IBM Cloud から提供されている 30 日間無料 Kubernetes サービスIBM Kubernetes Service 、以下 "IKS")環境を使って利用することのできるコンテナイメージを1日に1個ずつ 30 日間連続で紹介していきます。

環境のセットアップや制約事項については Day0 のこちらの記事を参照してください。

Day 6 からは Day 5 までのアプリケーション・サーバー系コンテナではなく、データベース系コンテナとその GUI ツールを中心に紹介していく予定です。その初日は最もメジャーなデータベース・サーバーの1つだと思っている MySQL イメージをデプロイする例を紹介します。
mysql_logo



【イメージの概要】
今更改めて説明する必要もないくらい有名で、かつ広く使われているオープンソースのリレーショナル・データベース・サーバーだと思っています。



【イメージのデプロイ】
Day 5 までは(特にパラメータの指定なども不要で動くコンテナばかりだったので)Github 上の YAML ファイルを直接していしてデプロイしていました。が、Day 6 以降では動かすコンテナに向けた設定項目(MySQL でいえば管理者パスワードなど)を自分で指定して動かす方針とします。 というわけで、まずはこちらのファイルを自分の PC にダウンロードしてください:
https://raw.githubusercontent.com/dotnsf/yamls_for_iks/main/mysql.yaml


次にこのファイルをテキストエディタで開いてパラメータを編集します。具体的には "MYSQL_" で始まる4箇所の env.name の value 値を変更してください。それぞれの具体的な意味は以下の通りです(初期値として指定されている値のまま動かすことも可能ですが、安全のためなるべく変更してください):
・MYSQL_ROOT_PASSWORD : 管理者パスワード(初期値 P@ssw0rd)
・MYSQL_DATABASE : デプロイと同時に作成するデータベースの名前(初期値 mydb)
・MYSQL_USER : デプロイと同時に作成するデータベースを利用するユーザー名(初期値 user1)
・MYSQL_PASSWORD : デプロイと同時に作成するデータベースを利用するパスワード(初期値 password1)

ではこのダウンロード&編集した mysql.yaml ファイルを指定してデプロイします。以下のコマンドを実行する前に Day 0 の内容を参照して ibmcloud CLI ツールで IBM Cloud にログインし、クラスタに接続するまでを済ませておいてください。

そして以下のコマンドを実行します:
$ kubectl apply -f mysql.yaml

以下のコマンドで MySQL 関連の Deployment, Service, Pod, Replicaset が1つずつ生成されたことと、サービスが 30306 番ポートで公開されていることを確認します:
$ kubectl get all

NAME                        READY   STATUS    RESTARTS   AGE
pod/mysql-5bd77967b-799vp   1/1     Running   0          9s

NAME                  TYPE        CLUSTER-IP     EXTERNAL-IP   PORT(S)          AGE
service/kubernetes    ClusterIP   172.21.0.1     <none>        443/TCP          26d
service/mysqlserver   NodePort    172.21.40.65   <none>        3306:30306/TCP   10s

NAME                    READY   UP-TO-DATE   AVAILABLE   AGE
deployment.apps/mysql   1/1     1            1           10s

NAME                              DESIRED   CURRENT   READY   AGE
replicaset.apps/mysql-5bd77967b   1         1         1       10s

この後に実際にサービスを利用するため、以下のコマンドでワーカーノードのパブリック IP アドレスを確認します(以下の例であれば 161.51.204.190):
$ ibmcloud ks worker ls --cluster=mycluster-free
OK
ID                                                       パブリック IP    プライベート IP   フレーバー   状態     状況    ゾーン   バージョン
kube-c3biujbf074rs3rl76t0-myclusterfr-default-000000df   169.51.204.190   10.144.185.144    free         normal   Ready   mil01    1.20.7_1543*

つまりこの時点で(上述の結果であれば)アプリケーションは 169.51.204.190:30306 で稼働している、ということになります。早速確認してみます、と言いたいところなのですが、これまでのようにウェブブラウザで確認できるものではなく、専用の CLI コマンドが使えると確認できるのですが・・・ ここでは動作確認を Day 7 で行うことにして、今回はこのままにしておきます。


【YAML ファイルの解説】
YAML ファイルはこちらを使っています(編集する前の状態です):
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  name: mysqlserver
spec:
  selector:
    app: mysql
  ports:
  - port: 3306
    protocol: TCP
    targetPort: 3306
    nodePort: 30306
  type: NodePort
---
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  name: mysql
spec:
  replicas: 1
  selector:
    matchLabels:
      app: mysql
  template:
    metadata:
      labels:
        app: mysql
    spec:
      containers:
      - name: mysql
        image: mysql:5.7  # should be 5.7 to avoid password caching error
        env:
        - name: MYSQL_ROOT_PASSWORD
          value: "P@ssw0rd"
        - name: MYSQL_DATABASE
          value: "mydb"
        - name: MYSQL_USER
          value: "user1"
        - name: MYSQL_PASSWORD
          value: "password1"
        ports:
        - containerPort: 3306

Deployment 1つと、Service 1つのごくごくシンプルな YAML ファイルですが、一応解説を加えておきます。アプリケーションそのものは 3306 番ポートで動作するように作られているため、NodePort 30306 番を指定して、外部からは 30306 番ポートでアクセスできるようにしています(NodePort として指定可能な番号の範囲は 30000 ~ 32767 です、指定しない場合は空いている番号がランダムに割り振られます)。また ReplicaSet は1つだけで作りました(データベースなので、別途クラスタ構成の準備をしない限りはこの数値だけを増やしてもあまり意味ないと思います)。


デプロイしたコンテナイメージを削除する場合はデプロイ時に使った YAML ファイルを再度使って、以下のコマンドを実行します。不要であれば削除しておきましょう(ちなみにこの MySQL コンテナは明日の Day 7 でも使う予定なので、削除するのはそのあとの方がいいかもしれません):
$ kubectl delete -f mysql.yaml



【紹介したイメージ】
https://hub.docker.com/_/mysql


【紹介記録】
Dayカテゴリーデプロイ内容
0準備準備作業
1ウェブサーバーhostname
2Apache HTTP
3Nginx
4Tomcat
5Websphere Liberty
6データベースMySQL
7phpMyAdmin
8PostgreSQL
9pgAdmin4
10MongoDB
11Mongo-Express
12Redis
13RedisCommander
14ElasticSearch
15Kibana
16CouchDB
17CouchBase
18HATOYA
19プログラミングNode-RED
20Scratch
21Eclipse Orion
22Swagger Editor
23R Studio
24Jenkins
25アプリケーションFX
262048
27DOS Box
28VNC Server(Lubuntu)
29Drupal
30WordPress