家に Chromebook がやってきて、一週間ほど使ってみました!

知らない人のために超簡単に解説すると、Chromebook は Chrome OS というコンパクトな OS を搭載した「Google Chrome というウェブブラウザだけが動くノートパソコン」です。
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普段、パソコンで Google Chrome 以外のウェブブラウザ(Internet Explorer とか)を使っているとピンと来ない所があるかもしれませんが、Google Chrome だけでも結構色んなことができます。加えて、Chromebook 用に拡張されている部分があったり、Chrome Store から拡張機能をインストールするなどして、「Google Chrome というウェブブラウザだけが動くノートパソコン」にしては、かなり色んなことができるようになっています。

なお、日本での Chromebook の扱いは法人および教育機関のみが対象になっています。つまり一般個人が街のショップで Chromebook を購入することはできません(売ってません)。その理由は明らかにされていませんが、僕の印象からの答を言ってしまうと「おそらくトラブルを避けるため」もあると思っています。ノートPC だと思って購入したけど、思っていたことができない、何だこれは!? というトラブルが結構あるんじゃないかなあ、と。

(2014/11/13 追記 日本でも 2014/11/11 から量販店での購入が可能になったようです)


拡張性があるとはいえ、Chromebook は要するにブラウザなのです。そこまで理解した上で使う必要があるんですが、現状それを一般消費者に求めるのは厳しいのかなあ、という印象を持っています。

一方、そこまで理解して割り切って使ってみると結構イケます。特に OS の起動に要する時間は数秒で、そこからアプリケーションを開く時間は「一瞬」です。起動済みのアプリケーションに画面を切り替えただけ?というくらいに素早くアプリケーションが起動します。これはこれで素晴らしい特長です。

今回、並行輸入品を入手しました。まだ数日ですが、使ってみた感想と合わせて「Chromebook はこんなことができる/できない」ということを紹介したいと思います。

なお、以下で紹介する機能は僕が購入した Toshiba Chromebook CB35-A3120 という Chromebook での機能になります:


なぜこの機種を選んだかというと、下記の日本語対応ができていることがわかっていたことと、個人的に東芝という会社にご縁があったため、(他に日本語に対応したサムソンやエイサーのモデルではなく)東芝の機種を選ばせていただきました。メモリは 2GB 、HDD 112GB のモデルです。


【できること】
1. ウェブ閲覧/ウェブ検索

当然。というか、ある意味そのための Chromebook です。

2. 日本語表示・読み書き

並行輸入品ですが日本語対応はしています。というか、僕の購入した Toshiba Chromebook CB35-A3120 は日本語対応しています。実際に Chromebook の購入を検討する場合はこのあたり気をつけてください。 設定画面から日本語を選択することで日本語表示/読み/書きが可能になります。また編集時に Shift + Alt で日本語入力と英語入力の切り替えを行うことができます。ちなみにこのブログエントリも大半は Chromebook から入力しています。

3. メール送受信

標準機能で Gmail へのショートカットが用意されています。Gmail の機能で、Gmail 以外の(一般の)メールを読み書きする設定もあるので、この Gmail を経由して Gmail 以外のメールを送受信することもできます。

4. カレンダー/オフィス文書閲覧・編集

Gmail 付属の Google Apps の機能を使って実現できます。ワードやエクセスなどのオフィス文書は Gmail 付属の Google Drive を使います。例えばメールに添付されたエクセスファイルを Google Drive に保存し、Google Drive から開いて編集して再度保存して、メールに添付して返信する、といったことができます。

ただ Google Drive で扱うオフィスファイルは、マイクロソフトオフィスファイルとある程度の互換性はありますが、完全互換ではありません。ただ Google Drive 上に保存したファイルは複数人で同時編集できるようにもなるので、これはこれでメリットがあります。

5. ゲーム

この辺りから意外と思われることもできる、という紹介です。Chromebook 単体でゲームが付属しているわけではないのですが、Chrome Store の拡張アプリケーションとして多くのゲームが提供されており、これらをインストールすることで Chrome の中でゲームを起動して遊ぶこともできるようになる、というものです。
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6. 各種SNSなど、Chrome 拡張で提供されているもの

Twitter や facebook などはウェブブラウザから利用することもできますが、Tweetdeck などの便利な Twitter クライアントアプリケーションについては Chrome 拡張で提供されているものもあります。自分のやりたいことが Chromebook でできるかどうかを調べるには、まずは Chrome Store を探してみるのがいいと思います。

(2015/07/31 追記 Chrome アプリとして LINE エクステンションが提供され、Chromebook から LINE を使うこともできるようになりました)


7. VNC Viewer / SSH

"VNC Viewer" って何?と思う人もいるかもしれないので解説すると、これは「他のパソコンやサーバーの画面をネットワーク越しに見る」ためのアプリケーションです。これが使えることで例えば Windows や Mac OS がインストールされた別マシンの画面を Chromebook から見て操作する(つまりネットワーク越しに Windows や Mac を使う)こともできるようになります。
この VNC Viewer も Chrome Store に拡張アプリケーションの1つとして提供されています。これができると会社のパソコン(あるいはサーバー)を Chromebook から操作することもできるようになるので、Windows や Mac OS X に依存するアプリケーション(IBM Notes とか Eclipse とか iTunes とか LINE とか・・)を Chromebook から VNC 経由で利用する、なんてこともできちゃうと思っています。
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SSH も同様に Chrome Store で提供されています。VNC 機能は標準で用意されているサーバーなど滅多にありませんが、Amazon Web Service など、当初は SSH の接続だけが提供されていて、そこからサーバー構築を始める、という仮想/クラウドが主流です。そんな初期設定も SSH 拡張機能を Chrome Store からインストールすれば Chromebook で行うことができるようになる、というものです。

8. スクリーンショット

これも出来ます。Chrome OS では Ctrl + Alt + ? でショートカットキー一覧を表示することができ、その中を調べるとスクリーンショット取得のショートカットも用意されています(僕の Chromebook では Ctrl + F5に相当するキーでした)。スクリーンショットを撮った後の画像ファイルはダウンロードフォルダに保存されるようです。ここから Chrome を使ってファイルアップロードもできますし、 Chrome 拡張アプリの Files というファイルマネージャから参照することもできます。

9. ファイルマネージャー

Windows でいうところの「エクスプローラー」ですかね。これも Chrome 拡張で提供されており、スクリーンショットで撮った画像もここから参照できます。画像のトリミングや回転など簡単な編集も可能です。
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また USB メモリを挿した場合もこのファイルマネージャーから参照して扱うことになります。


10. オフライン利用

個人的にはこれが一番の驚きでした。「Chromebook はウェブブラウザだから、ネットワーク接続が必須だよね」と思っていたのですが、一部機能についてはオフライン状態でも利用ができるようでした。拡張機能については個別にオフライン対応/非対応があるので、個別にチェックして利用する必要があります。
Chromebook をオフラインで使用する

ただゲームは結構対応アプリが多そうなので、ネットワークがなくても遊べそうです。また Gmail は書き溜めておくだけならオフラインでも可能です。


【できないこと】
1. 日本語キーボード

できないことというか、並行輸入品である以上の宿命です。日本語キーボードレイアウトに定義することはできるのですが、キーボードに刻印されている内容はあくまで英語キーボード(例えば @ は P の1つ右ではなく、Shift + 2)です。

全てブラインドタッチで覚えていて、刻印内容と違っていても大丈夫、というのであれば無理やり日本語キーボードレイアウト定義に変えてしまってもいいとは思います。ま、僕は一応覚えているつもりではありますが、英語キーボードでもそれなりに不便なく使えるので変えていません。

(2014/11/13 追記 日本でも 2014/11/11 から量販店での購入が可能になり、日本語キーボードモデルが入手できるようになりました)


2. 年賀状印刷

これをできないことの2番目に書くのもどうかと思いますが、トラぶる可能性は高そうなので。

これができない要素は大きく3つあります。まず1つ目は画像の取り込み方法です。デジタルカメラなどを USB で繋いでそこから中の画像を開いて転送して・・・ といった、Windows では当たり前のようにできている操作ですが、これができる保証はありません。画像を取り込む確実な方法としては「画像をメールで転送する」です。

次に年賀状を作るアプリケーション。Windows 用に購入したアプリケーションをお持ちであっても Chrome OS では使えません。可能性でいえば Chrome Store に「年賀状印刷アプリケーション」といった拡張機能が提供されるのを待つしかないのかな、と思います。Windows にせよ、Mac OS にせよ、その OS 用に提供されたアプリケーションが絶対に必要になるようなケースは基本 NG だと思います。PhotoShop レベルのレタッチソフトを求めるようなケースも同様です。

加えて Chromebook での印刷は Google Cloud プリントを使うか、PDF 形式で印刷(保存)することになります。

3. Chromebook で動かない拡張機能を使うアプリ

上記の【できること】の中で「Chrome Store から拡張機能を見つけてダウンロードすれば、いろんなことができるようになる」と書きましたが、PC 版の Chrome で使える全ての拡張機能が Chromebook でも使える、という保証はありません。Chromebook で使えない拡張機能については諦める必要があります。




えーと、他に書いておくべきことあったかな? もしあったらこの中に追記するようにしますが、現状はこんな感じです。


また、「できる/できない」とは違う観点で「Chromebook の方が PC よりも優れているのでは?」と感じることもいくつかありました。それを最後に紹介しておきます。

1. OS やアプリケーションの起動/終了が速い

上述もしていますがここでも記載しておきます。Chromebook の場合、ノート部分の蓋を開けると起動。閉めると終了です。PC だと同じ操作でサスペンド/復帰です。似て異なる挙動ですが、それでも明らかに Chromebook の方が速いです。

またアプリケーションの起動(事実上、Chrome 拡張機能の起動)も一瞬で立ち上がるので、本当にストレスなく使うことができます。

2. 充電の持ちがいい

実はまだ1度しか Chromebook を充電したことがありません。軽量なせいなのか、そんなに電気使用をしていないエコな環境のように感じます。



以上、ざっくりとこんな初期印象をもった Chromebook でした。

個人的には上記でも紹介した VNC である程度カバーすることはできても、やはりローカル環境だけで Eclipse 等のつかえるノート PC はそれなりに便利なんだよなあ・・と感じるのが正直なところです。でもある程度割り切った使い方であれば充分に利用検討の余地がある新しいクラムシェルデバイスだと思っています。