このブログでも何度か Node.js のネタを扱ってますが、非同期処理に悩まされることが多いので、自分の理解の意味でもまとめておくことにしました。

まず理解の大前提として、Node.js はシングルスレッドで動作するため、いわゆる並列処理はできない仕様になっています。そして非同期に処理を実行することができます。これによって並列処理ができなくても、何かの時間のかかる処理があった場合にその終了を待たずに次の処理に進むことができることを意味しています。 ただ、この辺りがややこしく難解になっていることも事実です。

例えば REST API などの HTTP リクエストを行って、その結果が得られたら、その得られた結果の JSON オブジェクトの値を使って処理をする、などというよくあるケースでもこの問題に直面します。

まずは何が難解なのかを紹介します。REST API だとローカル環境で気軽に試せないので、わざと実行に時間のかかる関数を用意して説明します。

例えばこのような処理を考えてみます:
// test.js

// わざと1秒かけてから、パラメータの2倍の数値を出力する関数
function func1( x ){
  setTimeout( function(){
    console.log( 2 * x );
  }, 1000 );
}

// 初期値を設定して出力
var n0 = 10;
console.log( 'n0 = ' + n0 );

// 初期値を上記関数のパラメータに入れて実行
func1( n0 );

この中では func1 という関数を定義しています。setTimeout を使ってわざと1秒(1000ミリ秒)待ってから、パラメータの値の2倍を画面に出力する、という関数です。 この関数を n0 (=10 に設定)という変数をパラメータにして実行する、というものです。なので "20" という結果が出力されることを期待しています。

この内容を test.js というファイルに保存して、実行してみます(青字部分が出力結果):
$ node test
n0 = 10
20

期待通りに "20" と出力されました。とりあえずここまでは成功です。


さて問題はここからです。上記例では関数 func1 の中で console.log が実行されて出力までを行いました。これを func1 からは与えた数値を2倍した結果を受け取るようにして、func1 の外側で出力するように変更してみます。深く考えずにやるとこんな感じでしょか?
// test.js(注 正しく動きません)

// わざと1秒かけてから、パラメータの2倍の数値を出力する関数
function func1( x ){
  setTimeout( function(){
    console.log( 2 * x );
  }, 1000 );
}

// わざと1秒かけてから、パラメータの2倍の数値を戻す関数
function func2( x ){
  setTimeout( function(){
    return ( 2 * x );
  }, 1000 );
}

// 初期値を設定して出力
var n0 = 10;
console.log( 'n0 = ' + n0 );

// 初期値を上記関数のパラメータに入れて実行し、戻り値を出力
var n1 = func2( n0 );
console.log( 'n1 = ' + n1 );

func1 をほぼコピペして func2 という関数を作りました。console.log の代わりに return にして、値を返すようにしています。呼び出し元からはこの func2 を実行して、得られた結果を出力するようにしています。

これを先程と同様に実行するとこうなります:
$ node test
n0 = 10
n1 = undefined

n0(10)の値の2倍の "20" という結果を期待していたのですが、"undefined" と表示されてしまいます(正確に書くと、上記の2行はすぐに表示されますが、更に1秒くらい経過してから終了します)。この理由は最初に書いたように func2 は非同期に実行されているので、return の行が実行されるまでには1秒かかります。しかしその前に(return の行が実行される前に)関数そのものの処理は終了してしまいます。つまり値が戻る前に(戻っていない値を受け取ることになっている)n1 という変数を出力しているので "undefined" になっているのでした。

このように、期待通りに動かなかった理由は明白なのですが、ではどうすればこの関数が期待通りに動く(1秒後に与えられた結果を戻り値として戻し、受け取った側がその値を出力する)ようにできるでしょうか?これが今日紹介する大きなテーマです。


結論を先に紹介すると、ここで Promise オブジェクトを使って関数を修正し、受け取った側もその変更に合わせて一部書き直す必要があります。具体的には以下のように修正します:
// test.js

// わざと1秒かけてから、パラメータの2倍の数値を出力する関数
function func1( x ){
  setTimeout( function(){
    console.log( 2 * x );
  }, 1000 );
}

// わざと1秒かけてから、パラメータの2倍の数値を戻す関数
function func2( x ){
  return new Promise( function( resolve ){
    setTimeout( function(){
      resolve( 2 * x );
    }, 1000 );
  });
}

// 初期値を設定して出力
var n0 = 10;
console.log( 'n0 = ' + n0 );

// 初期値を上記関数のパラメータに入れて実行し、戻り値を出力
func2( n0 ).then( function( n1 ){
  console.log( 'n1 = ' + n1 );
});

まず関数 func2 側は、Promise オブジェクトを新規に作成します。Promise オブジェクトは処理が成功した場合の関数をパラメータに指定します。上図だと
function( resolve ){
  setTimeout( function(){
    resolve( 2 * x );
  }, 1000 );
}

という関数がパラメータに指定されているので、成功するとこの関数が実行されます(今回は使っていませんが、第二パラメータを指定した場合は失敗時に実行する処理を指定したことになります)。この処理の中で1秒待って、指定したパラメータを2倍して resolve とする、ということになります。

そしてこの関数 func2 を呼び出す側も少し変更が必要になります。 func2() 関数の実行結果をそのまま変数として受け取るのではなく、成功した場合(今回の例だと1秒待って2倍になった値が返された場合)の処理を .then() 内に渡して処理することになります。この then 内の処理で計算結果(resolve で処理された内容)を n1 という変数で受け取って console.log で表示する、という内容にしています。

こうして修正した test.js を実行すると、以下のような結果になります(実際には n0 = 10 がすぐに表示され、1秒くらい待ってから n1 = 20 の行が表示されて終了します):
$ node test
n0 = 10
n1 = 20

Node.js の関数内で非同期処理を実行して、その非同期処理の終了を待って値を受け取るような関数を作る場合は、Promise オブジェクトを使って上記のように記述します、という紹介でした。非同期実行に慣れていないと、この辺りで戸惑うことが多いと感じたので、まとめておきました。