IBM Cloud から提供されている 30 日間無料 Kubernetes サービスIBM Kubernetes Service 、以下 "IKS")環境を使って利用することのできるコンテナイメージを1日に1個ずつ 30 日間連続で紹介していきます。

環境のセットアップや制約事項については Day0 のこちらの記事を参照してください。

Day 19 からはプログラミング・開発系コンテナとその GUI ツールを中心に紹介してます。区切りの Day 20 は Day 19 で紹介した Node-RED と並ぶローコード開発双璧のもう1つ Scratch イメージをデプロイする例を紹介します。
scratch



【イメージの概要】
「子供のプログラミング教育向け」に使われることが多く、子供向けの印象を持っている人がいるかもしれません。ただ実際には他のローコード開発環境と比べても珍しい「キャラクタードリブン」な開発が可能で、画面内(はじめから画面があることが想定されていることがすごいんですけど・・)のキャラクターを「動かし」たり、「ぶつかったら○○をする、と指示」したりしてアプリケーションを作っていきます。キャラクターが存在していることでゲームが作りやすいという特徴もあり、これが子供向けとされている要因の1つかもしれません。

開発は Scratch 財団と MIT(マサチューセッツ工科大学)による共同開発が行われています。


【イメージのデプロイ】
まずはこちらのファイルを自分の PC にダウンロードしてください:
https://raw.githubusercontent.com/dotnsf/yamls_for_iks/main/scratch3.yaml

今回の Scratch も特にパラメータ指定不要で、そのままデプロイすることができます。以下のコマンドを実行する前に Day 0 の内容を参照して ibmcloud CLI ツールで IBM Cloud にログインし、クラスタに接続するまでを済ませておいてください。

そして以下のコマンドを実行します:
$ kubectl apply -f scratch3.yaml

以下のコマンドで Scrach 関連の Deployment, Service, Pod, Replicaset が1つずつ生成されたことと、サービスが 30601 番ポートで公開されていることを確認します:
$ kubectl get all

NAME                            READY   STATUS    RESTARTS   AGE
pod/scratch3-579cb8b666-cpsl4   1/1     Running   0          89s

NAME                 TYPE        CLUSTER-IP      EXTERNAL-IP   PORT(S)          AGE
service/kubernetes   ClusterIP   172.21.0.1      <none>        443/TCP          27d
service/scratch3     NodePort    172.21.71.246   <none>        8601:30601/TCP   91s

NAME                       READY   UP-TO-DATE   AVAILABLE   AGE
deployment.apps/scratch3   1/1     1            1           91s

NAME                                  DESIRED   CURRENT   READY   AGE
replicaset.apps/scratch3-579cb8b666   1         1         1       92s

この後に実際にサービスを利用するため、以下のコマンドでワーカーノードのパブリック IP アドレスを確認します(以下の例であれば 161.51.204.190):
$ ibmcloud ks worker ls --cluster=mycluster-free
OK
ID                                                       パブリック IP    プライベート IP   フレーバー   状態     状況    ゾーン   バージョン
kube-c3biujbf074rs3rl76t0-myclusterfr-default-000000df   169.51.204.190   10.144.185.144    free         normal   Ready   mil01    1.20.7_1543*

つまりこの時点で(上述の結果であれば)アプリケーションは http://169.51.204.190:30601/ で稼働している、ということになります。ウェブブラウザを使って、アプリケーションの URL(上述の方法で確認した URL)にアクセスしてみます:
scratch1


Scratch の編集画面が表示できました。各種ブロックを使って GUI プログラミングおよび動作確認ができます(共有機能は無効のようです):
scratch2



【YAML ファイルの解説】
YAML ファイルはこちらを使っています:
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  name: scratch3
spec:
  selector:
    app: scratch3
  ports:
  - port: 8601
    protocol: TCP
    targetPort: 8601
    nodePort: 30601
  type: NodePort
---
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  name: scratch3
spec:
  replicas: 1
  selector:
    matchLabels:
      app: scratch3
  template:
    metadata:
      labels:
        app: scratch3
    spec:
      containers:
      - name: scratch3
        image: kadok0520/mit-scratch3
        ports:
        - containerPort: 8601

Deployment 1つと、Service 1つ、環境変数の指定も不要で本シリーズで紹介する 30 個の中でも指折りにシンプルな YAML ファイルです。一応解説を加えておきます。アプリケーションそのものは 8601 番ポートで動作するように作られているため、NodePort 30601 番を指定して、外部からは 30601 番ポートでアクセスできるようにしています(NodePort として指定可能な番号の範囲は 30000 ~ 32767 です、指定しない場合は空いている番号がランダムに割り振られます)。また ReplicaSet は1つだけで作りました。


デプロイしたコンテナイメージを削除する場合はデプロイ時に使った YAML ファイルを再度使って、以下のコマンドを実行します。不要であれば削除しておきましょう:
$ kubectl delete -f scratch3.yaml


【紹介したイメージ】
https://hub.docker.com/r/kadok0520/mit-scratch3


【紹介記録】
Dayカテゴリーデプロイ内容
0準備準備作業
1ウェブサーバーhostname
2Apache HTTP
3Nginx
4Tomcat
5Websphere Liberty
6データベースMySQL
7phpMyAdmin
8PostgreSQL
9pgAdmin4
10MongoDB
11Mongo-Express
12Redis
13RedisCommander
14ElasticSearch
15Kibana
16CouchDB
17CouchBase
18HATOYA
19プログラミングNode-RED
20Scratch
21Eclipse Orion
22Swagger Editor
23R Studio
24Jenkins
25アプリケーションFX
262048
27DOS Box
28VNC Server(Lubuntu)
29Drupal
30WordPress