まだプログラマーですが何か?

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2017/01

メインフレーム(IBM z Systems)上で動く Linux である IBM LinuxONE の上で Node.js を動かすことに挑戦してみます。環境は IBM LinuxONE のクラウドサービスである IBM LinuxONE コミュニティクラウドの、RHEL 6.x のサーバーインスタンスを使うことにします。

なお IBM LinuxONE コミュニティクラウド上に RHEL 6.x サーバー環境を構築する手順についてはこちらを参照ください:
IBM LinuxONE コミュニティクラウドを使う(2017年1月版)


まず、そもそも LinuxONE 上に Node.js をインストールできるのか!? という問題があります。yum のリポジトリが用意されているわけではないし、ソースからビルドするのもライブラリが充分ではなかったりします。さて、どうするか・・・

実は Node.js に関しては IBM SDK for Node.js という形で、IBM から多くのプラットフォーム向けインストーラーバイナリが提供されています。LinuxONE もその対象プラットフォームの中の1つなのでした:
https://developer.ibm.com/node/sdk/


上記サイトからは x86 の Linux や Windows, Mac OS だけでなく、 AIX や Power Linux、そして LinuxONE 環境で動く Node.js の各バージョンがバイナリの形で提供されています。

実際には全てのバージョンが全ての環境で動作するわけではありません。例えば Node.js V6 の場合は以下のプラットフォームで動くものが提供されています。LinuxONE(IBM 64-bit z Systems) の RHEL の場合、7.x だけが動作環境に指定されています(他に SLES 12 と Ubuntu 16.04 で動きます。RHEL 6.x ではライブラリが足りないので動かないようです):
2017011601



逆に LinuxONE の RHEL 6.x で動く最も上位のバージョンを探してみると・・・ Node.js V1.2 であれば動きそうでした:
2017011602


というわけで、以下のサイトから LinuxONE(Linux on System z 64-bit) 向けの IBM SDK for Node.js V1.2 の最新版モジュールをダウンロードします。私がダウンロードした時点では ibm-1.2.0.17-node-v0.12.18-linux-s390x.bin というファイルがダウンロードできました。以下このファイルをダウンロードした前提で説明しますが、バージョンが異なっている場合は適宜読み替えてください:
https://developer.ibm.com/node/sdk/#v12

2017011603


ダウンロードしたファイルに管理者権限で実行権限を与え、実行します:
# chmod +x ibm-1.2.0.17-node-v0.12.18-linux-s390x.bin
# ./ibm-1.2.0.17-node-v0.12.18-linux-s390x.bin

後は画面の指示に従ってインストールするだけ。指定箇所があるとすればインストール先フォルダですが、私は /data/ibm/node というディレクトリを指定しました。

インストールが完了したら実行します。まずは IBM SDK for Node.js のバージョンを確認してみましょう:
# cd /data/ibm/node/bin
# ./node -v
v0.12.18

上記のように "v0.12.18" というバージョン名が表示されればインストール成功です! 後は /etc/bashrc などでパスを通しておけば、コマンドプロンプトから便利に使うことができるようになります:
# vi /etc/bashrc

    :
(以下の3行を最後に追加)
    :
# node.js
export NODEJS_HOME=/data/ibm/node
export PATH=$PATH:$NODEJS_HOME/bin

なお、npm(node package manager) コマンドも node と同じディレクトリに入っているので同様に使えるようになります。




CentOS や RHEL で便利に利用されているパッケージ管理コマンドの "yum" 。このコマンドの便利な使い方の1つが groupinstall と呼ばれる機能です。ある環境を用意しようとした際に複数のパッケージを導入しないといけない場合、その複数のパッケージを1つの「グループパッケージ」のまとまりとみなし、グループパッケージ1つを指定して導入することで環境構築が可能になります。

個人的によく使う例で紹介すると、GUI のデスクトップ環境であれば "Desktop"、日本語サポート環境であれば "Japanese Support" などです。それぞれ以下のコマンドで導入できます:
(デスクトップ環境)
# yum groupinstall "Desktop"
(日本語サポート環境) # yum groupinstall "Japanese Support"

上記のようにグループパッケージを指定するだけでまとまったパッケージを導入できるのは便利なのですが、ではこれらのコマンドで実際にどのようなパッケージが導入されるのかを調べる方法はあるでしょうか? その答が yum の groupinfo コマンドです。例えば "Desktop" で何が導入されるのかを確認するには以下のようなコマンドを実行します(黒字が入力、青字が出力結果です):
# yum groupinfo "Desktop"
  :
  :
グループ: デスクトップ
 説明: シンクライアントとして使用できる最低限のデスクトップ
 強制的なパッケージ:
   NetworkManager
   NetworkManager-gnome
   alsa-plugins-pulseaudio
   at-spi
   control-center
   dbus
   gdm
   gdm-user-switch-applet
   gnome-panel
   gnome-power-manager
   gnome-screensaver
   gnome-session
   gnome-terminal
   gvfs-archive
   gvfs-fuse
   gvfs-smb
   metacity
   nautilus
   notification-daemon
   polkit-gnome
   xdg-user-dirs-gtk
   yelp
 標準パッケージ:
   control-center-extra
   eog
   gdm-plugin-fingerprint
   gnome-applets
   gnome-media
   gnome-packagekit
   gnome-vfs2-smb
   gok
   openssh-askpass
   orca
   pulseaudio-module-gconf
   pulseaudio-module-x11
   vino
 オプション パッケージ:
   sabayon-apply
   tigervnc-server
   xguest


同様に "Japanese Support" の場合は以下のようになりました:
# yum groupinfo "Japanese Support"
  :
  :
グループ: 日本語のサポート
 Language: ja
 標準パッケージ:
   ipa-gothic-fonts
   ipa-mincho-fonts
   ipa-pgothic-fonts
   ipa-pmincho-fonts
   vlgothic-fonts
   vlgothic-p-fonts
 条件付パッケージ:
   autocorr-ja
   eclipse-nls-ja
   ibus-anthy
   kde-i18n-Japanese
   kde-l10n-Japanese
   libreoffice-langpack-ja
   man-pages-ja
   poppler-data


これらの結果の中の「強制的パッケージ」と「標準パッケージ」が groupinstall コマンドによって導入されます。また「オプションパッケージ」や「条件付きパッケージ」が導入可能になります。

滅多にはないのですが、CentOS/RHEL の環境によっては "yum groupinstall" コマンドが使えないこともあります。その場合はここに記載した情報を使って "yum install" で同様の環境構築が可能になります。

※ここに記載されていないグループパッケージを導入する場合は、"yum groupinfo" の使える環境でパッケージを確認し、そこにリストされたパッケージを "yum install" する、という形になります。


PHP の MVC フレームワークの1つである CakePHP は、デフォルト設定の場合はその内部キャッシュにファイルシステムが使われています。

もちろんこれでも動くのですが、このキャッシュを memcached(メモリサーバー)にすることで、比較的簡単に高速化を実現することができます。以下は CakePHP 2.x を使う前提ですが、キャッシュに memcached を利用する方法を紹介します。


まずは memcached と、PHP から memcached を利用するための pecl-memcache をインストールしておきます:
# yum install memcached php-pecl-memcache -y

このコマンドが失敗する場合は yum リポジトリが足りていない可能性が高いので、以下のコマンドを実行してから再度 yum install してみてください(RHEL 6.x x86_64 の場合):
# rpm -Uhv http://ftp.riken.jp/Linux/repoforge/redhat/el6/en/x86_64/rpmforge/RPMS/rpmforge-release-0.5.3-1.el6.rf.x86_64.rpm

memcached と pecl-memcache がインストールできたら memcached を起動し、httpd を再起動します:
# /etc/init.d/memcached start
# chkconfig memcached on
# /etc/init.d/httpd restart

これで memcached の用意ができました。では CakePHP 側の設定を変更して、この memcached を利用するようにしてみましょう。app/Config/core.php ファイルを編集し、以下の設定を加えます:
# vi app/Config/core.php

  :
  :
//. デフォルトのキャッシュ設定(Cache::config で始まっている設定)が有効になっていたらコメントで無効にする //. Cache::config( "default", array( "engine" => "File" ) );
:
: //. デフォルトでは memcached にキャッシュするよう設定を追加 Cache::config( "default", array( "engine" => "Memcache", // 保存先は memcache "duration" => 3600, // キャッシュの有効時間は3600秒 "probability" => 100, // キャッシュ再作成率は100%(全て) "prefix" => Inflector::slug( APP_DIR ) . "_", // キャッシュ名のプレフィクスは定数 APP_DIR + "_" "servers" => array( "127.0.0.1:11211" ), // memcached サーバーとポート番号 "compress" => false // キャッシュは圧縮しない ));
: :

では現在までに作成されたキャッシュを全てクリアします:
# cd app/tmp/cache
# rf -rf ./*

この後に CakePHP を使ってみて、app/tmp/cache 以下にフォルダが作成されていないことが確認できれば成功です。

前回、LAMP 環境を構築した IBM LinuxONE サーバーを使って、PHP のメジャーな MVC フレームワークの1つであるCakePHP の環境を整えてみます:
IBM LinuxONE コミュニティクラウド上で LAMP 環境を作る


まず CakePHP を動かす場合の PHP 設定を行います。/etc/php.ini を適宜変更するのですが、最低限やっておかないといけないのが、タイムゾーンの設定です。/etc/php.ini を編集して、以下の設定を加えます([Date] カテゴリ内でコメントアウトされている Date.timezone の設定からコメントを外し、"Asia/Tokyo" に設定して保存します:
$ sudo vi /etc/php.ini

  :
  :
[Date]
Date.timezone = "Asia/Tokyo"
  :
  :

また CakePHP では PHPUnit というモジュールを使うことになるので、これもインストールしておきます。前回の LAMP 環境構築時に pear もインストールしているので、pear を使って PHPUnit を導入します:
$ sudo pear install pear/PHPUnit

次に MySQL の設定を行います。まずは文字コードの設定を変更して、デフォルトで UTF-8 を使えるようにします:
$ sudo vi /etc/my.cnf

[mysqld]
character-set-server=utf8

[mysql]
default-character-set=utf8



今回は CakePHP 専用のデータベース(cakedb)を新たに作成し、その中に商品情報を格納するマスターテーブル(items)と、商品カテゴリを格納するマスターテーブル(categories)を定義することにします:
$ mysql -u root -p

mysql> create database cakedb default character set utf8;
mysql> use cakedb
mysql> create table items( id int primary key auto_increment, name varchar(50), category_id int, created datetime default null, modified datetime default null );
mysql> create table categories( id int primary key auto_increment, name varchar(50), created datetime default null, modified datetime default null );
mysql> quit

1つのデータベースと、2つのテーブルを作りました。必要に応じてこれらにアクセスできるユーザーなどを追加しましょう。

これら2つのマスターテーブルを操作できるような環境を CakePHP で作ることにしましょう。ここは必須ではありませんが、データベースを操作する上では phpMyAdmin があると便利です。IBM LinuxONE コミュニティクラウドのサーバーに phpMyAdmin 環境を導入する場合の手順はこちらの記事を参考にしてください:
IBM LinuxONE コミュニティクラウド上に phpMyAdmin を導入する


ではいよいよメインディッシュの CakePHP 環境を構築します。PHP 5.3 でも動くよう、CakePHP のバージョンは 2.x を使うことにします。またこれも Apache HTTPD のドキュメントルートがデフォルトのままの /var/www/html であるとして作業を紹介します:
$ https://github.com/cakephp/cakephp/archive/2.9.4.zip
$ sudo /bin/bash
# cd /var/www/html
# unzip ~linux1/2.9.4.zip
# mv cakephp-2.9.4 cakephp
# chmod 777 -R cakephp/app/tmp
# chmod 755 cakephp/lib/Cake/Console/cake
# cd cakephp/app/Config
# vi core.php

  :
  :
/**
 * A random string used in security hashing methods.
 */
        Configure::write('Security.salt', 'ABCDabcd1234');

/**
 * A random numeric string (digits only) used to encrypt/decrypt strings.
 */
        Configure::write('Security.cipherSeed', '1234567890');
  :
  :

最後の cakephp/app/Config/core.php の編集作業では 'Security.salt' の値と、'Security.cipherSeed' の値はデフォルトの(既知の)値のままだと危ないのでランダムな値に書き換えました。

続けて(カレントディレクトリが cake/app/Config/ の状態で)、更にデータベースの設定ファイルを用意して、自分の環境に合わせた設定を行います:
# cp database.php.default database.php
# vi database.php

  :
  :
class DATABASE_CONFIG {

        public $default = array(
                'datasource' => 'Database/Mysql',
                'persistent' => false,
                'host' => 'localhost',
                'login' => 'root',
                'password' => 'P@ssw0rd',
                'database' => 'cakedb',
                'prefix' => '',
                //'encoding' => 'utf8',
        );
  :
  :

↑具体的にはユーザー名(login)、パスワード(password)、データベース(database)の値を書き換えます。


CakePHP 自体はここまでの設定で動くはずです。必要に応じて DebugKit などの便利なプラグインを cakephp/app/Plugin/ 以下に追加で導入してください。DebugKit の導入に関してはこちらを参照ください:
https://github.com/cakephp/debug_kit/tree/2.2


ブラウザで http://(IPアドレス)/cakephp/ にアクセスすると、CakePHP のホーム画面が表示されます。緑と黄色のバーが並んでいる状態であれば、少なくとも設定は間違っていないことになります。下図では DebugKit まで導入して、全て緑になっている状態です:
2017010603

 

IBM LinuxONE コミュニティクラウド上に LAMP 環境のサーバーを作り、そのデータベースを管理するための phpMyAdmin を導入します。LAMP 環境を作るまでの手順は以下を参照してください:


LAMP 環境が出来てしまえば phpMyAdmin は普通に導入できるのでは・・・ と考える人がいるかもしれません。ほぼ正解ですが一点だけ注意点があります。

2017/Jan/06 時点では、IBM LinuxONE コミュニティクラウドの RHEL 6.x で提供されている PHP のバージョンは 5.3.3 です。一方で phpMyAdmin の最新バージョンは 4.6.5.2 ですが、こちらは PHP 5.5 以上を動作環境としています。つまり現時点の LinuxONE 環境では phpMyAdmin 最新バージョンの動作条件を満たすことができないのでした。

というわけで、PHP 5.3.3 でも動作できるバージョンの phpMyAdmin 4.0.x を用意する必要があります。この一点だけが注意点なのでした。


では改めて、こちらの手順を参考に IBM LinuxONE コミュニティクラウド上に作った仮想サーバーに SSH でログインします:
2017010403


では phpMyAdmin 4.0.x(2017/Jan/06 時点の最新版は 4.0.10.18)を導入します。Apache HTTP サーバーのドキュメントルートはデフォルトの /var/www/html であると仮定して、以下を実行します:
$ wget https://files.phpmyadmin.net/phpMyAdmin/4.0.10.18/phpMyAdmin-4.0.10.18-all-languages.zip
$ sudo /bin/bash
# cd /var/www/html
# unzip ~linux1/phpMyAdmin-4.0.10.18-all-languages.zip
# mv phpMyAdmin-4.0.10.18-all-languages phpMyAdmin
# exit

これで http://(IPアドレス)/phpMyAdmin/ にアクセスすれば phpMyAdmin にアクセスできます。必要に応じて認証をつけた上で運用してください:
2017010602



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