IBM Cloud から提供されている 30 日間無料 Kubernetes サービスIBM Kubernetes Service 、以下 "IKS")環境を使って利用することのできるコンテナイメージを1日に1個ずつ 30 日間連続で紹介していきます。

環境のセットアップや制約事項については Day0 のこちらの記事を参照してください。

Day 7 は Day 6 で紹介した MySQL 環境を GUI で使うためのツールを紹介します。MySQL の GUI ツールは多くありますが、ウェブで(コンテナで)使えて有名なもの・・・となると、phpMyAdmin になるではないでしょうか?というわけで Day6 の内容の続きとして phpMyAdmin イメージをデプロイする例を紹介します。
phpmyadmin



【イメージの概要】
phpMyAdmin は広く使われているオープンソースのリレーショナル・データベース・サーバー MySQL を CLI ではなく、GUI から利用するためのツール(ウェブ用クライアント)です。個人的には MySQL に限らず、データベースは CLI で接続して直接 SQL で操作することが多いのですが、一方で「見やすさ・簡単さ」については CLI よりも GUI に軍配が上がることは理解していて、必要に迫られてデータベースとセットで環境を用意することが多くあります。



【イメージのデプロイ】
まずはこちらのファイルを自分の PC にダウンロードしてください:
https://raw.githubusercontent.com/dotnsf/yamls_for_iks/main/phpmyadmin.yaml


次にこのファイルをテキストエディタで開いてパラメータを編集します。具体的には以下3箇所の中の上2つ(一番下の PMA_PORT は Day 6 の設定通りに行っていれば 30306 が正しい値です)の value 値を変更してください。それぞれの具体的な意味は以下の通りです:
・MYSQL_ROOT_PASSWORD : 管理者パスワード、Day 6 の MySQL デプロイ時に指定したものと同じ値を設定(初期値 P@ssw0rd)
・PMA_HOST : 接続先 MySQL のホストまたは IP アドレス(初期値 xxx.xxx.xxx.xxx)
・PMA_PORT : 接続先 MySQL のポート番号(初期値 30306)

※PMA_HOST だけはこのままでは絶対に動きません。後述する「ワーカーノードの IP アドレス」と同じ値を指定してください。

ではこのダウンロード&編集した phpmyadmin.yaml ファイルを指定してデプロイします。以下のコマンドを実行する前に Day 0 の内容を参照して ibmcloud CLI ツールで IBM Cloud にログインし、クラスタに接続するまでを済ませておいてください。

そして以下のコマンドを実行します:
$ kubectl apply -f phpmyadmin.yaml

以下のコマンドで MySQL と phpMyAdmin 関連の Deployment, Service, Pod, Replicaset がそれぞれ1つずつ生成されたことと、サービスが 30306 番ポート(MySQL)と 30080 番ポート(phpMyAdmin)で公開されていることを確認します:
$ kubectl get all

NAME                             READY   STATUS    RESTARTS   AGE
pod/mysql-5bd77967b-799vp        1/1     Running   0          9m26s
pod/phpmyadmin-bc66b87f5-strb8   1/1     Running   0          113s

NAME                  TYPE        CLUSTER-IP      EXTERNAL-IP   PORT(S)          AGE
service/kubernetes    ClusterIP   172.21.0.1      <none>        443/TCP          26d
service/mysqlserver   NodePort    172.21.40.65    <none>        3306:30306/TCP   9m28s
service/phpmyadmin    NodePort    172.21.156.43   <none>        80:30080/TCP     115s

NAME                         READY   UP-TO-DATE   AVAILABLE   AGE
deployment.apps/mysql        1/1     1            1           9m27s
deployment.apps/phpmyadmin   1/1     1            1           114s

NAME                                   DESIRED   CURRENT   READY   AGE
replicaset.apps/mysql-5bd77967b        1         1         1       9m28s
replicaset.apps/phpmyadmin-bc66b87f5   1         1         1       115s

この後に実際にサービスを利用するため、以下のコマンドでワーカーノードのパブリック IP アドレスを確認します(以下の例であれば 161.51.204.190):
$ ibmcloud ks worker ls --cluster=mycluster-free
OK
ID                                                       パブリック IP    プライベート IP   フレーバー   状態     状況    ゾーン   バージョン
kube-c3biujbf074rs3rl76t0-myclusterfr-default-000000df   169.51.204.190   10.144.185.144    free         normal   Ready   mil01    1.20.7_1543*

つまりこの時点で(上述の結果であれば)アプリケーションは http://169.51.204.190:30080/ で稼働している、ということになります。早速実行してみます。ウェブブラウザか curl コマンドを使って、アプリケーションの URL(上述の方法で確認した URL)にアクセスしてみます:
phpmyadmin1


phpMyAdmin のトップページにアクセスできました。とりあえず IKS 上で動いていることは確認できました。Day 6 で作った MySQL のデプロイ時に設定したアカウントを入力すると、データベースを GUI で操作することができるようになります:
phpmyadmin2




【YAML ファイルの解説】
YAML ファイルはこちらを使っています:
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  name: phpmyadmin
spec:
  selector:
    app: phpmyadmin
  ports:
  - port: 80
    protocol: TCP
    targetPort: 80
    nodePort: 30080
  type: NodePort
---
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  name: phpmyadmin
spec:
  replicas: 1
  selector:
    matchLabels:
      app: phpmyadmin
  template:
    metadata:
      labels:
        app: phpmyadmin
    spec:
      containers:
      - name: phpmyadmin
        image: phpmyadmin
        env:
        - name: MYSQL_ROOT_PASSWORD
          value: "P@ssw0rd"
        - name: PMA_HOST
          value: "xxx.xxx.xxx.xxx"
        - name: PMA_PORT
          value: "30306"
        ports:
        - containerPort: 80

Deployment 1つと、Service 1つのごくごくシンプルな YAML ファイルですが、一応解説を加えておきます。アプリケーションそのものは 80 番ポートで動作するように作られているため、NodePort 30080 番を指定して、外部からは 30080 番ポートでアクセスできるようにしています(NodePort として指定可能な番号の範囲は 30000 ~ 32767 です、指定しない場合は空いている番号がランダムに割り振られます)。また ReplicaSet は1つだけで作りました。


デプロイしたコンテナイメージを削除する場合はデプロイ時に使った YAML ファイルを再度使って、以下のコマンドを実行します。不要であれば(Day 6 の MySQL と一緒に)削除しておきましょう:
$ kubectl delete -f phpmyadmin.yaml


【紹介したイメージ】
https://hub.docker.com/_/phpmyadmin


【紹介記録】
Dayカテゴリーデプロイ内容
0準備準備作業
1ウェブサーバーhostname
2Apache HTTP
3Nginx
4Tomcat
5Websphere Liberty
6データベースMySQL
7phpMyAdmin
8PostgreSQL
9pgAdmin4
10MongoDB
11Mongo-Express
12Redis
13RedisCommander
14ElasticSearch
15Kibana
16CouchDB
17CouchBase
18HATOYA
19プログラミングNode-RED
20Scratch
21Eclipse Orion
22Swagger Editor
23R Studio
24Jenkins
25アプリケーションFX
262048
27DOS Box
28VNC Server(Lubuntu)
29Drupal
30WordPress