Cloud Foundry をベースとした PaaS 環境である IBM Bluemix が正式サービスとなり、価格も発表されました:
IBM Bluemix : Pricing Sheet

Bluemix の場合、アプリケーションサーバーと、サービスと呼ばれる(データベースとかSSOとかの)パーツとで別々の課金が行われて、利用料金という意味ではその合計になります。サービスの価格はサービスの種類によっても異なるので後述します。 で、アプリケーションサーバーの価格を見ると(2014/07/17 時点では)「メモリ1GBの仮想マシンを1時間使うと $0.07 」と設定されています。サーバーインスタンスに搭載しているメモリ量で時間課金、というタイプです。計算を楽にしたいので、仮に $1 = 100円とすると1時間7円ということになります。

ちなみに Bluemix のアプリケーションサーバーはデフォルトではメモリ512MB(0.5GB)で稼働します。つまり1時間3.5円。一ヶ月を30日とすると、1サーバーインスタンスの月額は 3.5 x 24 x 30 = 2520円です。
2014041701


このスペックをモデルケースとして、これが安いのか高いのか?、ということを考えてみます。

比較対象を「本家」の Cloud Foundry としましょう。こちらの料金体型もメモリ量での時間課金タイプですが、料金は1GBを1時間使うと $0.03 、ここだけ見ると Bluemix の半額以下です。同じ条件で512MBメモリを搭載した1サーバーの月額にすると 1.5 x 24 x 30 = 1080 円ということになります。
2014041702


とりあえず、同一条件の1アプリケーションサーバーを使った場合の料金は CloudFoundry の方が半分以下になる、ということはわかりました。ただ現実はそこまで単純ではありません。

ここまでの話はあくまで「アプリケーションサーバーの料金」です。多くの場合、アプリケーションはアプリケーションサーバー上にデプロイして動作させますが、同時にデータベースサーバーなども必要になります。

CloudFoundry の場合、データベース(例えば MySQL)サーバーを1つ追加しようとすると、アプリケーションサーバーと同一のマシンに MySQL サーバーも入れてしまう、という選択肢はありますが、さすがにメモリ 512MB で両方動かすのは無理ではないにしても厳しいと思われます。というわけでメモリを増やすとか別途データベース用サーバーを1台追加することになり、同じスペックのマシンだったとしても2台分の料金(1080 x 2 = 2160 円)が必要になります。メモリを倍に増やした場合も同額です。

一方 Bluemix の場合、データベースサーバーは「サービス」として提供されており、サービスは制約の中であれば無料で使うことも可能です。例えば MySQL は無料、PostgreSQL も無料、SQL DB(DB2) はデータ量2GB以内の1インスタンスであれば無料、といった具合です。制約といってもデータ量2GBまで使えるのであれば、結構多くのケースで無料利用ができると思っています。しかもこれらのサービスはいわば DBaaS として提供されており、Buildpackの用意やアプリケーションの導入などは不要ですぐに使いはじめることができます。つまりデータベースは(制約の中であれば)無料で追加できるオプションとなっているので、利用料金は変わらずアプリケーションサーバー代のみの 2520 円ということになります。
2014041703


この時点でもかなり差がなくなってきました。更に、例えば MongoDB などの no-SQL データベースサーバーを追加したり、データ高速化の memcached サーバーを追加したりすると、CloudFoundry ではサーバー構築の手間が増えるだけでなく、これらのサーバーを追加することになるので、もう1台、更にもう1台・・・とコストもどんどん高くなっていきます。

一方、Bluemix ではこれらのサービスも制約の中ですが無料で使える範囲が設定されています。つまりサービス用のサーバーは増えてもコストは変わらずアプリケーションサーバー代の 2520 円のままで利用することもできるのです。ここまでの環境トータルで考えると Bluemix の方が安くなっていることも珍しくないと思っています。
2014041704


だからといって Bluemix の方が得とも言い切れない所が難しいです。CloudFoundry では Buildpack を用意することで「サーバー1台で済ませる」という選択肢もあり、同一スペック1台での比較となると上記のように CloudFoundry の方が安いのです。 一方 Bluemix のサービスは無料の枠が用意されてはいるものもありますが、その枠を超えて利用する場合には有料となります。無料枠は利用するサービスの種類によっても異なるので、その辺りは設計後に正しく見積もる必要がでてきます。
2014041705


最終的にはシステム構築に必要なサーバー構成を冗長化なども含めて検討した上で選択する、ということになるのだと思います。そこまで含めても Cloud Foundry と比較した Bluemix の価格が一概に高いとは言えない(安いとも言えない)と感じています。 

ただシステム構成が複雑になればなるほどアプリサーバーの課金がメインとなる Bluemix に割安感が出てくるんだろうな、という印象を持ちました。 また比較対象を PaaS ではなく、AWS などの IaaS と比べてみても、アプリケーションサーバーとデータベースサーバーとあれとこれと・・・まで付けて月額 2530 円~ であれば充分に価格競争力もあるんじゃないかな、と思えます。