たまにはマンホールネタを・・・

先日、長島鋳物株式会社様の久喜事業所の工場見学をする機会がありました。普段は写真を撮るばかりのマンホール蓋の、そのデザインから色付けまでの製造過程、および性能テストの様子を拝見させていただきました。貴重な機会をありがとうございました。またこの工場見学を企画いただいた関係者の皆さん、お疲れ様でした。

工場内でも多くの写真を取りましたが、公開NGなものが多く、ここでの紹介は控えることにします。ただ写真ではなく、その中で説明いただいたことを1つだけ紹介させていただきます。


マンホール蓋には、通称「親子蓋」と呼ばれる形状のものがあります。例えばこんな感じのものです:
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参照元: http://manholemap.juge.me/page.jsp?id=1192002

親子蓋とは親蓋の中に子蓋が埋め込まれている形状のものです。街中でもたまに見かける機会があり、これ自体は特別に珍しいわけではありません。ただ2つの疑問点があります。

まず「何故2つ必要なのか?」という疑問があります。そもそも大きい蓋と小さい蓋に分ける理由があるのか?「大は小を兼ねる」的な発想で、大きい蓋だけでは何か不都合があるのか?

そしてもう1つは「何故同心円の形状ではなく、ある方向に偏った2つの円なのか?」という疑問です。同じ中心の、2重丸の方がキレイだし、デザインも楽なのではないかと思うのですが、どうして小さい蓋は(上の写真では)上方向に寄せられているのでしょうか?





それらの答は今回の工場見学を通じて知ることができました。

まず大きい蓋と小さい蓋に分けられている理由ですが、小さい蓋は人間が出入りするためのもので、大きい蓋は機械を中に入れる際のものなのだそうです。「人間も大きい蓋を空けて出入りすればいい」とも思うのですが、空けた穴に取り付ける器具など、小さい穴のサイズが想定されているものもあるため、人間が出入りする際にはあくまで小さい穴を使うことになるようです(ちなみに人間用の穴は直径60cmという規格があり、周辺機器(っていうのか?)もその規格にそって作られているようです)。一方、この規格に合わないような大きな機械を中に入れることが必要になることもあるのですが、その場合のために大きい蓋が用意されている、とのことでした。

そしてもう1つの謎ですが、これは実際に使う段階を考えればすぐ分かることでした。

マンホールの蓋を開けると、その下へ進むためのはしごが筒の内側に用意されています。
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親子蓋が同心円で2重丸の様になっている場合、子蓋だけを空けた時に穴の位置よりも更に外側にはしごが設置されていることになるため、穴に入って足を引っ掛けたり、はしごを掴むまでが結構大変な作業になることが分かります。
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一方、上記画像のようにある方向に偏った位置に子蓋があると、そこを空けた時にスムーズにはしごが掴める位置に穴が空くことになります。
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広い意味で「安全のため」に、親子蓋の蓋は同心円上ではなく、わざと偏った位置に作られている、ということでした。