自分は学生時代に初めてパソコンを購入しました。NEC PC-9801 DA です。Intel の CPU が 32bit に対応した直後のモデルでした。

当時からプログラミングはしていました。が、どちらかというとまだ「授業で使うため」「単位を取るため」という理由でした。でもそれが20数年後の今の自分の礎になっているのかと思うと感慨深いです。

さて、その当時に流行っていたテキストエディタの1つが MIFES (マイフェス)でした。1985年にメガソフト株式会社から PC-9801 の MS-DOS 環境向けに発売されたこのテキストエディタは強力な検索機能と、マクロ言語によるカスタマイズ性の高さが特徴でした。

と、偉そうなことを言ってますが、実は自分自身は友人の環境を触らせて使わせてもらっていたのでした。本音としては「当時は値段が高くて学生身分の自分には手が出せなかった」のでした。当時のテキストエディタの2大勢力の、もう1方であった Vz (こっちも1万円近くした記憶が・・・)を愛用しており、実は今でも PC-DOS の仮想環境では使っていたりします。

さて、Vz は Windows 環境では Wz エディタとなって進化を続けていますが、MIFES もずっと進化を続けてきました。MIFES の現在の最新バージョンは10で、先日30周年を迎えたようです。おめでとうございます。

そして、なんと MIFES の体験版がダウンロードして使えること、しかも Linux 版が存在していたことを、恥ずかしながらつい先日知りました。この Linux 環境で使えるテキストエディタという意味では Vz/Wz にはなかった環境です。さっそく試してみました。

まずはここから MIFES for Linux をダウンロードします。自分が試した時は milinux-103.tar.gz というアーカイブファイルがダウンロードできました:
http://www.megasoft.co.jp/cgi-bin/try/milinux/cgi/form.pl


なお、動作環境ページに制約事項が書かれています。自分が以下で試した環境は 64bit の CentOS 6.6 で、「64 bit OS の動作保証はしていない」と書かれていますが、一応以下の手順で動いていました、ということを記載しておきます。

この MIFES for Linux を 64bit 環境下で動かすには ld-linux.so2 ライブラリが必要でした。なので、こいつをあらかじめインストールしておきます:
# yum install ld-linux.so.2

で、その後にダウンロードしたファイルを展開すると mifes というフォルダが作られ、その中に一式のファイルが含まれています。これでインストール完了です:
# cp milinux-103.tar.gz /opt
# cd /opt
# tar xzvf milinux-103.tar.gz
# mifes

ここで1点注意が必要です。MIFES for Linux がサポートする日本語エンコードは EUC のみ、ということです。なのでログインに利用している端末(例えば PuTTY や TeraTerm)の日本語設定を EUC に変更する必要があります。以下は TeraTerm の場合の変更内容です(メニューから「設定」-「端末」で、この画面で文字コードを EUC にしています):
2016022001


ここまでの設定をした上で MIFES for Linux を起動します。コマンドは mi で、ファイル名を引数に指定してもいいのですが、とりあえずそのまま起動してみます:
# ./mi

すると DOS 時代の懐かしいテキストエディタインターフェースが Linux の端末上で再現されます。まずはファイル選択画面が開きます:
2016022002


ここで矢印キーを使ってディレクトリを変更しながらファイルを選択します。例えば mi と同じディレクトリにある license.txt を選びました。このファイルを開くには選んだ後に Enter を押します:
2016022003


MIFES 独特の、青い背景に灰色文字で選択したファイルを開くことができました。当時のユーザーには死ぬほど懐かしい「ダイヤモンドカーソルキー(Ctrl+E,S,D,X がそれぞれ矢印キーの上、左、右、下に対応して、ホームポジションに指を置いたままカーソル移動ができるショートカット)」も再現されています。使っていると指が思い出してくれます:
2016022000


メインメニューは F1 キーで、そこから別のファイルを開いたり、終了したり・・・といったオペレーションが可能でした。


唯一気になった点を上げるとすると、やはり UTF-8 エンコードに対応していない、という所でしょうか。今自分の手元にあるソースコードファイルはほぼ UTF-8 で作られており、それらが読み込めないというのはやはり痛いです。とはいえ、今後 MIFES for Linux の進化が期待できるかというと・・・ まあ難しいということを理解しないといけないのだと思っています。

しかし学生時代を含めても、自分の環境下に MIFES をインストールしたのは数えるくらいしかなかったし、それを Linux で行える日がやってくるとは思っていませんでした。