まだプログラマーですが何か?

プログラマーネタ中心。たまに作成したウェブサービス関連の話も https://twitter.com/dotnsf

2014/07

オープンベータが続けられてきた IBM Bluemix が 7/1 にGA(Generally Available)を迎えました:
IBM Bluemix General Availability! 
2014070101


同時にこれまでの無料トライアル期間も終了しました。今後、新たに利用申し込みをすると1ヶ月間の無料トライアル期間が与えられます。 またこれまで無料トライアルを使っていたユーザーは自動的に1ヶ月間の無料トライアルアカウントが引き継がれて、これまで Bluemix 上で作成したアプリはまだそのまま有効になっている模様です。


まだ一部の情報しか公開されていないようですが、分かる範囲でその内容を、個人的な感想も交えて紹介します。なお以下の情報は 2014/07/01 現在の情報であり、今後変更の可能性があることをご了承ください。

もっともインパクトの大きな発表は、これまで公開されていなかった IBM Bluemix の利用価格が一部発表されていることです:
IBM Bluemix : pricing
2014070102


ランタイム(ウェブアプリケーションサーバー)は利用メモリで課金され、メモリ1GBを1時間使うごとに US$0.07 と記載されています。単純にメモリ1GBのサーバーを1ヶ月(=30日)使うと仮定すると、
  0.07 * 24 * 30 = 50.4
なので月額 US$50.4 課金される、ということになると思います。
2014070103


なおランタイムはデフォルト状態ではこの半分の 512MB メモリで稼働します。なのでデフォルトのまま使うとアプリサーバー1台あたり、この半分の US$25.2 ということになります。

またプライスリストを見る限り、無料枠が提供されているように思えます。ランタイムの無料枠については
  375 GB-hours per month (shared across all runtimes)
と記載されています。解釈を間違っていたらどなたか指摘いただきたいのですが、これは
  全ランタイム合計で、月に 375 時間/GB のメモリ利用までは無料
という意味だと思います。

仮に1ヶ月を30日とすると、1ヶ月は 720 時間あります。1GB メモリのマシンを1ヶ月続けて使うと 720 時間/GB 使うことになります。これだと無料枠(375)を超えてしまいます。

でも(デフォルトの) 512MB メモリのマシンであれば、1ヶ月続けて使っても 360 時間/GBなので無料枠で収まることになります(1ヶ月=31日計算でもギリギリOK)。つまりアプリケーションサーバーのランタイムはデフォルトの 512MB メモリサーバーを1台使い続ける分には無料枠内で使える、ということだと思っています。 

あるいは計算上は 256MB メモリのサーバーを2台使い続けることも無料枠内でできる、とも言えます。まあ、256MB でアプリケーションサーバーがまともに動くかどうかはわかりませんが・・・


一方、サービスについては「一部のみ価格が公開された」という印象です。例えばビッグデータ用 DBaaS である BLUAcceleration の記載はまだないので、BLUAcceleration の利用価格はよくわかりません。

ただ IBM ソフトウェアを使ったサービスに関しても無料枠が設定されているように見受けられます。例えば SQL database サービスは IBM DB2 をバックエンドに使える DBaaS ですが、価格欄には
  $30.00 USD/Instance
  2 GB free per instance.
と記載されています。
2014070104


この 2GB はおそらくディスク容量だと思うので、「2GB のデータまでは無料」と解釈できます。本当だとしたら、本来有償製品である DB2 を、2GB まで無料で、しかも DBaaS 環境で使える、ということになり、これはかなりお得な気がしています。 「課金が始まったら絶対高いに決まってる」と思っていたので、いい意味で期待を大きく裏切られました。

ちなみに、先日僕がブログで公開したオンライン TwiML エディターは Bluemix 上で動いていますが、アプリケーションサーバーは Liberry for Java で、バックエンドデータベースはこの SQL Database を使ってます。アプリケーションサーバーのメモリを 512MB 以内にしておけば無料枠内で稼働を続けることができそうです。

この SQL Database 以外にも Git Hosting など無料で提供されるサービスが他にもあり、無料枠内だけでもそこそこ使えるパブリック CloudFoundry 環境、と言えそうな条件です。これは使わないと損ですね。


なお本家 CloudFoundry の価格はメモリ 1 GB あたり一時間 US$0.03 です。これだけを見ると Bluemix の半分以下に見えます。ただ Bluemix は上述のように無料で使える各種サービスが充実していて、それらを組み合わせて使うことを考えると、一概に Bluemix が高いとはいえなくなると思っています。


(注 この記事は古くなったので、新しい記事をこちらに記載しています)
http://dotnsf.blog.jp/archives/1059206837.html


全文検索エンジン ElasticSearch に日本語形態素解析ソフトウェアである Kuromoji のプラグインを導入して、日本語全文検索環境を構築します。


まずは ElasticSearch をインストールします。ElasticSearch のインストールそのものの手順については以前のエントリを参照してください:
ElasticSearch を導入して CouchBase サーバーの全文検索を行う


ElasticSearch の導入ができたら、この段階で動作確認をしておきます。まずはデータを登録します(青字は実行結果です):
# curl -XPUT http://localhost:9200/mytest/test/1 -d '{ "title":"memo", "text":"ほげほげ" }'

{"_index":"mytest","_type":"test","_id":"1","_version":1,"created":true}


id = 1 のデータとして、title = "memo", text = "ほげほげ" の JSON データを Index = mytest, Type = test で登録しました。次にこのデータを GET メソッドで検索します:
# curl -XGET http://localhost:9200/mytest/test/_search -d '{ "query": { "match": { "title":"memo" } } }'
{"took":54,"timed_out":false,"_shards":{"total":5,"successful":5,"failed":0},"hits":{"total":1,"max_score":0.30685282,"hits":[{"_index":"mytest","_type":"test","_id":"1","_score":0.30685282,"_source":{"title":"memo","text":"ほげほげ"}}]}}


title = "memo" のデータを mytest/test で検索した所、"text" = "ほげほげ" の期待通りの結果が得られました!(ただし、この時点ではまだ Kuromoji を使っていません) 動作確認ができたので、このデータを削除しておきます:
# curl -XDELETE http://localhost:9200/mytest/test/1
{"found":true,"_index":"mytest","_type":"test","_id":"1","_version":1}

ElasticSearch が正しく導入できて、動作も確認できた所で Kuromoji プラグインを導入して ElasticSearch を再起動します:
# /usr/share/elasticsearch/bin/plugin --install elasticsearch/elasticsearch-analysis-kuromoji/2.2.0
# /etc/init.d/elasticsearch restart

そして Kuromoji を有効にして、再度簡単な動作確認をしてみます。まずは新しいインデックスを作成して、Kuromoji をアナライザとして指定します:
# curl -XPUT http://localhost:9200/kuromoji_sample -d '{ "index": { "analysis": { "tokenizer": { "kuromoji_user_dict" : { "type":"kuromoji_tokenizer" } }, "analyzer": { "analyzer": { "type":"custom", "tokenizer": "kuromoji_user_dict" } } } } }'
{"acknowledged":true}

この新しく作成したインデックスに対して日本語文字列を POST して、形態素解析が有効になっているかどうかを確認します:
# curl -XPOST 'http://localhost:9200/kuromoji_sample/_analyze?analyzer=analyzer&pretty' -d '東京スカイツリー'
{
"tokens":[{
"token":"東京",
"start_offset":0,
"end_offset":2,
"type":"word",
"position":1
},{
"token":"スカイ",
"start_offset":2,
"end_offset":5,
"type":"word",
"position":2
},{
"token":"ツリー",
"start_offset":5,
"end_offset":8,
"type":"word",
"position":3
}]
}

「東京スカイツリー」が3つの単語に分割できていることがわかります。これが kuromoji による拡張機能です。


この kuromoji を使ったインデックスを ElasticSearch のデフォルトアナライザとして指定し、ElasticSearch を再起動します:
# vi /etc/elasticsearch/elasticsearch.yml
  :
index.analysis.analyzer.default.type: custom
index.analysis.analyzer.default.tokenizer: kuromoji_user_dict
  :
# /etc/init.d/elasticsearch restart

では改めて2つの日本語データを登録しておきます:
# curl -XPUT http://localhost:9200/kuromoji_sample/test/1 -d '{ "title":"メモ1", "text":"カレーは飲み物" }'
{"_index":"kuromoji_sample","_type":"test","_id":"1","_version":1,"created":true}

# curl -XPUT http://localhost:9200/kuromoji_sample/test/2 -d '{ "title":"メモ2", "text":"カレーライスは和食" }' {"_index":"kuromoji_sample","_type":"test","_id":"2","_version":1,"created":true}

そして、まずは「カレー」で検索してみます:
# curl -XGET http://localhost:9200/kuromoji_sample/test/_search -d '{"query":{"match":{"text":"カレー"}}}'
{
"took":67,"timed_out":false,"_shards":{
"total":5,"successful":5,"failed":0
},"hits":{
"total":1,"max_score":0.15342641,"hits":[{
"_index":"kuromoji_sample","_type":"test","_id":"1","_score":0.15342641,"_source":{
"title":"メモ1","text":"カレーは飲み物"
}
}]
}
}

正しく「カレーは飲み物」のデータがヒットすることが確認できます。気づいていただきたいのは、この時に2番目の「カレーライスは和食」のデータがヒットしていないということです。Kuromoji は「カレー」と「ライス」ではなく、「カレーライス」という単語を認識しているのだと想像できます。

次に「カレーは」で検索します:
# curl -XGET http://localhost:9200/kuromoji_sample/test/_search -d '{"query":{"match":{"text":"カレーは"}}}'
{
"took":8,"timed_out":false,"_shards":{
"total":5,"successful":5,"failed":0
},"hits":{
"total":2,"max_score":0.2169777,"hits":[{
"_index":"kuromoji_sample","_type":"test","_id":"1",
"_score":0.2169777,"_source":{
"title":"メモ1","text":"カレーは飲み物"
}},{
"_index":"kuromoji_sample","_type":"test","_id":"2",
"_score":0.02250402,"_source":{
"title":"メモ2","text":"カレーライスは和食"
}}]
}
}

2つのデータがヒットしています。ここでは "_score" の値に注目します。

_id = 1 のデータでは「カレーは飲み物」という7文字のうち4文字が一致しているため、そのスコアが高くなっています。一方、_id = 2 のデータでは「カレーライスは和食」という9文字のうち「カレー」という3文字と「は」という1文字しか一致していないこともあり、そのスコアが低くなっています。その結果、前者の方がより高い精度で一致していると判断されていることになります。これによってスコア付きの日本語検索も有効に行われていることが分かります。


結構簡単に日本語検索エンジンが作れてしまいました。ElasticSearch は REST でデータの読み書きができるし、Input/Output のフォーマットが JSON なので、プログラマ的にも便利で楽しそうな検索エンジンです。



 

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