日本での正式な発売直後に品切れになり、しばらく入手できなかったラズベリーパイ 400 (以下「ラズパイ 400」)の販売が再開されたようです:
品切れだったラズパイ内蔵キーボード「Raspberry Pi 400」日本語版、販売を再開 9790円



幸いなことに自分はこれ(日本語キーボード版)を入手することができていました。そして罰当たりなことに、このラズパイ 400 を「起動したまま SSH で使う」という使い方をしていました。SSH 接続ならなにもラズパイ 400 じゃなくて普通のラズパイでも・・・という声が聞こえてきそうです。ごめんなさい、その通りだと思いつつ使ってました。

言い訳をするつもりはないのですが、ラズパイ 400 はキーボード本体内にラズパイ4(4GBモデル)が内蔵されているもので、ここに電源とモニター(と現実的にはマウス)をつないで使うことになります。マウスは Bluetooth でもよいので物理的な接続は必須ではなく、(内蔵バッテリーがないため)電源をつながないといけないのは仕方ないとして、モニターもつながないと実質的に使えないというのが普段使いにはちょっとしたハンディキャップになっていました。本体とキーボードのセットと考えるとかなり小型化されていて持ち運びに便利な一方で、モニターも HDMI ケーブルごと持ち歩かないといけないのだとするとラズパイ 400 の機動性はかなり落ちてしまいます。モニターのある部屋からモニターのある部屋へ移動して使うにはいいんだけど、それだと利用シーンはかなり限られてしまうような気もしてしまいます。。

で、今回のブログのテーマとなります。そんなラズパイ 400 ですが、普段から持ち歩いているスマートフォン(スマホ)をモニター代わりに使うことができるのであれば、実質的にモニターを持ち歩いているようなものなので、上述の課題を解決できるのではないかと考えました。これは実現性を無視した都合のよい話ではなく、HDMI input をサポートした Android 11 以降であれば理論上はできるはず、、ということで試してみたのでした。ちなみに iOS だとまだこの機能はサポートされていない模様です。


【システム構成】
今回試したシステム構成はこのような形です:
2021091901


通常、ラズパイとディスプレイとを HDMI ケーブルで接続するのですが、そのディスプレイの代わりにスマートフォンを使うことになります。その際に HDMI ケーブルをスマートフォンの端子(USB Type-C)にアダプタで直接変換すればよいわけではなく、間にキャプチャーカードと呼ばれる機器を挟む必要があります。今回は以下の「BANANAJOY ビデオキャプチャカード」を使いました:



また、このキャプチャー結果の信号を USB Type-C 端子を持つスマホに送るための変換ケーブルとしては以下の「MacLab. USB Type-C OTG 変換 ケーブル」を使いました:



加えて、スマホ側にも単に信号を送っただけではディスプレイとして表示されないので、「スマホを外部ディスプレイ化するアプリ」が必要です。今回はこの「USB Camera」アプリをダウンロードして使いました。なおこのアプリは無料ですが、有料版(USB Camera Pro)だと広告が表示されないだけでなく、画面サイズを変更できるなどの追加機能が使えるようです:
USB Camera - Connect EasyCap or USB WebCam


ちなみに今回の実験で使ったスマホはこの Unihertz Titan Pocket です。この機種である必要はありませんが、Android 11 が搭載されている必要があると思っています:
QWERTYキー付き小型スマホ、Unihertz「Titan Pocket」が到着!

※あと今回のレビューでは使っていませんが、この機種だと標準アプリとして「USBカメラ」というものが含まれていて、これで外部ディスプレイ化できることも確認できました。


で、上述のシステム構成のようにラズパイ 400 、HDMI ケーブル、キャプチャーカード、OTG 変換ケーブル、そしてスマホを接続し、スマホにインストールした USB Camera アプリを起動した状態でラズパイ 400 に電源を入れると・・・
IMG_3924


↑ラズパイ 400 が起動し、その画面がスマホ内に表示されました!期待通り!!

↓ブラウザとターミナルを開いて使っている時の画面の様子がこちらです:
IMG_3925


あっけなく実現できてしまいました。今回スマホとして使った Unihertz Titan Pocket は決して広い画面を持っているわけではないので、実用性という観点ではあまりよくないかも(苦笑)しれません。まあ、でも普通の画面(?)の Android 11 を所有していて、有料版の USB カメラアプリで画面をポートレートモード(横)固定で使えばもう少し見やすくなりそうだと思ってます。

※ここでスマホに表示される画面はあくまで「外部ディスプレイ化されたスマホに単に表示されている画面」です。タッチ操作に対応はしていません。タッチしても何の反応もありません。


さて、ということはラズパイ 400 を持ち歩いて使う上で、かなり進展があったと思っています。何しろ「普段から外部ディスプレイ(=スマホ)を持ち歩いていた」ことになるので、接続用のケーブル類だけ持ち歩いていればどこでもラズパイを使える、ということになります!!

その接続用に持ち歩くケーブル類ですが、具体的には・・・
・電源ケーブル(USB-C ケーブルと、コンセントにつなぐ電源アウトレット)
・Micro HDMI -> HDMI 変換アダプタ
・HDMI ケーブル
・HDMI キャプチャーカード
・USB Type-C OTG 変換ケーブル
・外付けマウス(有線か、または Bluetooth)


・・・んー、意外と多いな(汗) (^^; それと結局バッテリーがないからコンセントかモバイルバッテリーに繋いで使う必要があるんですよね。これが次のネックになりそうな気がしてきました。。

※なお、HDMI キャプチャーカードが利用する電源は出力側(スマホ側)から使われる模様です。つまりこの仕組を使っている間、スマホ側のバッテリーは想定以上に消費されることになる点に注意してください。


ともあれ、Android 11 が使えるユーザーにとってはフルキーボード付きの Debian Linux 環境を持ち歩いて使える手段の目途が立つ実験結果でした。