IBM Cloud から提供されている IoT サービスである IBM Watson IoT Platform (の QuickStart)にメッセージをパブリッシュする Node.js のサンプルアプリケーション(とソースコード)を作って公開しました:
https://github.com/dotnsf/mqtt_pub_ibmiot

2018051501


主要なソースコードは app.js だけですが、内部的に MQTT.js ライブラリを使っています:
2018051500


主な挙動としては settings.js で指定された内容に併せて、1秒(デフォルト)ごとに0から1つずつ増えるカウンタ値、タイムスタンプ値、実行したマシンの CPU 稼働率、12回周期のサイン値およびコサイン値、そしてランダムな値が JSON で IBM Watson IoT Platform の QuickStart に送られます。その際のデバイス ID 値は settings.js 内で指定されていればその値が、されていなければ動的に生成されるようにしました。


IBM Cloud 環境で Node-RED ランタイムを作ると動作を確認しやすく、またそのためカスタマイズの勘所が分かりやすいと思っています。以下、この環境での動作確認方法を紹介します。

まずはこのサンプルを動かす前提として Node.js がインストールされたマシンが必要です。Windows/MacOS/Linux/Raspberry Pi などなど、Node.js をインストール可能なマシンで導入を済ませていると仮定して以下を続けます。

次に上記リポジトリから git clone またはダウンロード&展開して、アプリケーションのソースコードを手元に用意します:
$ git clone https://github.com/dotnsf/mqtt_pub_ibmiot
$ cd mqtt_pub_ibmiot

必要に応じてテキストエディタで settings.js の中身を編集します。とはいえ、変える必要がありそうなのは exports.interval の値(メッセージデータを送信する時間間隔(ミリ秒)。デフォルト値は 1000 なので1秒ごとにメッセージを送信する)と、exports.deviceId の値(後で指定するデバイス ID。デフォルトは空文字列なので、後で自動生成された値になります)くらいです。なお、settings.js の値は変えなくても動きます。


※もし exports.deviceId の値を編集する場合は、("test" のような簡単な単語ではなく)他の人が使わないようなユニークな値になるよう指定してください。exports.deviceId の値をデフォルトのから文字列のままにする場合は、実行時ごとにデバイス ID を生成するので、この値は実行ごとに変わることに留意してください。


ではアプリケーションの動作に必要なライブラリをインストールします:
$ npm install

そして実行します:
$ node app

実行が成功して IBM Watson IoT Platform に接続すると、"client#connect: " という文字列に続いてデバイス ID が画面に表示されます(以下の例では 5d7436e992d0)。この値は settings.js で指定した場合はその値が、指定しなかった場合は自動生成された値が表示されます。この後で使うのでメモしておきます:
2018051502


※なお、メッセージを送信しているアプリケーションの終了方法は特に用意していないので、終了する場合は Ctrl+C で強制終了してください。


これでサンプルアプリケーションが IBM Watson IoT Platform に接続し、exports.interval で指定した値の間隔でメッセージデータを送信し続けている状態になりました。

最後にこの送信データを Node-RED で確認してみます。IBM Cloud で Node-RED ランタイムを作成し、IBM IoT のインプットノード(右側にジョイントのあるノード)と、debug アウトプットノードをキャンバスに配置して接続します:
2018051503


↑IBM Watson IoT Platform サーバーにメッセージが送られてきたらその payload の内容をデバッグタブに表示する、というシンプルなフローです。


IBM IoT インプットノードをダブルクリックし、Authentication が Quickstart になっていることを確認した上で、Device Id 欄に先程確認した実行中アプリケーションのデバイス ID を指定します。そして「完了」してから、このアプリケーションを「デプロイ」します:
2018051504


すると、Node-RED 画面右のデバッグタブに(デフォルトであれば)1秒おきにメッセージが追加されていく様子が確認できるはずです:
2018051505


メッセージの1つを選んで展開してみると、元のアプリケーションから送信されたカウント値(count)、タイムスタンプ値(timestamp)、CPU稼働率(cpu)、サイン値(sin)、コサイン値(cos)、そして乱数値(random)が確認できます。つまり Node.js を使って動かしたアプリケーションから MQTT 経由で実際にデータが送信されていて、その内容を Node-RED と IBM IoT インプットノードを使って取り出して確認できたことになります:
2018051506


送信データをカスタマイズしたり、別の値を送信したい場合は app.js をカスタマイズして、publish 時に送信する data 変数の中身を変える(必要な値を取得して、この中に JSON で入れる)ということになります。こちらはシンプルなのでなんとなく理解できるんじゃないかな・・・と期待しています。


また Node-RED の場合であれば node-red-dashboard と組み合わせることで、ここで取得した値を簡単にチャート化することもできます。例えば Gauge ノードと Chart ノードを使って CPU 負荷とサインカーブをこんな感じで・・・
2018051600


IBM Watson IoT Platform の Quickstart にデータを送信するサンプルとして使ってくださいませ。