SoftLayer、ご存知でしょうか?ぶっちゃけ、日本ではあまり知名度高いとは思ってませんが、なかなかに注目のクラウドベンダーだと思っています。
一般的に「クラウドでサーバーを調達する」場合、仮想サーバーが割り当てられます。SoftLayer でも仮想サーバーを申し込むことはできますが、物理サーバーを指定することも可能です。ディスクアクセス負荷の高いことが分かっているサーバーのパフォーマンスを考慮すると物理サーバーを選びたくなり、そこだけはクラウドベンダーが手配できないので別途自分たちで調達、、なんてことをする必要がありましたが、このようなケースで SoftLayer は有力な選択肢になりえます。複数サーバーを調達して「一部を物理サーバー&残りを仮想サーバー」のような構成にすることも、それらを内部ネットワークで通信させる構成を組むことももちろん可能です。
この SoftLayer, これまでは独立系クラウドベンダーとして注目されていましたが、先日 IBM 傘下に入ることがアナウンスされました。現在、日本から SoftLayer と契約する手順はまだ整備されておらず、資料もほとんどありません。このあたりはIBMの戦略の中でいずれ解消されるものと期待していますが、まずはその前に一度使ってみようと思い、無謀にも環境整備前に「一ヶ月無料トライアル」に契約してみました。いわゆる「ヒトバシラー」ですね、はい。
感想としては「契約するまではMな人向き、契約後は超快適」です。前置きが長くなりましたが、この契約までの流れを以下で、そして契約後からサーバー構築までの手順を次回紹介するつもりです。あ、ちなみに無料トライアルで契約できるサーバーは仮想サーバーのみであって、物理サーバーは選べません。
では契約手続きを紹介します。SoftLayer の「一ヶ月無料トライアル」についてはこちらのページに紹介されており、同ページ内の “ORDER NOW” ボタンをクリックすると申し込みページに移動します。なお、現時点(2013.Oct.06)では SoftLayer のページはサポートも含めて全て英語で用意されています。まあそういう方のためのこのブログエントリではありますが、それはそれとして英語がんばりましょう!英語できる方はこの後の画面にチラチラでてくる “Live Chat” をクリックするとサポートチームと繋がるチャット画面が現れ、不明点などをチャットしながら進めていくこともできるようになります(今回、これをかなり使いました)。
こちらが申し込みフォームの画面です。一般的な項目が並んでいるのでそんなに難しくないですよね。支払いはクレジットカードのみ。日本在住の日本人が申し込む場合の入力に迷いましたが、僕は “Country” を “Japan”、”State/Region” は “Non US State/Canadian Province” で “City” 欄に市区町村と都道府県(“Funabashi, Chiba” のような感じ)を記載しました。あと VAT ID(付加価値税登録番号)は大半の日本人には関係ないので空、クレジットカード欄の CVV はカード裏面の確認コード(一般には3桁)です。
画面右からデータセンターを選択します。僕は特に希望や都合はなかったので Washington DC を選びました。
(2013/Oct/15 追記)
オススメはシンガポールかサンノゼです。詳しくはこちら:
そして OS です。この一ヶ月無料トライアルで現在選択できるのは以下。CentOS, Debian, Ubuntu の各バージョンに加え、ソフトウェアルータ環境の Vyatta も選択可能になっていました。ここで申し込んで Vyatta を選ぶだけで仮想環境にルータが作れる、ということですね。あとこの一覧を見てわかる通り、独自OS環境がなく、全て一般的なディストリビューションから選択できるのは後のカスタマイズ時が楽になり、非常に助かります。 僕は Java アプリケーションサーバー環境を作るつもりだったので LAMP ではなく minimal install を CentOS 6.0(64bit) で選ぶことにしました。
この下に “Host name” と “Domain name” 欄が必須項目としてあるのですが、これは単に hostname と network に設定される値をどうするか、というだけの情報であって、深い意味はないようです。ドメインを持っていないといけないとか、その DNS を設定しないといけない、という意味ではないようでした(もちろん所有していればそのような設定も可能です)。
ちなみにスペックと値段を見るとこんな感じ。1ヶ月とはいえ無料で使える環境としては、他と比較してもなかなかいい感じ。まあ本来 $50,00 /月かかる環境と考えれば納得。。
最後に SUBMIT して、確認画面を経て申し込みが完了・・・ となるはずなのですが、実は自分はここで躓きました。”An Error Ocurred: The transaction has been declined by the financial institution. ….” というエラーメッセージが表示され、申し込み画面に戻ってしまいました。チャットで確認したのですが、どうやら「クレジットカードの情報と一致しない情報がある」場合にこうなるとのこと。原因としては、入力した住所の英語表記が登録されている英語表記と一致していなかったようでした。とはいえ元々英語で登録した情報ではないのでそれと一致しないと言われても・・・ (—; 僕の場合は住所の部屋番号の書き方を工夫しているうちに解決しました。あと電話番号については国番号(+81)を含めない番号にしておいた方がいいような気がしています。これも後にトラブルがあったので。
無事に申し込みが完了するとこんな画面になります。モザイクをかけていますが、ここに記述されている ORDER #(注文番号)は後ほど必要になります。
見逃しやすいかもしれませんが、実はこの画面にこんな事が書かれています: “A member of our sales team will contact you via telephone to confirm your server purchase”(「今回の購入の確認のため、営業チームから電話確認を行います」)。
で、電話!? なかなかハードルが高い注文で・・・ で、実際には注文から30分程度で電話がかかってくるそうです。その電話に出れないと自分から(もちろん国際電話で)電話をかけないといけなくなるので、電話に出れる状態を確保してから注文しましょう。電話では注文番号や名前、住所、クレジットカード番号の下4桁などの確認を口頭で行うことになります。電話確認が無事に完了するとメールが何通か送られてきます。その中にはサーバーを管理するポータル画面へログインするためのURLとユーザーID&仮パスワード、そして「準備ができました」の以下のメールが到着すればサーバーにアクセスできます。
メールで受け取った情報を使ってポータルサイトにアクセスし、ID と仮パスワードでログインします。初回ログイン直後に正式なパスワードに変更します。
ポータルのトップ画面がこちらです。この画面から起動中のサーバーインスタンスに対する再起動などのアクションが可能です。
サーバーインスタンスの詳細情報を知りたいので、メニューの CLOUDLAYER - Computing を選択し、Computing Instance 欄のサーバー名をクリックします。
この画面には作成したサーバーインスタンスにアクセスするための IP アドレス(Private / Public)、初期 root パスワードなどが確認できます。IP アドレスは2つ表示されていますが、2つ目がグローバルに利用できる Public アドレスです。
このサーバーインスタンスは KVM 上に構成された素の CentOS のようで、鍵ファイルなど不要で普通に SSH で root アクセスできます。なのでとりあえずログイン後に root のパスワードは変更しておくべきだと思います。
途中で国際電話体験などかなり想定外の事態もありましたが、ここまで出来てしまえば後は普通の CentOS 同様に(というか、おそらく普通に minimal インストールした CentOS として)使うこと可能です。賛否両論あるかとは思いますが、鍵ファイルの存在を意識せずに自由に SSH 等でログインできる環境がクラウド上に用意されるのは開発者としてはありがたいです。 次回はこのサーバーに対して自分が行ったセットアップ内容を紹介する予定です。