしれませんが2連捻鶴では違います。答はなんとこの位置が右側の鶴の頭部分になるのでした:

ちょうどこの部分を軸に「(表と裏を入れ替えるために)半分捻って」作るので、ここが頭の位置に来るわけです。一見すると不思議ですが、連捻鶴ではこの辺りが「捻り(ひねり)」を加えて作られているわけですね:

同様にして「4連鶴」の、各4羽の頭の位置は下図のようになりますが、

「4連捻鶴」の各4羽の頭の位置はこのようになります:

同じことを「連環鶴」と「連捻環鶴」でも調べてみます。まず「4連環鶴」の場合、仮に1羽の頭がこの位置にあったとすると、他の3羽の頭の位置はどこになるかというと・・・:

その答はこちら。まあなんとなく直感的に分かる結果ですよね:

では「4連捻環鶴」ではどうでしょう?1羽の頭がこの位置にあったとすると、他の3羽の頭の位置はわかりますか?:

答はこちらです。2連捻鶴や4連捻鶴の時をヒントにすることでなんとなくわかりますかね:

同様に「12連環鶴」と「12連捻環鶴」の場合を比べてみます。「12連環鶴」の各12羽の鶴の頭の位置はこちらで、

「12連捻環鶴」の12羽の鶴の頭の位置はこちらです:

ここまでの結果を総合すると、なんとなくわかってきたことがあります:
・「連環鶴」はそもそも「ひねり」の要素がなく、「捩れて折れなくなる」ということはない(常に完成形まで折り進めることができる)
・「連捻鶴」、「連捻環鶴」はある1羽の鶴と、その隣の鶴との間では「半分ひねりが加えられて」折られる、つまり・・
・「連捻環鶴」の場合、最初の鶴からスタートして隣の鶴に移るたびに「半分ひねり」が加えられ続ける
・ただしひねりの方向(右回転なのか、左回転なのか)はケースバイケース
・そして最後の鶴(=最初の鶴)に戻ってきた時に「半分ひねり」のプラスマイナスがゼロになっていれば捩れのない綺麗なリング状で完成する。プラスマイナスゼロでない場合はリングに捩れが生じる(折れなくなる)
(以下、上の青字部分の仮説を※という記号で参照します)
例えば8連捻環鶴の場合は8回、12連捻環鶴の場合は12回「半分ひねり」が加えられる形になるのですが、8連捻環鶴の場合はその8回のひねりが最終的にプラスマイナスゼロにならないため捩れが生じてしまうため最後まで折ることができなくなってしまう。一方、12連捻環鶴の場合は12回のひねりが加わった結果、ひねりは最終的にプラスマイナスゼロになるためリング状に完成できる ・・・という違いなのではないか、と気が付きました。
この方法で考えると、1羽折る度に加わるひねりの方向が右回転なのか左回転なのかを見極める方法が分かれば、最終的にプラマイゼロになる(=連捻環鶴になる)か、ならない(=連捻環鶴にならない)かも実際に折らずに調べることができるのではないか? という問題に収束します。
【もしかして・・・ の仮説】
仮に上述の仮説※が正しい場合、連捻環鶴は複数回の捻りを加え続けた結果、最終的に右回転のひねりと左回転のひねりの回数が一致してプラスマイナスゼロになったことで成立していることになります。つまり少なくともどこかで1回はひねりの方向が右回転から左回転に、左回転から右回転に変わっていることになります。このひねりの方向はどのような条件で変わるのでしょうか? これが分かればこれから折り始めようとしている連捻環鶴が再度まできれいなリング状で折れるのか、或いは途中で捩れが生じて折れなくなってしまうのかがわかることになります。
これを1羽ずつ折り進めながらひねりの回数がどう変化するかを調べ続けた結果、、、

1つのある仮説に辿り着くことができました(数学的に証明できたわけではないので、「仮説」と記載しています)。未証明ではありますが、過去に私が作った/捩れて作れなかった連捻環鶴のパターンとは一致しています。
以下、12連捻環鶴の場合で説明します。折り始める前はこのような切り込みの入った正方形12個ぶんの折り紙を用意しています:

この時12個の正方形折り紙をよく見ると、両隣の正方形との2か所の連結部分の位置関係が線対称になっている正方形と、点対称になっている正方形の2種類があります:

12連捻環鶴の場合、連結部分の位置関係が線対称になっている正方形が4個、点対称になっている正方形が8個あります:

これらの正方形と、連捻環鶴のひねりの方向については以下のような関係がある、というのが私の仮説です:
・連結部分の位置関係が線対称になっている正方形ではひねりの方向が変化する
・連結部分の位置関係が点対称になっている正方形ではひねりの方向は変化しない
もう少し具体的に説明します。上の仮説の条件が正しいと仮定して、折り進める前のもとの状態の左上の正方形から時計回りにひねりの回数をカウントしてみます:

まず最初の正方形は普通に一羽折るだけなので、この時点ではひねりはありません。ひねりを数値化した回数はゼロ(0.0)です:

次に時計回りに隣の正方形を考えます。ここで※の条件から半分のひねりが加わります。仮に最初のひねりの方向を正の方向とすると、この時点で 0.5 のひねりが加わったことになります。 またこの正方形は連結部分の位置関係が点対称なので、次の正方形でも正方向のひねりが加わることになります:

更に隣の正方形でも半分のひねりが同じ方向に加わるので、この時点では 1.0 のひねりが加わったことになります。またこの正方形も連結部分の位置関係が点対称なので、次の正方形でも正方向のひねりが加わることになります:

更に隣の正方形半分のひねりが同じ方向に加わるので、この時点では 1.5 のひねりが加わったことになります。ただ、この正方形は連結部分の位置関係が線対称なので、次の正方形ではこれまでとは逆の負方向のひねりが加わることになります:

更に隣の正方形では半分のひねりがこれまでとは逆の方向に加わるので、この時点では 1.0 のひねりが加わったことになります。またこの正方形も連結部分の位置関係が点対称なので、次の正方形でも負方向のひねりが加わることになります:

この計算をずっと繰り返します。連結部分の位置関係が線対称になっている正方形を超えるたびにひねりの方向が変わるので、各正方形のひねりを数値化した値は図のようになります:

最後の正方形(=最初の正方形)に戻り、改めてひねりの数値まで計算するとちょうどゼロになります。計算結果の値がもとの値と一致していることになるので※の内容から、12連捻環鶴はきれいなリングとして折ることができる、という結論が得られます(実際に折ることができます):

(実際、12連捻環鶴は折れる)

一方、同じことを8連環鶴でも行ってみます:

8連環鶴のスタートを左上の正方形として、時計回りに各正方形のひねりの値を計算していくとこのようになります:

最後の正方形(=最初の正方形)のひねりの数値まで計算すると 2.0 になります。この値がゼロにはならなかったので※の内容から、8連捻環鶴は捩れが生じてしまい、きれいなリングとして折ることはできない、という結論になります(実際、捩れが生じてしまい、折ることはできません):

【連捻環鶴がリング状に折ることができる条件(の仮説)】
改めて、上記※の仮説を、連捻環鶴として折ることができるかどうかの判断基準だけに絞って文章化するとこのようになります:
・連環鶴として折ることができる、最初の展開図を見る
・1羽ずつの各鶴を構成する正方形の連結部分に注目する。特に連結部分の位置関係が線対称になっている正方形(直線を構成する正方形ではなく、角の位置にある正方形)に着目する
・左上の角の位置にある正方形から、時計回りにひねりの大きさを正方形毎に数値化していく
・最初はゼロ(0.0)
・次の正方形からは 0.5 ずつ加算/減算する
・連結部分の位置関係が線対称になっている正方形を通過するごとに加算と減算が入れ替わる
・最後の鶴(=左上の最初の鶴)に戻ってきた時にひねりの数値がゼロになっていれば捩れのない綺麗なリング状で完成する。ゼロでない場合はリングに捩れが生じる(連捻環鶴としては折れなくなる)。
↑もう少し数学的に洗練された内容にしたいと思っていますが、これを数学的にどう表現するかにも苦戦していて、うまくできません。。
ちなみに4連捻環鶴の場合はこのようになります。4つの正方形は全て連結部分が線対称となり、左上の鶴のひねりの数値を計算するとゼロとなり、捩れのないリング状の4連捻環鶴は作れるという計算結果になります(実際に作れます):


残念ながら数学的な証明ができたわけではない仮説としての段階ではありますが、これまでに私が挑戦した連捻環鶴を折った結果とは例外なく一致しており、あながち間違っていないのでないかと考えています。
次は数学的な証明にも挑戦してみたい・・・と思う一方で、実際に大きな数の連環鶴や連捻環鶴を作ることにも挑戦したいと思っています。
自分が大学時代からこれまで興味を持って取り組んできた連環鶴・連捻環鶴に関する考察を、3回に渡ってブログで紹介させていただきました。一応今回が最終回の予定ですが、もし何らかの進展(「数学的に証明できた」とか「こんな大きな連(捻)環鶴が作れた」といった進展)があれば第4回目以降があるかもしれません。




































































