「IBM 版の Cloud Foundry」(という表現でいいのでしょうか?)である BlueMix のレポート第二弾です。
前回のはこちら: 「BlueMix を使う」

前回は BlueMix のアカウントを取って、Java アプリケーションサーバーを1つ作って、war ファイルをデプロイする、という手順を紹介しました。IaaS 環境用の war ファイルがそのまま動く、というのは PaaS であることを考えるとなかなか凄いな・・ という印象でした。

今回は前回使わなかったデータベースサーバーを作ってつなげてみる、という所を紹介します。
が、そこでの手順に関係していることもあって、その前にもう少しダッシュボードの説明をさせてください。

前回紹介した作業までを行った状態で、再度 BlueMix にログインした時の様子がこんな感じになると思います。作成した Java アプリケーションサーバーが APPS というところに1つ追加されているのがわかります。この APPS をクリックします:
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APPS が展開されて、現在この環境で動かしているアプリケーションサーバーの一覧(といっても今は1つだけですけど)が表示されます。前回作成したアプリケーションサーバーの名前は "kkimura1" にしたので、そのサーバーが表示されています。ここでも再度アプリケーションサーバー名(この例だと "kkimura1")をクリックします:
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"kkimura1" アプリケーションサーバーの現在の状態が表示されました。App Runtime 欄でランタイムは "Liberty for Java" という Java アプリケーションサーバーが使われています。また Services 欄にはまだ何のサービスも紐づいていないことがわかります。ここでアプリケーションサーバーの状態を更に細かく見るため、左ペインの "LIBERTY FOR JAVA" と書かれた箇所をクリックします:
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現在のアプリケーションサーバーの状態が表示されました。Resources 欄を見ると、現在のインスタンス数は1、メモリ上限は 512MB で稼働していることがわかります。また Instance Details 欄では現在の CPU 稼働率が 0.3%、メモリ利用量は 90.8MB であることもわかります:
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実はインスタンス数とメモリ上限はこの画面からダイナミックに変更することができます。メモリが足りなくなってきたら Memory Quota を変更して増やしたり(或いは減らしたり)、CPU が厳しくなってきたら Instances を増やして負荷分散したり、ということがここから簡単にできてしまうのでした。これは超便利!

また更に画面下部を見ると、Environment Variables と書かれた欄があります。ここでアプリケーションサーバーの各種環境変数を見ることができます:
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この状態では VCAP_SERVICES という環境変数の中身が empty と報告されています。実はこの環境変数はアプリケーションサーバーがデータベースなどのサービスと紐付けられた時に、その接続情報が格納される変数なのでした。この段階では(まだ何のサービスとも繋がっていないため)中身が空のままになっている、ということです。


ではこのアプリケーションサーバー用にデータベースサーバーを1つ起動させてみましょう。BlueMix ではデータベースは「サービス」の1つとして提供されています。そこでダッシュボード画面に戻り、左ペインの SERVICES と書かれた箇所をクリックします:
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すると選択できる各種サービスの一覧が表示されます。"BLUAcceleration" ってのが DB2 だよな。後は・・・なんとなくわかるようなわからないような IBM 製サービス("IBM Created")が並んでいます:
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少し下の方をみると IBM 製ではないサービス("IBM Certified" や "Community")も並んでいます。データベースだけでなく、メッセージキューやジオコーディング、そして電話/SMS連携の Twilio なんかも選ぶことができるようです。 色々試してみたいところですが、とりあえずは1つデータベースを選びます。得意なのを選びましょうか、自分の場合は "MySQL" を選んでみました:
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確認画面が表示されるので "ADD TO APPLICATION" をクリックします:
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そして、この MySQL サービスをどのアプリケーションサーバーと紐づけるか聞かれます。この段階ではどことも紐づけなくても構いません(その場合は単独で稼働する MySQL サーバーになります)が、上述の環境変数の確認をしたいので最初に作ったアプリケーションサーバーを選ぶことにします。これでこの MySQL サーバーが Java アプリケーションサーバーと紐づけられたことになります。最後に "CREATE" をクリックして起動します:
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ダッシュボード画面に戻ると、SERVICES 欄に (1) という数字が表示されているはずです。また MySQL サーバーが SERVICES から確認できるはずです:
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ダッシュボードの ALL を見ると、Java アプリケーションサーバーと MySQL サーバーの2つが確認できます。また Java アプリケーションサーバーに紐づけられたサービスとして MySQL のアイコンが表示されているはずです:
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さて、この状態で改めて上述の Java アプリケーションサーバーの Environment Variables 欄にあるVCAP_SERVICES の値を確認してみましょう。JSON フォーマットでこんな感じの値が表示されるはずです:
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これが Java アプリケーションサーバーからみた MySQL サーバーの接続情報になっています。MySQL サーバーのホスト名(IP アドレス)が hostname 値、ポート番号が port 値、データベース名が name 値、 ユーザーIDが username 値、そしてパスワードが password 値にそれぞれ格納され、1つの JSON にまとまっています。

アプリケーションサーバーからは、これらの情報をあらかじめ確認した上で(ソースコード内に)接続のための情報を記述すればデータベース接続ができます。ただよりスマートに以下のような方法も考えられます:
(1) アプリケーション側でまず VCAP_SERVICE を確認し、 
(2) 中身(JSON)が入っていた場合は、JSON をデコードして接続のための情報を動的に取り出してデータベースに接続する
(3) VCAP_SERVICE に値が設定されていなかった場合は(それは BlueMix 環境ではないことを意味するので)通常の IaaS やオンプレ環境として接続先のデータベース情報を取得する 

このようにすると BlueMix 環境用と、BlueMix でない環境用それぞれで接続先データベースを都合いい方法で取得/設定することができるようになると思われます。war/ear ファイルがそのまま動くような環境だからこそ、こういう方法で接続先データベースも分けられるのは(その情報をハードコーディングする必要もなくなるので)便利ですね。

・・・ところで、Java で JSON 使う時の便利なライブラリをどなたかご存知ないでしょうか? いくつか知ってるんですが、どれも「帯に短し・・・」的な感じで、「これっ!」ってのがないんですよね。。