RHEL(RedHat Enterprise Linux) や CentOS を使っている人は少なくないと思いますが、ほとんどの場合が x86(Intel) 版だと思います。ただ RHEL は Power アーキテクチャにも移植されていて、何も考えないでログインして使っていると Power 版であることに気づかないほど普通に使えます。また PHP や Java のアプリケーションであれば、特殊なミドルウェアを使っていない限り、Intel 版から Power 版へそのまま移植できることも珍しくありません。 ただ Power チップの搭載されたゲーム機はともかく(苦笑)、Power 版の RHEL なんて普通は使う機会がないですよね・・・

と思っていましたが、最近 Power チップを開発している IBM がビジネスパートナー向けのサービスとしてクラウド上の Power アーキテクチャシステムを無料で提供すると発表がありました。RHEL はもちろん、AIX や IBM i(AS/400) など Power アーキテクチャシステムが VPN 経由で利用でき、更にはこの環境内だけでの利用が条件になりますが、IBM のソフトウェアをダウンロードして同環境に導入しての動作テストなどを行うことも可能です。しかも、ここまで全て無料!太っ腹!! IBM のビジネスパートナー契約が必要なので全ての人が無条件に利用できるわけではないのですが、この契約自体も無料なので、一通りの手続きを踏むことで条件は満たされるはずです(既にこの条件を満たしている企業の社員であれば個人 ID を登録するだけです。それも所有しているのであれば今すぐに利用できます)。また一回の利用は最長2週間ですが、作業イメージをバックアップして次回利用時にその保存イメージを指定して再構築することができるので、同じ環境で作業の続きを行うことも可能です。


というわけで、このクラウドサービスに利用申請をして、用意されたインスタンスに接続して利用するまでの手順を2回に分けて紹介しようと思います。まず今回は利用申請をしてサーバーをアクティブな状態にするまでを紹介します。

まずは IBM ビジネスパートナー契約と、その契約に紐付いた個人のログイン ID が必要です。このビジネスパートナー契約は IBM PartnerWorld と呼ばれていて、まず自分の企業がこの IBM PartnerWorld に登録されている(されていなければする)必要があります。そしてその契約に紐付いた個人 ID(IBM IDといいます)を登録する必要があります。この部分の手続きに関しては IBM のガイドを参照ください:
http://www-06.ibm.com/partnerworld/jp/weblook/ibm_registration.html

注意点が1つあります。IBM ID は個人で(個人のメールアドレスで)作成することも可能ですが、今回紹介する Power アーキテクチャのクラウド環境を予約するには企業契約に紐付いた ID である必要がある、という点に注意が必要です。企業登録そのものから行う場合はその確認に数日かかるようです。

IBM PartnerWorld 契約と IBM ID の用意ができたら(或いは既に取得済みの方は)クラウド利用を申し込みましょう。まずはこのクラウドサービスである PDP(Power Development Platform) のポータルページを参照します:
http://www.ibm.com/partnerworld/pdp

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このページに一通りの情報が集まっているので、ハードウェアスペックなどの各種情報はこちらから参照ください、英語ですが。


このページの下の方に "Take action and get started" というセクションがあり、その中に "Programs" と書かれたリンクがあります。これが PDP 申し込みサイトへのリンクです。Programs をクリックして申し込みサイトへ移動します:
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最初にログイン画面が表示されます。ここで上記の IBM PartnerWorld 契約に紐付いた IBM ID とパスワードでログインします。
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ログイン後に「企業と紐付いていません」といった内容のメッセージが表示される場合は、その IBM ID は IBM PartnerWorld に紐付いたものではないため、そのままでは PDP は利用できません。上記に戻って新規に企業契約をするか、既存の企業契約に紐付ける(企業管理者に登録してもらう)必要があります。


企業契約のある ID でログインすると、以下の様な PDP の Programs 画面になります。この画面から新規の利用予約や、予約状況、VPN による接続情報、予約して稼働中のシステム情報の確認などができます。また後ほど使いますが VPN による接続方法の PDF ガイドもこの画面内の "Download Connection User Guide" ボタンからダウンロードできます、英語ですが
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では実際にシステム利用の予約をしてみましょう。"Please select a program" と書かれたボタンをクリックして "Virtual Server Access" を選択します。
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すると予約内容を入力する画面が表示されます。
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ここに以下の内容を英語で入力していきます:
Enter a project name: プロジェクト名/利用目的の名前(64文字以内、英数字のみ)
Product description: (プロジェクト/目的の説明)
Project opportunity: 案件のスケジュール
Project classfication: 利用目的の分類、テストとか教育目的など
Project Dates: 利用期間(最大2週間、米国山岳部標準時(UTC-7))
Logical Resources: 利用ハードウェアスペック

Project name はプロジェクトで利用する予定があればその名称を。教育目的であれば "LinuxOnPowerEducation" とかそんな感じの名称を入力します。Description にはその説明。Opportunity は実案件としていつ頃利用予定か、というスケジュール感を指定します。特に決まっていなければ "Potential New Customer" あたりを。Classification には利用目的を指定します。これも教育目的であれば "Learn" とか。

次の Dates は注意が必要です。利用期間は最大で2週間ですが、ここは日本時間ではなく UTC-7 で指定することになるようです。デフォルトで日本の現在時刻に近い値でセットされそうになるのですが日本時間ではない、という点に注意してください。

そして Logical Resources には利用 OS 環境を指定します。Image は過去に使って保存したイメージを使う場合は "Saved Image" を選択して、その後にそのイメージを指定します。初めて使う場合や新しい環境で構築する場合は "Standard Image" を選択します。Image Category 欄では OS を指定します。AIX や SuSE, IBM i(AS/400) も指定できますが、今回は "Red Hat Linux" を選択した前提で以下を紹介します。

次に Physical Resources でハードウェアを指定しますが、これはデフォルトのままで大丈夫です。1CPU + メモリ2GB + HDD 35GB の IBM Power 7。CPU は4コア構成なので仮想的には4つに見えるものです。

ここで "Add resources to project" をクリックすると、これまで指定した内容がプロジェクトに追加されます。
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プロジェクトに追加されたことを確認して、最後に "Create project and reservation" をクリックして予約を確定します。

しばらく処理が行われ、完了すると元の "Programs" 画面に戻ります。

では予約の状況を確認してみましょう。画面一番下の "Virtual Server Access" と書かれた箇所のずっと右の+(プラス)印をクリックします。
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利用中/予約中のプロジェクトが表示されます。Status 欄に "Processing" と表示されていれば予約が処理中であることを意味しています。
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指定した時刻からプロビジョニングが開始され、1~2時間程度でシステムは利用開始になるはずです。その頃に再度同じ画面にアクセスすると Status は "Active" に切り替わっているはずです(その旨を知らせるメールが登録アドレスにも送られてきます、英語ですが(笑)):
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この Active 状態のプロジェクトをクリックして更に展開していくと、現在 VPN の先で稼働しているサーバーのIP アドレスや初期 ID & パスワードも表示されているのが確認できます。これで利用可能な状態になっていることが分かります:
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この作業を進める上で英語と向き合うことが多いと思います。まあ、このプログラム自体は IBM 本社の提供するものなので、まあ仕方ないですけどね。

分量が多くなってしまったのでこの辺で。 この続きの、VPN 接続を使って、このサーバーにアクセスする手順は次回ということで。
 
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