CouchBase は大規模データ処理を得意とする No-SQL なデータベースです。ベースとなった CouchDB と memcached の機能を合わせ持っていることで高速トランザクションに耐え、またウェブアプリケーションサーバーを内蔵していることで管理機能だけでなく、ウェブアプリケーションの開発もすぐに開始できる、という特徴があります。加えて REST ベースのデータ読み書き API が標準で用意されている(というか、データの読み書きには REST を使う)ので、特定言語やプラットフォームに依存しない多くの環境から利用することができる、という特徴もあります。


この CouchBase を CentOS 環境にインストールします。なお CentOS は 64bit 版の 6.5 を、CouchBase のバージョンはこのエントリ執筆現在の最新版 2.5.1 を使う前提で以下を紹介します。今回は Enterprise Edition を利用しますが、この Enterprise Edition は無償でダウンロードでき、非商用利用であればノード数無制限に、商用利用でも2ノードまでは無償で利用できます。


まずは導入用のモジュールを入手します。公式サイトから環境にあったモジュールを選択してダウンロードします。今回のケースでは 64bit Red Hat 6 の Enterprise Edition を選択します。
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処理を進めていくと、最終的にダウンロードURLの書かれたメールを受け取ることになります。記載された URL からインストールモジュールをダウンロード&インストールします:
# cd /tmp
# wget http://packages.couchbase.com/releases/2.5.1/couchbase-server-enterprise_2.5.1_x86_64.rpm
# rpm -ivh couchbase-server-enterprise_2.5.1_x86_64.rpm

これだけでインストールは完了です。ついでに CouchBase サーバーの起動も完了しています。秒殺。


では Web ベースの管理コンソールにアクセスして、初期設定まで行ってしまいましょう。ブラウザで
 http://(サーバーのIPアドレス):8091/
にアクセスします(クラウドなどでファイアウォールの設定が必要な場合は 8091 番ポートを開放しておきます)。

以下の様なセットアップ用の初期画面が表示されます。"SETUP" ボタンをクリックしてセットアップを開始します:
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最初の画面ではデータの保存ディレクトリとクラスタリングの設定を行います。保存ディレクトリは特に希望がなければデフォルトのままでも大丈夫です。次にこのサーバーのホスト目(またはIPアドレス)を入力します。クラスタ設定ではまずは1台目のサーバーになるので "Start a new cluster" を選択します。この画面の最後にこのクラスタで使用するメモリ量の指定を行いますが、とりあえずは変更せずにそのまま進めても構いません。
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次の画面ではサンプルバケットを利用するかどうかの設定を行います。CouchBase では実際のデータの入れ先のことを(データ)バケットと呼びます。そのバケットのサンプルを一緒に導入するかどうかの設定です。これがあるとすぐに動くものを確認できるようになりますが、実運用上では不要なものです。必要であればチェックを付けて次の画面に向かいます:
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次にデフォルトバケットの設定を行います。まず Backet Settings ではバケットの種類を選択します。ここではディスク永続性はないものの RAM メモリ上だけで高速に動作する memcached を選択することも可能です。一方 CouchBase は memcached の特徴に加えて、非同期/同期にディスクへの永続化を行うことも可能なデータベースになっています。 ここでは CouchBase を選ぶことにします。
Memory Size は前の画面で設定した割り当てメモリのうちの、このデフォルトバケットに割り振るメモリ量を指定します。バケットが1つだけであれば全てのメモリを割り振って構いませんし、よく分からなければ初期状態を変更せずにそのまま進めても構いません。
最後の Replication はデータの冗長性を指定する項目です。1 は「冗長数が1」、つまり2台のサーバーでデータを保持することを意味します。1台のサーバーが障害で止まっても、フェールオーバーによってデータは保たれることになります。この数が多いほど信頼性も上がりますが、それだけ多くのサーバーやリソースが必要になります。ここでは 1 を指定することにして次の項目に進みます:
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次は製品のアップデートと登録の画面です。Update Notifications にチェックを入れておくと製品がアップデートされた時に通知を受け取ることができます。また Register をしておくと最新情報が届くことに加え、緑の少ない地域に苗木を一本寄付することになるようです(お金を支払うわけではありません)。是非 Register しましょう:
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設定の最終画面です。管理者の ID(初期状態は Administrator)とパスワードを入力します。これで初期設定は完了です:
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このような管理画面が出てくれば初期設定も完了です。初期設定まで含めて考えると、CouchBase の導入手順はものすごく簡単な印象です:
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最後に、この稼働中の CouchBase サーバーに API からアクセスしてみます。今回は curl コマンドを使って、こんな感じでサーバープール情報を取得します(実際には改行なしのデータが返ってきます):
# curl 'http://(CouchBase サーバーのIPアドレス):8091/pools'
{ "pools":[ {"name":"default","uri":"/pools/default?uuid=xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx","streamingUri":"/poolsStreaming/default?uuid="} ], "isAdminCreds":false, "isROAdminCreds":false, "isEnterprise":true, "settings":{ "maxParallelIndexers":"/settings/maxParallelIndexers?uuid=xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx", "viewUpdateDaemon":"/settings/viewUpdateDaemon?uuid=xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx" }, "uuid":"xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx", "implementationVersion":"2.5.1-1083-rel-enterprise", "componentsVersion":{ "public_key":"0.13", "asn1":"1.6.18", "lhttpc":"1.3.0", "ale":"8ca6d2a", "os_mon":"2.2.7", "couch_set_view":"1.2.0a-a425d97-git", "compiler":"4.7.5", "inets":"5.7.1", "couch":"1.2.0a-a425d97-git", "mapreduce":"1.0.0", "couch_index_merger":"1.2.0a-a425d97-git", "kernel":"2.14.5", "crypto":"2.0.4", "ssl":"4.1.6", "sasl":"2.1.10", "couch_view_parser":"1.0.0", "ns_server":"2.5.1-1083-rel-enterprise", "mochiweb":"2.4.2", "syntax_tools":"1.6.7.1", "xmerl":"1.2.10", "oauth":"7d85d3ef", "stdlib":"1.17.5" } }

これも簡単ですよね。

なお、couchBase 2.5.x の REST API 詳細についてはドキュメントを参照してください。