IBM Cloud から提供されている 30 日間無料 Kubernetes サービスIBM Kubernetes Service 、以下 "IKS")環境を使って利用することのできるコンテナイメージを1日に1個ずつ 30 日間連続で紹介していきます。

環境のセットアップや制約事項については Day0 のこちらの記事を参照してください。

Day 6 からはデータベース系コンテナとその GUI ツールを中心に紹介してます。Day 16 では個人的に大ファンな IBM Cloudant データベースサービスのベース製品でもあるApache CouchDB イメージをデプロイする例を紹介します。
couchdb



【イメージの概要】
元 IBM 社員だった Damien Katz さんが開発した NoSQL 型データベースです。単にデータを格納するだけでなく、画面の UI データを格納して文書データと合わせて表示する、といった(ノーツに似た)デザインドキュメントの概念も実装されていて、ノーツファンとしては非常に感銘を受けるデータベースです。IBM Cloudant ではこの CouchDB をマルチサーバーによる分散データ管理する仕組みがマネージドサービスとして提供されています。



【イメージのデプロイ】
まずはこちらのファイルを自分の PC にダウンロードしてください:
https://raw.githubusercontent.com/dotnsf/yamls_for_iks/main/couchdb.yaml

次にこのファイルをテキストエディタで開いてパラメータを編集します。具体的には以下2箇所の value 値を変更してください:
・COUCHDB_USER : ログイン時のユーザー名(初期値 admin)
・COUCHDB_PASSWORD : ログイン時のパスワード(初期値 P@ssw0rd)


ではこのダウンロード&編集した couchdb.yaml ファイルを指定してデプロイします。以下のコマンドを実行する前に Day 0 の内容を参照して ibmcloud CLI ツールで IBM Cloud にログインし、クラスタに接続するまでを済ませておいてください。

そして以下のコマンドを実行します:
$ kubectl apply -f couchdb.yaml

以下のコマンドで CouchDB 関連の Deployment, Service, Pod, Replicaset が1つずつ生成されたことと、サービスが 30984 番ポートで公開されていることを確認します:
$ kubectl get all

NAME                           READY   STATUS    RESTARTS   AGE
pod/couchdb-7866c5d4c6-z462x   1/1     Running   0          12s

NAME                    TYPE        CLUSTER-IP      EXTERNAL-IP   PORT(S)          AGE
service/couchdbserver   NodePort    172.21.71.164   <none>        5984:30984/TCP   13s
service/kubernetes      ClusterIP   172.21.0.1      <none>        443/TCP          27d

NAME                      READY   UP-TO-DATE   AVAILABLE   AGE
deployment.apps/couchdb   1/1     1            1           14s

NAME                                 DESIRED   CURRENT   READY   AGE
replicaset.apps/couchdb-7866c5d4c6   1         1         1       14s

この後に実際にサービスを利用するため、以下のコマンドでワーカーノードのパブリック IP アドレスを確認します(以下の例であれば 161.51.204.190):
$ ibmcloud ks worker ls --cluster=mycluster-free
OK
ID                                                       パブリック IP    プライベート IP   フレーバー   状態     状況    ゾーン   バージョン
kube-c3biujbf074rs3rl76t0-myclusterfr-default-000000df   169.51.204.190   10.144.185.144    free         normal   Ready   mil01    1.20.7_1543*

つまりこの時点で(上述の結果であれば)アプリケーションは http://169.51.204.190:30984/ で稼働している、ということになります。CouchDB はこの URL が管理ダッシュボードの URL になっているので早速実行してみます。ウェブブラウザを使って、アプリケーションの URL(上述の方法で確認した URL)にアクセスしてみます:
couchdb1


(シンプルすぎて)一瞬びっくりしますが、稼働中の CouchDB に関する情報が表示されました。CouchDB も IKS 上で動かすことができました。


【YAML ファイルの解説】
YAML ファイルはこちらを使っています(編集する前の状態です):
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  name: couchdbserver
spec:
  selector:
    app: couchdb
  ports:
  - port: 5984
    protocol: TCP
    targetPort: 5984
    nodePort: 30984
  type: NodePort
---
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  name: couchdb
spec:
  replicas: 1
  selector:
    matchLabels:
      app: couchdb
  template:
    metadata:
      labels:
        app: couchdb
    spec:
      containers:
      - name: couchdb
        image: couchdb
        env:
        - name: COUCHDB_USER
          value: "admin"
        - name: COUCHDB_PASSWORD
          value: "P@ssw0rd"
        ports:
        - containerPort: 5984

Deployment 1つと、Service 1つのごくごくシンプルな YAML ファイルですが、一応解説を加えておきます。アプリケーションそのものは 5984 番ポートで動作するように作られているため、NodePort 30080 番を指定して、外部からは 30080 番ポートでアクセスできるようにしています(NodePort として指定可能な番号の範囲は 30000 ~ 32767 です、指定しない場合は空いている番号がランダムに割り振られます)。また ReplicaSet は1つだけで作りました(データベースなので、別途クラスタ構成の準備をしない限りはこの数値だけを増やしてもあまり意味ないと思います)。


デプロイしたコンテナイメージを削除する場合はデプロイ時に使った YAML ファイルを再度使って、以下のコマンドを実行します。不要であれば削除しておきましょう:
$ kubectl delete -f couchdb.yaml


【紹介したイメージ】
https://hub.docker.com/_/couchdb


【紹介記録】
Dayカテゴリーデプロイ内容
0準備準備作業
1ウェブサーバーhostname
2Apache HTTP
3Nginx
4Tomcat
5Websphere Liberty
6データベースMySQL
7phpMyAdmin
8PostgreSQL
9pgAdmin4
10MongoDB
11Mongo-Express
12Redis
13RedisCommander
14ElasticSearch
15Kibana
16CouchDB
17CouchBase
18HATOYA
19プログラミングNode-RED
20Scratch
21Eclipse Orion
22Swagger Editor
23R Studio
24Jenkins
25アプリケーションFX
262048
27DOS Box
28VNC Server(Lubuntu)
29Drupal
30WordPress