CentOS にオープンソースな Microsoft Windows レイヤーアプリである Wine を導入する手順を紹介します。なお CentOS 6.5 64bit 環境を前提とします。

また Wine は各種 UNIX 環境向けに開発されており、Ubuntu ベースの Linux に対してはバイナリも提供されています。ただ今回は自分がメインで使っている CentOS に、ソースからビルドして導入する手順を紹介します。


まず、CentOS 側に必要なモジュールをあらかじめ導入しておきます(青字はインストールしている内容の説明であって、コマンドとしては入力しません):
# yum groupinstall "X Window System" "GNOME Desktop Environment" GNOMEウィンドウ環境
# yum groupinstall "Development Tools" コンパイル環境一式
# yum install libX11-devel freetype-devel 必須ライブラリ

次に Wine の最新版ソースコードを入手します。SourceForge を参照して最も新しいバージョンを確認し、そのアーカイブモジュールを wget で入手します。なお 2014.7.10 時点では安定バージョンの最新版は 1.6.2, 開発版の最新版は 1.7.21 でした。お好きな方をどうぞ(以下は1.7.21 での例):
# cd /usr/local/src
# wget http://citylan.dl.sourceforge.net/project/wine/Source/wine-1.7.21.tar.bz2
# tar xvf wine-1.7.21.tar.bz2
# rm wine-1.7.21.tar.bz2

ビルドして、インストールします:
# cd wine-1.7.21
# ./configure --enable-win64
# make
# make install

なお、上記は 64bit 環境用のコマンドです。参考程度ですが、32bit 環境の場合のコマンドは以下になります:
# cd wine-1.7.21
# ./tools/wineinstall

また 64bit 環境用では Wine の実行コマンド名が wine64 となります。このままだといくつか不具合が発生するので 32bit 環境と同じ wine というファイル名でシンボリックリンクを作成しておきます:
# cd /usr/local/bin
# ln -s wine64 wine

また、日本語環境で Wine を利用する場合、このまま次の初期設定コマンドを実行するとフォントの関係で文字化けしてしまいます。この文字化けを回避するためにフォントをコピーして用意しておきます:
# cp -R /usr/share/fonts/ipa-* ~/.wine/drive_c/windows/Fonts/


これで Wine のインストールができました。最後に(SSHなどのコマンドライン端末ではなく) GNOME 環境からWine の設定コマンドを実行して、初期設定を実行します。特に何かを変更するわけではなく、設定内容の確認を行うことと、上記のコマンドによって(文字化けなく)正しく日本語が表示されていることを確認してください:
# winecfg
2014071001


これで Wine の導入は完了です。例えば「メモ帳」を起動する場合はコマンドラインからこんな命令を実行します(最後の & を付けずに実行した場合は、起動したアプリが終了するまでコマンドラインはビジー状態になります):
# wine notepad &
2014071002


ちなみに、上記のコマンドは以下のコマンドと同じ意味です:
# wine notepad.exe &
# wine c:\\windows\\notepad.exe &

同様に、「コントロールボックス」や「レジストリエディタ」を起動するにはそれぞれこんな感じで:
# wine control & コントロールボックス
# wine regedit & レジストリエディタ
2014071003


理論上は Windows 用のアプリやインストーラーが入手できれば、それを指定して、
# wine XXX.exe &
のように実行することで CentOS 上で動くようになります。


でも上で「理論上は」と書いたように、実際は動かないアプリが多いです。動いても想定外の見栄えになることもあります。

うーん、ここで昔の色んなアプリが動いたら面白かったんだけどなあ・・・・