まだプログラマーですが何か?

プログラマーネタ中心。たまに作成したウェブサービス関連の話も https://twitter.com/dotnsf

タグ:leaflet

このエントリの続きです:
Leaflet.js の UI で画像を表示する(1)


地図操作ライブラリの Leaflet.js の応用で、地図以外のオブジェクトを Leaflet の UI で表示する方法を紹介しています。前回は imageOverlay を使って画像を表示しましたが、今回は canvasOverlay を使ってキャンバス(HTML5 の <canvas>)を操作する方法を紹介します。比較の意味も含めて、表示内容そのものは前回同様に画像としますが、画像を画像のまま表示するのではなく、画像をキャンバスに描画した上で、更にキャンバスに描画を加える、という内容を紹介します。必要に応じて前回の内容も参照しながら見てください。

なお今回も表示対象画像は「いらすとや」「家にいるアマビエ」の画像とします:
amabie_stay_home


また前回紹介した内容は Leaflet.js の標準機能だけで実現しましたが、今回はアドイン機能である L.CanvasLayer を併用して実現します。以下のサイトからあらかじめ L.CanvasLayer.js をダウンロードしておいてください:
https://raw.githubusercontent.com/Sumbera/gLayers.Leaflet/master/L.CanvasLayer.js


ダウンロードできたら以下のような HTML を用意します:
<script src="./L.CanvasLayer.js"></script>

<div id="demoMap"></div>

<script>
//. 空の地図を OpenStreetMap データで表示
map = L.map('demoMap', { dragging: true, zoomControl: true, minZoom: -5, maxZoom: 5, crs: L.CRS.Simple, preferCanvas: true } );

//. 表示する画像のパスとサイズ
var image = {
  url: './3600x3600.png',
  width: 3600,
  height: 3600
};

//. 画像領域を地図に設定
var imageBounds = L.latLngBounds([
  map.unproject( [ 0, image.height ] ),
  map.unproject( [ image.width, 0 ] )
]);
map.fitBounds( imageBounds );
map.setMaxBounds( imageBounds.pad( 0.5 ) );

//. 画像をオーバーレイで設定
L.imageOverlay( image.url, imageBounds ).addTo( map );

//. キャンバスレイヤーを設定
L.canvasLayer().delegate( this ).addTo( map );
      
//. キャンバスの再描画イベントハンドラ
function onDrawLayer( info ) {
  var canvas = info.canvas;
  var ctx = canvas.getContext( '2d' );

  var colors = [
    "rgba(0,0,0,0.2)",
    "rgba(255,0,0,0.2)"
  ];
  var points = [
    [ -1000, 2000 ],
    [ -2000, 2250 ]
  ];

  ctx.clearRect( 0, 0, canvas.width, canvas.height );

  //. ズームレベルに合わせて arc の描画半径を調整
  var zoom = map.getZoom();
  var r = 30 * Math.pow( 2, zoom );

  for( var i = 0; i < points.length; i++ ){
    var point = points[i];
    if( info.bounds.contains( [ point[0], point[1] ] ) ){
      var p = info.layer._map.latLngToContainerPoint( [ point[0], point[1] ] );
      ctx.beginPath();
      ctx.fillStyle = colors[i];
      ctx.arc( p.x, p.y, r, 0, Math.PI * 2 );
      ctx.fill();
      ctx.closePath();
    }
  }
}
</script>



まず L.CanvasLayer.js を読み込みます。そして L.imageOverlay を使って画像(3600x3600.png)をロードするのですが、ここまでは前回紹介したものと同様です。

その後で L.canvasLayer() でキャンバスをレイヤーとして扱います。これでキャンバスの再描画イベントハンドラである onDrawLayer() をカスタマイズすることで画像に更にグラフィックをカスタマイズすることが可能になります。

このコードが実際に動いているワーキングデモページはこちらです:
https://dotnsf.github.io/leaflet_overlay2/


上記 URL をブラウザで開くと、前回同様「家にいるアマビエ」の画像が Leaflet の UI で表示されます:
2020050401


左上のズームコントローラーやスマホのピンチイン/アウト操作で画像が拡大縮小されます。実は前回と少しだけ違う点があることに気付く方はいらっしゃるでしょうか?:
2020050402


よく見ると窓とアマビエの右目尻に丸いオブジェクトが描画されています。これはゴミではなく、画像が表示されている Canvas の上にグラフィックコンテキストを使って(JavaScript で)描画されたものです:
2020050403


画面を更に拡大/縮小しても、ズームレベルに合わせて表示されます:
2020050404


この部分は上記コードの OnDrawLayer 関数内で処理されています。キャンバスが再描画されるタイミングで呼び出されますが、パラメータ(info)の info.canvas で表示されている <canvas> 要素を取得することができます。なので後は info.canvas.getContext( '2d' ) でグラフィックコンテキストを取得した後にここなどを参照して描画すると上述のように元の画像の上に更にグラフィックを追加した上で Leaflet の UI で表示できるようになる、というものです。


<canvas> をある程度使ったことがあると、この方法が使えるのは本当に便利です。自由に描画したキャンバスを Leaflet.js の UI で表示できるようになるため、使いみちが広がります。

オープンソースの地図ライブラリである Leaflet.js を使って(正確には「 Leaflet.js の UI 」を使って)、地図以外の情報を表示することができます。今回は「画像」を表示する方法を紹介します。

例えば Leaflet.js を使って OSM(OpenStreetMap) の地図を表示するには以下のような JavaScript コードをブラウザで実行します:
<div id="demoMap"></div>

<link rel="stylesheet" href="https://unpkg.com/leaflet@1.3.1/dist/leaflet.css"/>
<script src="https://unpkg.com/leaflet@1.3.1/dist/leaflet.js"></script>


<script>
var map = L.map('demoMap', { dragging: false, zoomControl: false, minZoom: 5, maxZoom: 5 }).setView( [ 35.695, 139.983 ], 5 );
L.tileLayer(
  'http://{s}.tile.openstreetmap.org/{z}/{x}/{y}.png', {
    attribution: 'Map data © <a href="http://openstreetmap.org/">OpenStreetMap</a>',
    maxZoom: 5
  }
).addTo( map );
</script>

20200506


詳しくは紹介しませんが、青字の行でマップの定義を行って、赤字部分で OSM を指定して地図を表示する、という処理を実行しています。 この赤字部分ではタイルレイヤー(tileLayer)を使って OSM のタイルを指定しているのですが、Leaflet ではここを変えることで地図以外のオブジェクトを扱うことも可能です。今回はその中の1つである「画像」を扱う方法を紹介します。

まず Leaflet.js 利用時に限りませんが、地図アプリの UI というのはなかなか便利です。目的のオブジェクト(普通は地図)をマウスやスワイプでスクロールしたり、拡大・縮小したりして見たり、クリック・ダブルクリックによって特定位置を指定したりすることができます。これ自体が非常に便利な UI となっていて、地図以外でもこのようなインターフェースを使いたくなることがあります。今回は「(比較的大きな)画像ファイル」を対象に Leaflet.js でスクロール・拡大・縮小といったインターフェースが使えるように表示させてみます。

今回の表示対象画像は「いらすとや」「家にいるアマビエ」の画像とします:
amabie_stay_home


オリジナルは横 400 x 縦 373 ピクセルの画像だったのですが、これを 3600 x 3600 に拡大した画像(3600x3600.png)を用意しました。このファイルを使って以下のようなコードを用意します:
<div id="demoMap"></div>

<link rel="stylesheet" href="https://unpkg.com/leaflet@1.3.1/dist/leaflet.css"/>
<script src="https://unpkg.com/leaflet@1.3.1/dist/leaflet.js"></script>

<script>
//. 空の地図を OpenStreetMap データで表示
var map = L.map('demoMap', { dragging: true, zoomControl: true, minZoom: -5, maxZoom: 5, crs: L.CRS.Simple, preferCanvas: true } );

//. 表示する画像のパスとサイズ
var image = {
  url: './3600x3600.png',
  width: 3600,
  height: 3600
};

//. 画像領域を地図に設定
var imageBounds = L.latLngBounds([
  map.unproject( [ 0, image.height ] ),
  map.unproject( [ image.width, 0 ] )
]);
map.fitBounds( imageBounds );
map.setMaxBounds( imageBounds.pad( 0.5 ) );

//. 画像をオーバーレイで設定
L.imageOverlay( image.url, imageBounds ).addTo( map );
</script>

青字部分と赤字部分がそれぞれ元のコードに対応しています。ただ今回は赤字部分の前に画像を用意した後に、画像オーバーレイ(L.imageOverlay)を実行するための準備コードが間に含まれています。


実際にこのコードを使って動くページを用意しました。ワーキングデモはこちらを参照してください:
https://dotnsf.github.io/leaflet_overlay/


上記サイトに PC ブラウザかスマホブラウザでアクセスすると、画面中央に上述の画像が表示されます。ただ単に画像が表示されているわけではなく、画面左上に Leaflet.js のズームコントローラーが、右下には Leaflet ロゴが表示されています:
2020050201


ズームコントローラーを使うか、あるいはスマホなどでピンチイン・アウト操作を行うことで画像が拡大・縮小して表示できます:
2020050202


またマウスやスワイプ処理で画像をスクロール表示することも可能です:
2020050203


こういったユーザーインターフェースが簡単に作れてしまうという点で Leaflet.js は本当に便利です。


(このページの続きはこちらです)
http://dotnsf.blog.jp/archives/1077424924.html


オープンな地図データである OSM(OpenStreetMap) と、オープンな地図操作 JavaScript ライブラリである Leaflet.js を使うことで、ライセンスフリーな地図アプリを作ることができます。このブログでも過去に何度か扱ったことがあります:
http://dotnsf.blog.jp/tag/leaflet

例えば、単に地図を全画面表示するのであればこんな感じのコードを書くと実現できちゃいます:
<!DOCTYPE html PUBLIC "-//W3C//DTD XHTML 1.0 Strict//EN" "http://www.w3c.org/TR/xhtml1/DTD/xhtml1-strict.dtd">
<html xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml" xmlns:v="urn:schemas-microsoft-com:vml">
<head>
<meta charset="utf8"/>
<meta http-equiv="pragma" content="no-cache"/>
<script src="https://code.jquery.com/jquery-2.2.4.min.js"></script>
<link rel="stylesheet" href="https://cdnjs.cloudflare.com/ajax/libs/leaflet/1.2.0/leaflet.css" />
<script src="https://cdnjs.cloudflare.com/ajax/libs/leaflet/1.2.0/leaflet.js"></script>

<meta name="viewport" content="width=device-width,initial-scale=1"/>
<meta name="apple-mobile-web-app-capable" content="yes"/>
<meta name="apple-mobile-web-app-status-bar-style" content="black"/>
<meta name="apple-mobile-web-app-title" content="OSM Sample"/>

<title>OSM Sample</title>
<script>
</script>
<script>
//. 初期中心位置
var lat = 35.681377778;
var lng = 139.76736389;

//. 初期ズームレベル
var zoomlevel = 9;

var map = null;

$(function(){
  //. 初期位置を中心とした地図を OpenStreetMap データで表示
  map = L.map('demoMap', {}).setView( [ lat, lng ], zoomlevel );
  L.tileLayer(
    'https://{s}.tile.openstreetmap.org/{z}/{x}/{y}.png', {
      attribution: 'Map data © <a href="//openstreetmap.org/">OpenStreetMap</a>',
    }
  ).addTo( map );
});
</script>
<style>
html, body {
  width: 100%;
  height: 100%;
  padding: 0px;
  margin: 0px;
}
#demoMap{
  position: fixed;
  width: 100%;
  height: 100%;
}
</style>
</head>
<body>
  <div>
    <div id="demoMap"></div>
  </div>
</body>
</html>

(東京あたりを中心に、ズームレベル9で地図を表示)
2020041501


さて、上図の左上にズームコントロールがあります(上記コードでは特に指定していませんが、明示的に非表示にしない限り、デフォルトでズームコントロールが表示されます)。スマホであればピンチイン・アウトの操作でズームイン・アウトができるのですが、タッチスクリーンに対応していない PC のブラウザで地図を見ている場合は、このコントールを使ってズームイン・アウトを行うことになります。

ただ例えば画面上部に常に表示されるメッセージがある場合など、メッセージとズームコントロールが重なってしまい、操作しにくくなってしまうことがあります:
<!DOCTYPE html PUBLIC "-//W3C//DTD XHTML 1.0 Strict//EN" "http://www.w3c.org/TR/xhtml1/DTD/xhtml1-strict.dtd">
<html xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml" xmlns:v="urn:schemas-microsoft-com:vml">
<head>
<meta charset="utf8"/>
<meta http-equiv="pragma" content="no-cache"/>
<script src="https://code.jquery.com/jquery-2.2.4.min.js"></script>
<link rel="stylesheet" href="https://cdnjs.cloudflare.com/ajax/libs/leaflet/1.2.0/leaflet.css" />
<script src="https://cdnjs.cloudflare.com/ajax/libs/leaflet/1.2.0/leaflet.js"></script>

<meta name="viewport" content="width=device-width,initial-scale=1"/>
<meta name="apple-mobile-web-app-capable" content="yes"/>
<meta name="apple-mobile-web-app-status-bar-style" content="black"/>
<meta name="apple-mobile-web-app-title" content="OSM Sample"/>

<title>OSM Sample</title>
<script>
</script>
<script>
//. 初期中心位置
var lat = 35.681377778;
var lng = 139.76736389;

//. 初期ズームレベル
var zoomlevel = 9;

var map = null;

$(function(){
  //. 初期位置を中心とした地図を OpenStreetMap データで表示
  map = L.map('demoMap', {}).setView( [ lat, lng ], zoomlevel );
  L.tileLayer(
    'https://{s}.tile.openstreetmap.org/{z}/{x}/{y}.png', {
      attribution: 'Map data © <a href="//openstreetmap.org/">OpenStreetMap</a>',
    }
  ).addTo( map );
});
</script>
<style>
html, body {
  width: 100%;
  height: 100%;
  padding: 0px;
  margin: 0px;
}
#demoMap{
  position: fixed;
  width: 100%;
  height: 100%;
}
#message{
  position: absolute;
  top: 10px;
  font-size: 20px;
  color: red;
  font-weight: bold;
}
</style>
</head>
<body>
  <div>
    <div id="demoMap"></div>
    <div id="message">このメッセージが邪魔でズーム制御ができない?</div>
  </div>
</body>
</html>

(画面上のメッセージとズームコントロールが重なってしまう例)
2020041502


この状態をなんとか回避できないか、というのが今回のブログエントリのテーマです。メッセージ側の位置を変えるのは簡単ですが、当然意図があって画面上部にメッセージを表示しているわけですから、できればズームコントロールの位置を変えたい。一方、なまじデフォルトで表示されてしまっているズームコントロールだけにどうすると位置を変更できるのか、がわかりにくいのでした。

正解の一例を先にお見せすると、こんな感じになります:
<!DOCTYPE html PUBLIC "-//W3C//DTD XHTML 1.0 Strict//EN" "http://www.w3c.org/TR/xhtml1/DTD/xhtml1-strict.dtd">
<html xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml" xmlns:v="urn:schemas-microsoft-com:vml">
<head>
<meta charset="utf8"/>
<meta http-equiv="pragma" content="no-cache"/>
<script src="https://code.jquery.com/jquery-2.2.4.min.js"></script>
<link rel="stylesheet" href="https://cdnjs.cloudflare.com/ajax/libs/leaflet/1.2.0/leaflet.css" />
<script src="https://cdnjs.cloudflare.com/ajax/libs/leaflet/1.2.0/leaflet.js"></script>

<meta name="viewport" content="width=device-width,initial-scale=1"/>
<meta name="apple-mobile-web-app-capable" content="yes"/>
<meta name="apple-mobile-web-app-status-bar-style" content="black"/>
<meta name="apple-mobile-web-app-title" content="OSM Sample"/>

<title>OSM Sample</title>
<script>
</script>
<script>
//. 初期中心位置
var lat = 35.681377778;
var lng = 139.76736389;

//. 初期ズームレベル
var zoomlevel = 9;

var map = null;

$(function(){
  //. 初期位置を中心とした地図を OpenStreetMap データで表示
  map = L.map('demoMap', { dragging: true, zoomControl: false }).setView( [ lat, lng ], zoomlevel );
  L.control.zoom( { position: 'bottomright' } ).addTo( map );
  L.tileLayer(
    'https://{s}.tile.openstreetmap.org/{z}/{x}/{y}.png', {
      attribution: 'Map data © <a href="//openstreetmap.org/">OpenStreetMap</a>',
    }
  ).addTo( map );
});
</script>
<style>
html, body {
  width: 100%;
  height: 100%;
  padding: 0px;
  margin: 0px;
}
#demoMap{
  position: fixed;
  width: 100%;
  height: 100%;
}
#message{
  position: absolute;
  top: 10px;
  font-size: 20px;
  color: red;
  font-weight: bold;
}
</style>
</head>
<body>
  <div>
    <div id="demoMap"></div>
    <div id="message">このメッセージがあってもズーム制御できる</div>
  </div>
</body>
</html>

青字部分が肝になります。初期化時(L.map() 実行時)のオプションで zoomControl: false をつけることでズームコントロールを(一旦)非表示にします。なおもう一つ指定しているオプション dragging: true は地図のスクロール(ドラッグ)ができるようにするオプションで、ここを false にするとスクロールできない地図になります。

このままだとズームコントロールは表示されないのですが、直後の1行でズームコントロールを再び表示しています。そしてこの行では position: 'bottomright' というオプションをつけることで「右下」にズームコントロールを表示させています(デフォルトは 'topleft'):

2020041503

↑こんな感じになって、メッセージと重ならない位置にズームコントロールを移動できました。


(参考)
https://www.wrld3d.com/wrld.js/latest/docs/leaflet/L.Control.zoom/



タイミングいいのか悪いのかわかりませんが、新型コロナウィルスの影響でしばらくしばらく千葉県に引きこもることになりそう・・・って所から今回のブログネタを思いつきました。

オープンソースで公開された東京都の新型コロナウィルス感染症対策サイトが話題になりました:
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

2020032601


オープンソースで公開されていることに加え、扱うデータもオープンデータを活用していることで他の自治体へも活用される動きが広がっています。スピード感も含めオープンソースやオープンデータはこういう時に強いですよね。


そんな流れに触発されたこともないわけではないのですが、自分もオープンデータを使ったサービスを作れないだろうか、それもできれば比較的得意としている地図情報を使う形で、、、といった経緯の中で1つアイデアを思いついて簡単な実装までしてみました。

技術的な説明は後述しますが、まずは動いているサービスをご覧ください。 PC またはスマホのブラウザで以下のサイトにアクセスしてください:
https://dotnsf.github.io/geojsonjapan/

2020032501


上記のような東京を中心とした日本地図が画面いっぱいに表示されます。画面左上の+ーで拡大縮小したり、マウスのドラッグ(スマホの場合はピンチイン/アウトやスクロール)で表示位置を変更することができます。

その上で、日本地図の陸地部分のどこかをタップすると、そのタップされた地点がどの都道府県に属しているのかがポップアップで表示される、というものです(下図は東京都の皇居付近をタップした時の様子):
2020032502


サービスとしてはただこれだけなんですが、そこそこの精度を実現しています。例えば千葉県の、チーバ君でいえば鼻の先端部分のこのあたり、、、
2020032503


千葉県民であれば常識だと思いますが、千葉県は四方を太平洋、東京湾、利根川、そして江戸川に囲まれていて、川にかかる橋を除けば全ての県境が水の上、と思われています。実際ほぼその通りなんですが、上記部分を拡大してみるとこんな感じになっています:
2020032504


向かって右側が利根川、左側が江戸川で、この2つに挟まれた三角州部分。そのわずかな先端部分だけはなぜか千葉県ではなく茨城県になっているのでした。そういった細かな県境がこのサービスではどうなっているかというと・・・ ちゃんと対応しています:
2020032505


また千葉県に関して言えば、富津岬の先にある2つの海堡も含めて対応しています。千葉県に限らず、そこそこ細かな所までは対応した都道府県判定ができていると思っているサービスです:
2020032506


もともとは「ジオロケーションを使って利用者の位置情報を取得して、香川県からのアクセスだとわかったら・・・ (^^; 」などと考えながらはじめた取り組みだったりしたのですが、対応範囲を日本の全都道府県にして、更に地図情報を連携させた結果がこういう形になりました。これ自体が何らかの直接の役に立つものではないと考えていますが、後述する技術要素も含めて今後更に精度を高めるためのカスタマイズをしたり、今後は「地形から場所を推測する」なんてことにも挑戦したいと考えていたりします。


以下、このサービスを実現するにあたっての技術要素の紹介です。興味ある方は引き続きご覧ください。

まずこのウェブサービスアプリケーションはオープンソースとして公開しています。興味ある方はこちらもどうぞ(実質的には index.html だけで実現しています):
https://github.com/dotnsf/geojsonjapan


次にこのサービスの URL (https://dotnsf.github.io/geojsonjapan/)を再確認いただきたいです。わかる人はわかると思うのですが、Github Pages を使って公開しているサービスです。要は Github のリポジトリを使い、静的なファイル(index.html)をウェブサーバーで表示することで、このサービスは成立しています。つまり外部 API 連携を含めたバックエンド機能を一切使わずに実現しています。では改めてその制約条件の上でどのような仕組みやロジックでこのサービスを実現しているか、わかりますか?


このサービスを実現する上で、以下のような実装をしています:
  1. 地図情報に OpenStreetMap 、地図操作ライブラリに Leaflet.js を使って、ブラウザ上に日本地図を表示する
  2. 各都道府県ごとの geoJSON ファイルを使って、日本地図上に各都道府県ごとの透明なレイヤーを重ねる。その際にレイヤーがタップされた場合に都道府県名がポップアップされるようなハンドラを定義する
  3. 各都道府県ごとの geoJSON ファイルはオープンデータとして提供されているものから作ったファイル(japan.geojson)を利用する。index.html からこの geoJSON ファイルを AJAX で取得して利用する

つまりオープンソースのツールと、オープンデータだけで作ったサービスということになります。

geoJSON ファイルについては補足しておきます。geoJSON とはこの地球上における緯度・経度、およびこれらの配列を用いて点、線、多角形、多角形の組み合わせを JSON ベースで表現する標準フォーマットです。上述の Leaflet.js も geoJSON に対応しており、関数一発で geoJSON のレイヤを地図上に追加することができたり、そのレイヤに対するクリックイベントハンドリングなどが実現できます。

今回公開したこのサービスでは、上述のように国土地理院から提供されている地球地図日本のデータを geoJSON ファイル化したものを使っています。このファイル(japan.geojson)を index.html からAJAX を使って読み込み、各都道府県の feature データごとに Leaflet.js の geoJSON メソッドでレイヤに追加しています(同時に bindPopup メソッドでレイヤがタップされた時の処理も定義しています)。オープンソースとオープンデータだけでここまで作れちゃうんですねー。

なお都道府県レベルではなく市区町村レベルで同様のことができるかというと、国土交通省の行政区域データを使って作られたものは存在しているので、仕組み上はそのままでもできないことはないと思います。一方で市区町村レベルとなるとデータ量がかなり膨大となってしまうため、そのままデータだけ変えて実現してしまうと通信料(量だけでなく料)の問題が発生しかねないと思っています。

一方このデータの精密度について、充分であるとは思いますが、まだまだ厳密性に欠ける部分もあります。例えばいわゆる「飛び地」データは僕が知る限りで試した範囲では存在していませんでした(つまり未対応)。例えば有名な所では埼玉県に囲まれた東京都練馬区西大泉町はこのデータでは「埼玉県」扱いになっています:
2020032602


また実際の geoJSON データを地図上に重ねてマッピングしてみると、そこまで正確とは言えない内容でした(※そもそも地図データ側がどこまで正確か、という問題もあるとは思っています):
2020032507

↑上述の富津岬部分の geoJSON データ、結構荒い・・・


ただ大事なことは API のようなブラックボックスではなく、ここまでの基礎情報がオープンデータとして提供されており、オープンソースのツールや標準化によってここまで実現でき、必要であれば自分で手元のデータを改良(カスタマイズ)して使うこともできるような形で実現できている、という点です(geoJSON は飛び地のようなデータにも対応したフォーマットです)。オープンデータとフロントエンド機能だけでここまで実現できるようになっていることには、あらためて位置情報サービスの人気や広がりを意識するし、今後のさらなる広がりにも期待できます。

便利な地図表示ライブラリ Leaflet(と OpenStreetMap)を使って表示する地図は原則的には上が北になります。これを変更して(つまり地図を回転させて、上が北側にならないようにして)表示することに挑戦してみました。

最初は「やり方をググれば見つかるだろう」と軽く考えていたのですが、これはどうやらかなり難しいらしく、Stackoverflow で同様の質問を見つけましたが、ここでの回答には「Leaflet ネイティブで用意された方法は存在しない」「簡単な方法はない」とされています。かなりハードル高そうです。。

ネイティブには用意されていない、、簡単ではないものを自力で解決する、、 言うは簡単ですが実際には細かな調整含めて結構面倒なものでした。ただ一応サンプルとして動く形にできましたので、公開&紹介します。

まず、ソースコードはこちらに用意しました。実装は index.html ファイルを参照してください(バックエンドなしにこのファイル1つだけで実装しています):
https://github.com/dotnsf/om


実際に動く様子を確認・体験できるように github ページも用意しました。スマホのブラウザでこちらにアクセスしてください:
https://dotnsf.github.io/om/


なお、このページでは DeviceOrientation イベントをハンドリングしているため、環境によっては事前準備が必要です。こちらのページでも紹介しているように Android や iOS 12.1 以下の場合は事前設定不要です(ページを表示すればそのまま動きます)。 iOS 12.2 以上 13.0 未満の場合は URL 先にアクセスする前に予め Safari の設定で「モーションと画面の向きのアクセス」を ON にしておいてください(この設定後に URL にアクセスすれば動きます):
2020011001



また iOS 13.0 以上の場合は事前の準備は不要ですが、ページロード直後の初期状態で表示される「センサーの有効化」というボタンをクリックしてから「許可」してください:
2020011002


いずれの環境においても上記の準備を済ませた上でアクセスすると、東京を中心とした関東の地図が表示されます。また画面の中心には赤字でこのスマホデバイスの横方向への傾き角度が表示されます:
2020011701


スマホを横方向に傾けると、その傾きに合わせて地図が画面内で回転して表示されます。下図ではスマホを向かって右側に(時計回り方向に)傾けています。スマホの傾きに関係なく、常に真上(下図では左上方向)が北になります:
2020011700


実際に動かしている様子を動画にしました:



以下、技術的な解説を加えていきます。

まず CSS で body など地図を表示する要素のサイズを width も height も 100% に指定して、全画面で地図が表示されるようにしています。

そして回転処理そのものは地図を表示する <div> 要素に CSS の transform: rotate() 属性を適用して実現しています。今回の例では <div id="demoMap"> 内に Leaflet 地図を表示していますが、デバイスの傾き(角度: deg)を検知して、
 $('#demoMap').css( 'transform', 'rotate(-'+deg+'deg)' );
という処理を実行することで <div> ごと回転をかけて表示しています(加えて deg の数値を <div id="me"> 内で表示していますが、こちらは特別な処理をしていないため、詳細は省略します)。

ただこれだけだとうまくいきません。Leaflet の仕様なのか、CSS transform の仕様なのか「もともと表示されている要素が回転して表示される」らしく、縦 100% 横 100% の画面を回転させると、角度によっては表示されない部分が出来てしまうのでした:
2020011801



↑黒がスマホ本体(黒枠の中だけが実際に表示される)、左側は本体画面に地図が表示されている。スマホを回転させて表示すると、元の地図の矩形部分は表示されるが、表示しきれない部分(黄色の部分)が生じる。実際には黄色部分はグレーで表示されてしまいます。


この状況を回避するための工夫を加えています。具体的には <div id="demoMap"> のサイズを width, height ともに 200% に指定して実際のスマホ画面の4倍の面積のエリアをロードするようにしています(更に left と top を -50% にして、そのロードしたエリアの中心部分だけを表示するよう調整しています。こうすることで表示された画面の中心を軸に画面が自然に回転するようになります)。細かいことですが、この仕様に合わせて <div id="me"> の位置もこの変更に合わせて調整したり、(表示位置がズレないよう)画面にスクロールバーが出ないよう CSS で抑制したりしています:
2020011802


↑地図部分を実画面サイズよりも大きくすることで、回転させても表示不可エリアが生じないように調整しています。


こうした工夫によってなんとか実現できました。ただ地図上に書かれた文字が斜めになってしまうのはさすがにどうしようもないです。その辺りは地図 API 側でサポートしてくれるのを待つしかないかなあ。。

なお index.html 内の JavaScript 変数 lat(緯度), lng(経度)が地図の中心点座標、zoom がズームレベルです。これらの値を変えると表示するエリアや拡大縮小レベルを変えることができますので、自分の環境で挑戦してみたい方は是非挑戦してみてください。


このページのトップヘ