各種メディアのニュースでも話題になっていますが、香川県が「香川県の子どもたちがネット・ゲームの長時間の利用により、心身や家族的・社会的な問題を引き起こすネット・ゲーム依存に陥らないために必要な対策を推進し、健全な育成を図るため、本条例を制定しようとするもの」という条例の素案を示しました。具体的には18歳未満の場合、1日にオンラインゲームは60分(土日・祝日・長期休暇中は90分)以内と規定する方針のようです(ただし子供にも保護者にも罰則なし)。


この内容で気になったのは、香川県内のルールだけでなく「ゲーム提供事業者に求める役割」が規定されようとしている点です。具体的には以下の第11条部分が相当します:
香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例案」【全文】

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※なお、この第11条に相当する事業者および香川県在住者とを対象に2月6日までパブリックコメントを受け付けています:
香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)素案についてパブリック・コメント(意見公募)を実施します


「インターネットを利用して情報を閲覧に供する事業またはコンピュータゲームのソフトウェアの開発、製造、抵抗等の事業を行う者」をどのように解釈するかにもよりますが、僕自身も個人でオープンソースのゲームを作ったり、ネットで誰でも遊べる状態で公開したりしています。例えば来週の IT 勉強会の題材にもしようとしているスライドパズルゲームとかもその1つです。以下の URL にアクセスするだけで遊べてしまいます(遊び方は後述):
https://dotnsf.github.io/slidepuzzle/


↑こういう趣味開発レベルのゲームも「県民のネット・ゲーム依存症の対策に協力するものとする」の対象になっちゃうんですかね? という意見をパブリックコメントで伝える権利を有するのかな?(有する場合は協力しないといけないってこと??)


・・などなど、まあ色々言いたいこともありますが、とりあえず自分なりに考えた上で対策を講じてみました。対策済みのゲームはこちらから遊べます:
https://kawaga-game.mybluemix.net/


上記 URL にウェブブラウザでアクセスすると、以下のような位置情報へのアクセス許可を促すメッセージが表示されるので「許可」を選択してください(以下は FireFox を使った場合の画面です):
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利用者(=あなた)が香川県以外からアクセスしていた場合、以下のような画面になり、そのままゲームを遊ぶことができるようになります。ゲーム自体はカメラアイコン部分をクリックして、PC内に保存されている画像を選びます:
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すると選んだ画像が懐かしいスライドパズルとなって遊べる、というものです。一応移動回数やゲームを解くまでの時間がカウントされていて、競技性のある作りにしています:
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しかしアクセス元が香川県であった場合のみ少し挙動が変わり、画面ロード直後に以下のような警告画面が表示されます。これで上述の第11条で求められる対策努力が講じられているのではないかと自負しております(笑):
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このゲームのソースコードもこちらで公開しています:
https://github.com/dotnsf/kagawa


具体的な実現方法としては HTML ページの中で GeoLocation API の getCurrentPosition メソッドを実行して現在地の緯度・経度を取得しています。そして取得結果に対して Yahoo! デベロッパーネットワークYahoo! ジオコーダ API を使って緯度・経度を住所に変換し、その住所が「香川県」で始まっているかどうかを識別する、というロジックで実現しています。

少しだけ補足すると、アクセス元の識別はできているので、単なる警告に留めずに実際に利用時間を測定して、1時間を超えることがあったら強制終了、みたいなことができないわけではありません。まあこのゲームに限っては1時間超えても飽きずに遊んでもらえる可能性はかなり低いと思ってますけど・・


・・・どなたかの参考になれば幸いでございます。 (^^;